7_マリアの手料理
マリアも一応貴族の娘らしいが、性格は普通よりに感じられる。
「アンネリーとは仲はいいのか?」
「何で仲がいいことになるんですか?スタンさんとはいえ、今のは愚鈍すぎます。」
愚鈍と言われてしまったが、マリアの言う通りだとこれからの任務に支障をきたす恐れがある。
「とりあえず、アンネリーにも食べさせてたらどうだ?もしかしたら喜ぶだろうし。」
そう言った後、二人はアンネリーを探し回る。
城の中が広いため見つけるのが大変だが、歩くだけでも一日を終えられそうだった。
「宮殿区はまだ立ち入り禁止だっけ?」
「はい。シャロですら入室を許されません。でも、ちょっと大げさな気もしますよね。こんな大きな城なんて誰も求めてないのに。」
「誰もって。別にみんな否定しているわけじゃないだろ。」
「私の親族たちは王城の建設を反対していましたから。戦略的にも意味がない、ウォルト王の道楽で国家予算が削られたとか。この城を喜ぶのはアンネリーのような成金だけだと思います。」
「成金て。」
かなり酷いことを言っているが、アンネリーは財界のトップにいる人間の一人娘だ。
当たらずとも遠からずだが、今の発言はただのギャグだと思いたい。
「でも、シャルロッテすら入れないっていうのは不思議だな。同じ王族なのに。」
「それは分かりません。もしかしたら、単純に建設に反対した王族の一人だからかもしれませんけど。」
「そんな簡単な理由で入室を断られるのか。」
この場合、入室というよりは入場と言った方が正しいだろう。
「リーネにも後で入らないように言わないとな。かなり面倒だけど。」
「リーネさんはスタンさんの従者なんですよね。二人はどういった関係なんですか?」
「リーネは、単純に魔法が使えたから。従者としても、割と相性が良かっただけだよ。」
「リーネさんとは騎士と従者の関係で、それ以上じゃないんですね。」
「よく言われるけど、リーネはあくまで妹みたいなものだよ。」
彼女の経歴をまさか出会って間もない子に話すわけにもいかない。
リーネはある意味、騎士の従者の才能があっただけでそれ以外の特別な感情は持っていないんだ。
「リーネさんは可愛いですから、もしかしたらってあるじゃないですか。」
「それはないよ。」
「人間て難しい。」
何が難しいのかよく分からないが、マリアが考えているような世界は無いだろう。
むしろこの小隊にいた方がいいだろうが、1、2年しか在籍できないのは悔しところど。




