3_挨拶
馬を城の敷地内にある馬小屋に預けた後、二人はそのまま軍の司令室へ向かう。
リーネが途中で怪我をした動物を治癒していたら他の動物が一斉に寄ってきて思ったより時間を食ってしまった。
「本日よりアインリッド軍王城拠点駐留部隊に着任することになりました。スタン・ローグです。」
「従者のリーネ・ストラトスです。」
目の前にいる、二人の新しい上官に対し挨拶をする。
「コルネウス・ゴートマンだ。遠方からご苦労だったな。これから王城の騎士隊長として、十分な活躍をしてくれることを期待する。」
現在、スタンとリーネはネイアという場所から異動することになり、王城に駐留する部隊を指揮することを任されるようになった。
前の指揮官が高齢に達したことを理由に退役したらしく、新しい指揮官としてスタンが選ばれる。
「今回、リーネ・ストラトスは従者としての役目からスタンが率いる部隊の一員として編成されることになる。長い期間をアインリッド王城を中心とした活動を行ってもらうが、何か質問はないか?」
「質問よろしいですか?」
リーネが挙手する。
「何で私も部隊の一人に編成されたんでしょうか。」
今ここで言うのか?とスタンは思ったが、そういえば説明されていなかった。
「スタン・ローグがこれから指揮を担当するのは、魔法騎士だけで編成された小隊だ。」
「魔法騎士?」
「君も魔法に関して十分な能力を秘めているからな。君ならあの部隊に溶け込めるだろう。」
リーネは騎士の従者であり、本来なら戦闘に参加することは殆どなかった。
彼女が部隊の一員にスカウトされたのはリーネにとっても驚くことだった。
「私、治癒魔法しか使えませんけど。」
「小隊のバランスを考えた上では、君も必要な人材になる。
ブリランテ小隊、君達が配属される部隊は主に魔物の討伐を行うことだ。魔物を討伐するには、魔法によって能力が向上している人間でなければならない。ブリランテ小隊はその討伐に特化した精鋭部隊として任務を遂行することが目標になる。」
「魔法騎士だけで編成されたとすると、年齢もリーネと同じぐらいの子ばかりになりますね。」
リーネのように魔法を使える少女たちは、大体18歳から魔法の能力が衰退していまう。
魔法を使える人間は二種類あり、元から魔法が使える人間と妖精を使役して魔法を使う人間がいる。
リーネは前者で、スタンは後者ということになる。
魔法騎士はコルネウスの言う通りであれば、ほぼ全員がリーネと同じ未成年だろう。
魔法少女、妖精を使役せずに単独で魔法を使える少女たちで編成された部隊ということは。
スタンには、ある意味王城よりも悪趣味としか思えない感想しかなかった。




