表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

北地区

 ロブが北地区に足を踏み入れると街の雰囲気はガラリと変わっていく。すれ違う人々も剣を帯びている者が増え、ローブで全身を覆った怪しげな者や、亜人と呼ばれるドワーフやホビットの姿も見かけた。


 ここは冒険者と呼ばれる者達が多く暮らす地区だった。


 治安のよいアルビオンでもこの地区は例外で、ここで暮らす冒険者は護身用の剣を帯びているのが普通だった。訳ありの流れ者も多く、一般市民はあまりこの地域には足を踏み入れなかった。


 建物も武器屋、鍛冶屋かじや、安い宿、賭博場_とばくじょう酒場、旅に必要な道具屋など、冒険者と呼ばれる者たちに必要な建物が立ち並んでいた。


 ロブはさらに進み北の城門近くの、古い石造りの建物の前で立ち止った。


「これ配達したらメシにしような」 


 ロブはそう言って愛馬を柱につなぎ、建物に向かった。


 その建物は二階建てになっており一階は酒場になっていた。入り口の看板には『ルイザの酒場』と書かれてあり、まだ営業前のようだ。


 ロブが両開きの木製の扉を押し開けると、扉は少し錆びた音を立てて内側に開いた。


 薄暗い建物の中に入ると酒の匂いが鼻につく。いつから寝ているのか酔いつぶれた大男が奥のカウンターで大いびきをかいている。


 一階の酒場は準備中で丸い木のテーブルの上に椅子が逆さまに置かれ、小太りのおやじさんが床を掃除していた。


「おはようサンチョ。ルイザさんもう来てますか?」


 マントと手袋を外しながらロブは声をかけた。


「お~来たかロブ」


 サンチョと呼ばれた小太りのおやじさんは意地悪な笑顔を見せながら掃除の手を休めた。そして二階を指さしながら額の汗をぬぐった。


「今日も遅刻か? ルイザもアルフレッド爺さんもとっくに来とるぞ」


「遅刻じゃないよ! あの二人が早過ぎるだけだよ」


 ロブはそう言うと憮然とした表情で二階へ駆けあがった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ