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地球とは

コードゼロはどこの国も所有していない星であり、法も無くなった星。その為ある者たちからは非常に使いやすい場所とも言われている

 無法者どもの溜まり場でもあるビナグリンドでは日々密猟や密輸などで得た品々、つまりは金目のものが取引されていた。

「どうだい、この首飾りは結構自信作なんだがね」

「おぉ……素晴らしい!特にこのタワー!これは………東京タワーと出たね、随分と古い物だ!」

そんな場所に、一人の男、いや義体が訪れていた。

その義体は、そこまで珍しくないタイプであると判断できる。だが見えない部分にはおそらく市場に出回らないようなものが搭載されているのだろうとネルケは思った

「どこで見つけたかは言えないが結構状態が良いだろ?お気に召したようで何よりだ」

「あぁ、是非買わせていただくとしよう。やはり君の考え方、技術は素晴らしいな。相変わらず私の国で義体にコピーすることは嫌かい?」

その言葉は一体何度目なんだろうと思いながら

「何度も言っているがお断りだよ、あんたの国に興味はあるがここでやることがあるんでね」

「それは残念だ、だがまだ時間はあるからまた誘わせて頂くよ」

「なら次来るときはその義体に俺を誘わないように命令させておいてくれ、簡単だろ」

「悪いが、優秀な人材は保管しておきたくてね」

 その言葉に嫌気がさすが、今の時代何も珍しくはない。

「そうかい、悪いが今日はその品だけでね対価はいつもので」

 「ふむ、分かったいつもの場所に置いておこうまた来る」

 そう言い義体は雑踏の中に消えていく、もう先ほどやり取りした義体を見分けるのは困難だろう。

「しかしまぁ、今日は一段と義体が多いことで」

 RBSが開かれているのもあるが、古い物に価値を見出すのが得意なのは、いつの時代も変わらんのだなと自身のメモリーを覗き鼻で笑う

 そのおかげで、飢えずに済んでいるので何も言えないが。

(さて、センも戻ってくるだろうし帰りましょうかね)

 口数が少ない相方ではあるが、唯一、一緒にいられる存在であるためネルケは気に入っている。

(依頼人は来るかね?まぁ来そうじゃなかったらいつも通りセンに任せて飲みにいくか)

 こっちの仕事も楽しいが、やはり本業の『grave garden』に期待を膨らませる。

(直感だが、お客さんがきそうな気がするし身だしなみは気をつけて行こうかな)

 時代錯誤な考え方だが、イフスではなく直感を頼りに考えるのも一興だと思いながら彼は帰路に着く。



 「いつもありがとうねセン!」

 そう少女に言われセンはいつものように返す

 「別にいい、気をつけて帰るんだぞ」

「うん!そうだ知ってる?今RBSがこの星で開かれてるの」

 RBSという言葉にセンは不快感を抱いた、わざわざメモリーに登録する必要のない言葉であるくらいに記憶に残っている。

 「知っている」

 「なら気をつけてね、私たちリメインズを攫って実験やら改造やらするって噂で聞いたから!」

 なんとも子供らしい噂に先ほどの不快感が和らいだ。お偉いさまの義体に対して事故や事件を起こさない限りあり得ない事だろうと思うけど、そんなことを

 してしまったらせっかくの居場所が無くなってしまう。もうわざわざ敵を作りたくはない。

 「気をつけておく、美優も気をつけて」

 「うん、ねぇセンは本当にここから出て行かないの?」

 「あぁ、出ていく理由がない」

 たったそれだけの返答に美優は少し悲しくなった。

 美優「そっか、本当に最後までいるつもりなの?」

 その質問は一体何度目だろうとセンは思った。百回は聞かれたか?いや、それ以上かもしれない。

 だがそれも仕方のないことだ、わざわざ何も残らなくなる星と一緒に消えることを選択したのだから。

 「あぁ、星の終わりを実際に見てみたいからな」

 「理論的に考えたら残ったあなた達が先に死んじゃうよ?」

 その返答の仕方に今は亡き美優の姉もよく言っていたものだと思い出す。

 「遺品だけでなく性格まで持ってきたのか?」

 「そうだよ、だからセンには感謝してるの私も、お姉ちゃんも」

 「………」

 「本当にありがとう、センのおかげだよこの星を出て、生きていこうって思ったのは」

 「お礼を言われるようなことはしていない、決めたのは美優自身だ」

 「でも居場所を作ってくれたのはセンじゃない、わざわざ紹介までしたの知ってるんだからね。」

 あの髭面の商人には今度から口約束はせずきちんと誓約でもしようかと本気で考えさせられた。

 「ももの言葉の通りに従ったまでだ。」

 「そうやってお姉ちゃんを出すあたり、素直じゃないね」

 「もういいだろ、忘れ物はしないようにな明日出るんだろう?」

 「この後用事でもあるの?そうやって話を切り上げようとするからモテないんだって、ネルケも言ってたじゃない」

 「ネルケの言う事は間に受けるな、記憶から削除してもいい」

 「残念ながら私にはまだメモリーもイフスも付いてないから任意で削除できませーん」

 そうだったなとセンは少し儚げに笑った

 そんな彼の様子に気づいているのかいないのか、美優はニコニコしながら話を続ける。

 「だから一生忘れないし、メモリー付けたらそっちにも登録する気だからね!」

 何とも気に入られたようだと鼻で笑う。

 「でも確かに色々準備終わってないから、そろそろ行くね!、、、そうだ!ねぇセン?」

 ようやく会話が終わるかと思っていたが美優からの問いに俺は分かりやすく首を傾げる。

 「最後かもしれないんだからさ、素顔見たいんだけどダメ?」

 その問いに俺は首を横に振った

 「それはできない」

 俺がそういうと、彼女は少しだけ寂しそうな顔をしたがすぐに笑顔でこう言った。

 「やっぱりか〜、お姉ちゃんでもダメだったんだしそうだよね〜」

 その言葉はあの時同じ場所にいた美優だから言える言葉なのだろう。

 「すまんな」

 「いいよ予想はしてたし、見れたらラッキーかなと思ってたぐらいだし」

 もう何年、このヘルメットをしているのか思い出せない。

 「本当にすまん」

 「いいよそんな謝らなくて、ただの興味本位だしね!」

 「そうか」

 「うん、 じゃぁ行くね!本当にありがとう絶対忘れないから!  またね!!」

 そう言い美優は足早に去っていった。

 走る足音と共に何か啜り上げるような音が聞こえたが聞こえないふりをする。

 周りでは自分以外にも数人慌ただしく移動している姿が見られる、おそらく美優と同じ船に乗るのだろう。

 A W C連合国の準備が整い、今朝のNEWSの通りなら明日の朝出るはずだ、その姿に少し嬉しく思った。

 自分達リメインズ、、、余り物がここ以外に居場所ができることに時間の流れを感じた。

 イボルブのようになれるかは別だが、そこからは美優達、この星を出て行き行動を起こしたものしか分からないことだとセンは判断し、自分も帰路につく。

 ヘルメットの機能が良いのも考えものだなとそう思いながら、、



メモリー 日記項目 1502この星の商店街!

 歩き続けて1時間くらい、休みながらもようやく集落のようなものが見えて来ました!こんなに歩くのは初めてです、嬉しさもありますがそれ以上に疲れました、、、

 義体で数時間歩いたり、親の付き添いで長い時間拘束されたことはありますが実体で疲労を感じたのは久しぶりです。

 しかし本当に集落?町?があるとは驚きです。マップやメモリーにも登録されていないのを確認すると本当にこの星は止まっている、いや捨てられた星なのでしょう。

 話に聞いていた通りこの場所は無法者どもの溜まり場と言われるのにも納得です。あそこで売られている義体は違法のものですし、通り過ぎる人達も違法に改造された

 武器や人体を所持しているのが目につきます。しかし私の予想ではもっと血生臭いところかと思っていたのですが、思いの外皆んな楽しんでいる気がします。

 人が集まるところにルールが生まれるのはどこでも一緒なのですね。と言っても私みたいな義体でもない人が歩いているのは危険なので姿を隠しながら

 歩いていきますが。

 あっ!あれはこの星でしか確認されていない皮膚病感染者ですね。と言うことはあの人も私と同じイボルブ側、センターや違う星出身でしょう。

 リメインズには確認されていないことから恐らく、センターや違う星で生まれた人が地球に長い間降りている場合発症する、と数年前に発表されていましたね。

 まぁ命に関わるような皮膚病ではないのでそこまで皆気にしてはいませんがどうも見た目が、、、

 恐らくセンターかどこかの星で犯罪を犯してこの星に逃げてきたか、どこかの奴隷なのか、、、それかただ単純に自殺志願者なのか色々予測はつきますが聞いてみなければ分かりませんね。

 私の場合感染したところで戻る気もありませんので、対した問題ではないです。さて色々見て回りたいところですがさっさと『grave garden』に向かうとしましょう。

 しかしわざわざビナグリントへようこそなんて看板立てたのは誰なんでしょうか?ゲームじゃないんですから、

 写真を撮ろうか迷いましたが残り3枚なのでやめておきました。もっと面白い場所なんかで撮りたいですしね!

 さて、また休憩を取りながら歩いて向かいます。しかしワクワクが止まりませんねこの星は!誰も見ていないのでちょっとスキップを久々にしてみましょう。


メモリー 日記項目 1502登録完了

 

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