うちの学校の体育祭はデスゲームみたい
わが校の体育祭は一風変わっている。
まず、体育館に全校生徒が集められ照明が落とされると、踊り場に設置されたスクリーンに仮装した校長が映し出される。
ボイスチェンジャーを使って声を変えたり、カツラを被って髪型を誤魔化したりしているが、絶対に校長だと分かるようなチープな変装。
まぁ、あまりガチすぎても引くので、これくらいで十分かもな。
変装した校長は全校生徒に体育祭開催のお知らせをする。
と言っても開催日は一か月後。
それまでの練習日程などについて説明するのだ。
もちろん、普通に説明するのではなく、話し方も凝っている。
『これから開催するゲームには必ず参加してもらう。
無論、君たちに選択権などない』
『もしさぼったりすれば、
君たちには補習という厳しい罰が与えられるだろう』
『なにより、数少ない青春の思い出が消えてなくなるのだぁ。
くくく……存分にこのイベントを楽しみたまえ』
このビデオを撮影するために演技指導も受けているらしい。
教員サイドの本気度がうかがえる。
この演出を始めてからみんな真面目に話を聴くようになったという。
何故だ。
行われる競技も一風変わっている。
学校の敷地全体を使用しての鬼ごっこ。
ドローンやSNSでの情報収集が認められている缶蹴り。
少しでも動いたらペイント弾でハチの巣にされる、だるまさんが転んだ。
などなど。
明らかに普通の体育祭とは異なる内容。
もちろん、脳筋や陽キャも盛り上がれるように、普通の棒倒しや騎馬戦なんかもやる。
OB参加型で普段から鍛えまくってる大人が高校生相手に無双するやべぇ競技だが、みんな楽しみにしてるんだよなぁ。
不思議。
あとはリレー。
これだけはガチで真剣勝負。
ただし、教員含め全員参加で終わるまでに数時間かかる。
やべぇ。
最近はネットで中継したり、全国ネットのテレビ局が取材にきたりと、かなりの盛り上がりを見せている。
なかでもデスゲーム風の演出は評判がよく、マネする高校も出てきたとか。
そんなちょっと変わった雰囲気のわが校ではあるが、不思議な一体感があって結構楽しい。
陰キャも陽キャもオタクも不良もみんな仲良し。
これもデスゲーム風体育祭のお陰かもしれない。
ちなみに、文化祭もちょっと変わっている。
テーマは毎回異なるのだが、今年は「異世界文化祭! あれれ、もしかして僕たちなにかやっちゃいました?」だ。
意味が分からないが、ちょっぴり楽しみである。