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ダブり集

転落

作者: 神村 律子

 私はホラー小説家志望の無職の男です。


 もう40代です。


 周りからは白い目で見られています。


 両親共に私のこれからを心配しながら他界しました。


 私自身も心配です。


 本当に小説家になれるのだろうかと。


 才能がないのだろうかと。


 


 何度か出版社に原稿を持ち込んだ事があります。


 でも返って来る言葉は、


「全然ダメ、諦めなさい」


の類いでした。


 その度にもう諦めて仕事を探そうと思うのですが、できません。


 交流のある小説家志望の集まりでも、私は最年長。


 昨年までは50代の方がいましたが、その人はデビューを果たし、去って行きました。


 そればかりか、年下の人もデビューし始めました。


 やはりもう限界だ。


 そう思いました。


 そして、遂に諦める決心がつきました。


 何度か原稿を持ち込み、顔を覚えてもらった出版社の方の家に行った時でした。


 私は目の前で眼を見開いて息絶えている編集者に唾を吐き、家を出ました。


 幸い、家族は出かけています。


 私は悠々と玄関から出て、その場を去りました。


 そして別の決心をしました。


 小説家になれないのなら、今まで考えた事を自分で実践してみようと。


 そうすれば、少なくとも私の名前は世に知られると。


 狂っていると思われますか?


 確かに私は狂っているのでしょう。


 正気の人間が思いつく事ではありません。


 そして今、また1人、目の前に獲物が現れました。


 近所の主婦です。


 私が編集者の家に出入りしているのを何度か見られています。


 口を封じた方がいいでしょう。


 私は愛想笑いをして、彼女に近づきました。

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― 新着の感想 ―
[一言] うむ。 まさに絵に描いたような転落ですね。 やっぱりプロになるのはたいへんですよね。 この人みたいな人、実際に何人いることやら。 勿論“転落前”のこの人ですw 次作も楽しみにしています。
2011/01/29 21:31 退会済み
管理
[一言] 楽しく読めました。 少し厳しいことを書きます。狂気が全体に足りていないと思います。本当に狂った人は自分が狂っていると客観的に判断することが出来ないため、『確かに私は狂っているのでしょう。』の…
[一言] 文章は、短く区切って書かれていたので、非常に読みやすかったです。 ただ、途中でものすごい事態が起こったのに、行間が一定のままだったので、一瞬見逃しそうになってしまいました。できれば、行間を他…
2009/08/14 16:17 退会済み
管理
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