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ー監禁生活2日目 朝ー

目が覚めた。


「うん。見慣れない天井。取り敢えず夢ではなかったらしい。トイレ行きたい…どうにかこの状況を打開する方法は無いものか。」


僕は考えた。冴えない僕は死ぬほど考えた。冴えないので当然頭も冴えない。僕は考えることを辞めた。


「ッスゥー…オォトイレイギダィィィッッ!!!!」


これは酷い。例えるならば欲しい物を親に買って貰えない時にする子供の最終奥義【ナキワメーケ】そのものだった。


あまりの轟音に驚いたのか寝起きの女性が慌てた様子で僕の元へ駆け寄ってきた。


「なになに!?何があったの!?」


「おトイレ行きたいので僕を解放してください。もうアレなんですよアレ、男として生きて行けるか行けないかの狭間に立たされているんですよ。必死なんです。」


慌てて様子を見に来た女性に対し水仙は平然としていた。だが手足を拘束された水仙の姿は平然としている人間の姿とは思えない程。


例えるならば地上に上げられた魚。

Gravity(グラビティ) fish(フィッシュ)

そう名付けよう。


「ふふ、ふふふ…あはっはっは。」


そんな水仙の姿を見て思わず吹き出してしまう女性。


「なぜ笑うんですか。早く解放してください。タイムリミットまで後3分、これ以上は持ちません。」


「ぶっ…わ、わかったわ。漏らされても困るものね。ふふ」


女性はそう言い、僕の拘束を解いてくれた。


拘束を解かれた途端僕は立ち上がりスーパーハイパー全力ダッシュで便器様が居られるトイレへ。

(その差僅か5秒)


「ふぅ〜…危うく女の子として生きていく事になるところでした。」


・・・


「ふぅ〜…危うく美少女として…」


「早く出てきなさいよ!!」


僕が独り言を訂正している最中、女性の怒りの声が僕の声を遮った。


「はいってますよ〜。」


(ドンッ)


「今出ます。ちょっとした出来心だったんです。すいません。許してください。」


「私だって寝起きでトイレ我慢してたのに貴方、どれだけ入ってるつもり!?」


どうやら女性も我慢の限界のようだった。


目の前にトイレを我慢している絶世の美女がいると思うと、なんかこう…来るものがありますね。


「どうぞ。僕の使用済みですが、良ければお使いください。」


「切るわよ?」


「ごめんなさい。」


あまり冗談の通じない美女でした。ええ、僕が悪いです。僕が。


女性がトイレから出てくるとトイレの前に立っていた僕に対し平手打ち3連発。


(水仙よ…強く生きよ。うん。強く…)


僕は自分にそう言い聞かせながら平手打ちの痛みに耐えた。


「朝ごはんの準備して。軽く食べられるものがいいわ。」


「かしこまりました。」


当然僕に拒否権などなかった。顔が痛い。僕は早速キッチンに向かった。


「何作ろうか。軽く食べられるもの…エッグサンドにしよう。そうしよう。天才。」


食材と調味料のリスト


・食パン 4枚 (2人前)

・ゆで卵 2個

・玉ねぎ 1/4

・マヨネーズ

・塩胡椒

・レモン又はレモン汁


「これくらいか。早速作っていくぞ〜!」


まずは食パン。耳は全てカット。耳の部分は後で使うよ♡


全ての耳を切り取った後、ゆで卵をスプーンか別の何かを使って潰す。潰して潰して潰しまくる。

※白身はある程度形が残ってると良い。


潰され無惨な姿になったゆで卵を一旦冷気の楽園へイン。


潰し卵が冷気の楽園で極楽ハッピーライフを送ってるうちに次の作業。玉ねぎをみじん切りにする。

※多少粗めの方がいい食感を生み出し咀嚼回数も上がる。食べた感が凄いんだこれ。


玉ねぎのみじん切り作業が終わったら楽園に居る冷え冷え潰し卵様を引きずり出し用意した調味料を加える。


〜まぜまぜ〜


玉ねぎも加える


〜まぜまぜまぜまぜ〜


耳がお亡くなりになった食パンにまぜまぜしたエッグオニオン様を乗せ挟む


これで完成だ!!


「出来ましたよ〜」


朝食ができたことを女性に伝え、食卓に着く。


「サンドイッチ?無難ね。」


「まぁまぁ。軽く食べられるものって言うリクエストなんですから、大体そうなりますよ。」


昨日のスイーツ?が印象的だったのか少し残念そうな女性。


不満そうにしながらもエッグサンドを口に運ぶ女性。


「あら、思ってたより美味しいじゃない。」


「レモン汁で少し酸味を出してます。風味も変わるので朝には持ってこいです。酸味と風味です。酸味。」


やはり僕のボケは華麗にスルー。そのままエッグサンドを食べ進める女性。


「そう言えば貴方、名前はなんて言うの?」


唐突な女性からの質問。お互い名前を知らないのを忘れていた。


「柳 水仙です。」


「水仙…変わった名前ね。覚えやすいわ」


変わった名前。よく言われます。


「え〜っと、美女お姉さんのお名前を聞いてもよろしですか?」


「そうね、名前くらい教えてあげてもいいわ。白雪(しらゆき) 妃華(ひめか)よ。覚えておいて。」


「あ〜…白雪姫か〜」


なんと僕の口が勝手に妃華さんの名前を弄り出した。僕は悪くないんです。口が悪いんですよ口が。


「切るわよ?」


「ごめんなさい。」


こうしてるうちに冗談の通じない妃華さんと冗談しか言わない僕の朝食は終わった。


「私、今から出かけるからお昼はいらないわ。適当に過ごしてて。逃げようと思っても無駄よ。外から鍵かけるし。窓から出ようにもここ13階だから落ちたらぽっくりよぽっくり。」


「わぁお。」


もうアレです。籠の中の鳥。等と考えてるうちに妃華さんは出かけて行った。


「う〜ん…寝るか。今は拘束されてないんだし快適に寝れそう。フゥウッ!」


僕以外誰もいない家での独り言。辛い。


床に布団を敷き寝た。


〜夜に続く〜

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