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 リアフィアが嬉しそうに微笑む。


「ふふふ。ドリー様はわたくしとお茶をする際には男性の服装であるにも関わらず浅く座り姿勢を正してお茶をいただいてくれておりますの」


「何のためにですか?」


「リアだけが疲れる姿勢をしているのは可哀想だからですわ。私がお付き合いすれば少しは気も晴れるでしょうし、リアの疲労具合もわかりやすいですから」


「なるほどっ!!

ランチの際にルディ様と俺がしていたことをドリー様は普段からなさっているのですねっ!」


 強く納得したのはシアゼであった。


「私も帰国したらそうしてみます」

「俺も!」


「ランチの席でも思いましたが素晴らしい思いやりですね。

シアゼ君。我々も夕食もやりましょう」


「はいっ!!」


 ヨンバルディの誘いでヨンバルディとシアゼも浅座りにする。


「これはなかなか厳しい……。これを食事中ずっとですか。昼間も感じましたが淑女とは難しいものですね。日常が鍛錬のようだ」


「他の女性の前では男らしさに関わるので止めた方がいいですよ」


「では、ドリーティア嬢の前でだけにいたしましょう。寵妃候補様には優しい男だと思われたいですからね」


 冗談を更に上の冗談で返されて唇をへの字にしたドリーティアの姿は皆の笑いを誘った。


 姿勢を正して食べることが初体験のヨンバルディは驚いてはいたがさすがに鍛えられた体であるので無事に食事を終えることができた。


 それぞれの部屋に戻れば美容タイムだ。ドリーティアとバラティナの部屋からは二人のうめき声が聞こえ、リアフィアの部屋からはリアフィアの美容ができることにはしゃいでいるオミナード王国のメイドたちの声が廊下に聞こえてきていた。

 伯爵家の別荘は十分に立派なのだがやはり離宮と比べると防音も設備も甘い。


「なんだが随分と楽しそうだな」


 ヨンバルディとシアゼは食後の運動にと外で剣技の見せ合いをするため廊下を歩いていた。


「ルディ殿下もやってみますか?」


 シアゼは随分とヨンバルディと親しくなりニヤついた嫌味を言えるほどになっている。


「うーん。興味はある……」

「ぎゃあ!! 痛い痛い!!」


 ヨンバルディの言葉とバラティナの悲鳴が重なった。


「ぐあぁ!! リラックスマッサージと申しておったではないかぁ!!」


 ドリーティアが悲鳴とともにレライを責める。


「うん! やはり興味は無いっ! 剣の鍛錬に参ろうぞ!」


「はい。そうしましょう」


 二人の耳に入ってくるドリーティアとバラティナの悲鳴を打ち消すように二人の剣がぶつかる音が長い時間庭から聞こえていた。


 翌朝、ドリーティアの顔を見たシアゼは鼻で大きく息を吸い込んで両脇を両手で抑えた状態でフリーズした。シアゼは経験者で脇毛のワックス脱毛も経験している。


「まだありますわっ!」


 ドリーティアがドバっと両手上げる。レライはたまらず腕をビシッビシッと左右とも扇で叩いた。


「お見苦しいご行為はおやめくださいっ!」


「はぃ」


 腕を擦りながらしょぼくれたドリーティアにレライは遠慮もなく嘆息した。毎日体力の限りにマッサージをしているメイドもジト目で見た。


「今夜決行いたします」


「「「「かしこまりました」」」」


「えーー!! でんかぁ!!」


 バラティナは泣き顔を晒した。


「ご安心くださいませ。ワックスで一瞬です」


 シアゼがブルリと震えた。シアゼの候爵家は脱毛といえばワックスであったためシアゼは体験済みで二度とやりたくないと思っている。


「そういう問題ではありません!」


 いつになく強気なバラティナにドリーティアがたじろぐがレライは至って冷静である。


「バラティナ様。いつかやらねばならぬのですから同じではないですか?」 


「ずぅぅぅと抜き続ける本物の淑女の方にとっては同じです。しかし、我々はこのプロジェクトが終了したら脱毛をする必要がありません。プロジェクト終了のタイミングによってはこの五日間の差異で一回増えてしまうかもしれないのですよっ!」


「細かい……」


 ドリーティアは半分呆れて呟いたがシアゼは納得と何度も上下に首を動かす。


「そこまですごいのか?」


 ヨンバルディが小声で尋ねるとシアゼは尚更に首を上下に大きく動かした。手は脇の下を押さえたままである。

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