壊れ始めた歯車
ヤンデレの恋愛話を書きたくなったので投稿してみました。
まぁ最初だしプロローグみたいなものなんでヤンデレ色は無いですね。
最初ですし……ね?
最初と男主人公の名前変えました。
『翔』→『涼平陽斗』
すみません
「好きです、付き合って下さい」
中学校生活最後の、誰も居なくなった教室で僕、涼平陽斗は人生で初めての告白を受けた。
慣れきった教室。
それでもふと周りに意識を向けると、ツンと来る木材の香りに確かな歴史を感じる。
少し開かれた夕暮れ空の見える窓から、未だ残る少しの冷気を纏った心地の良い風が頬を撫でる。
そんな風と共に消え入りそうな程か細いその声は、不思議と僕の耳にはしっかりと聞こえた。
——どうしよう
まともに顔も見れず、僕は床を見つめる。
『何て返せば良いのだろう……。』
早く返さねばという焦りと恥ずかしさで、体が熱くなる。
返す言葉が見つからず、永遠を錯覚してしまうような、時間だけが過ぎていく。
汗が額に滲む。
目に入りそうになった汗を片手で拭い、不意に前を向く。
——目が合った。
彼女、咲ノ原彩菜は優しく微笑む。
少し涙を滲ませた、細縁の眼鏡をかけた大きな茶色の瞳に、汚れ等知らないであろう今は少し赤らめた綺麗な白い肌。
鼻は特別高くもなく低くもなく、腰までに届く癖の無い真っ直ぐで艶のある黒髪。
世間一般的に言う美人だ。
身長は僕より少し小さいぐらいの160cmほどで、落ち着かないと言いたげに、両手を後ろに組む。
その結果平均以上はあるであろう胸が強調されてしまい、僕は少しの間目のやり場を失う。
そんな彩奈を見て、僕は……
「綺麗だ」
そう思った。
カチッカチッと丸時計の音だけが聞こえる。
沈黙。
『間違えたァァァァァァ!!!』
心の中で僕は叫ぶ。
思った事を口に出してしまった……。
後悔で胸がいっぱいになる。
僕なんかが言ったらキモイだけだ。
今すぐ謝らないと……!
「ごめ——」
そう言おうと口を開いたその時、彩奈は恥ずかしそうに
「嬉しい……!」
そう言うと先程より顔を赤らめながら、頬にかかった髪を整える様に片手で耳に掛ける。
顔を見れない。
そう言いたげに彩奈は視線をズラし、俯く。
『反則だろ!!』
僕はそう強く言いたくなるのを抑え、その気持ちは心の中に留めておく。
何故だかこっちまで恥ずかしくなってくる。
彩奈が好きと言ってくれて凄く、凄く凄く凄く凄く嬉しい。
『だけどっ……!』
僕は彩奈の意思に答える事は出来そうにない。
だって、それは……それは、彩奈が……
幼馴染だからだ。
一人の女性として見る事なんて、今の僕には出来そうにない。
だけど、断る事も出来ない。
それは彩奈を傷つけてしまうから等という理由ではなく、僕が……僕が彼女に嫌われる事を恐れているからだ。
相手では無く自分の事を心配する自分自身に、僕は苛立つ。
なんて最低なんだと自分の事を罵っていると、
「いいの!!」
彼女は強く、でも悲しそうな口調で言う。
「ちょっと早かった……みたい、だね……」
声が段々と小さくなりながら、彼女はそう言った。
ほら、やっぱりそうだ。
僕はいつも彼女を傷つけてしまう。
「でもさ、私ははるくんのこと大好きだから」
透き通った目で、僕へ微笑みながら彼女はハッキリとそう告げる。
「あっ、あとさ、はるくんに好きになってもらえるよう……私、頑張るからね!」
少し照れながら、笑顔で彼女は言う。
今日が最後なのに頑張る……か……。
もう僕達はこんな風に話す事は無いだろう。
そう思うとジワっと目が熱くなるのを感じる。
「おう!」
僕は笑顔でそう答えた。
なにが『おう!』だよ!!!
何やってんだよ。と、自分を嫌いになりそうになってるのを彩奈は知らないんだろうな。
なんて思っていると、僕の笑顔を見たお返しか
「またね!!」
彩奈は花のような笑顔で別れを告げ、今までの恥ずかしさからか、逃げるように教室から出る。
その時に彼女の片手からチラリと銀色の何かが反射するが、彼は気付かない。
「卒業……か……」
自分だけが聞こえる声で、僕はそう呟く。
もう来る事はない教室に寂しさを感じながら、少し、少しの間だけ、昔の事を思い出す。
少年は気付かない。
今、この時、人生の歯車が狂い始めた事を。
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