12_正義の戦い?
セシリアは適当に買った菓子パンを一口で食べた後、立ち上がって背伸びする。
「そろそろ帰らないと。あの二人、まだ買い物してるのか?」
「行ってみる?」
「すぐに見つかるわけじゃないし。むしろここで、って。」
「どうかしたの?」
セシリアは何かを見つけたようだが。
「あいつ、まさかまた。」
「セシリア?」
「とりあえず私について来て。話は後でする。」
突然走り出すセシリアに、リーネはただついて行く。
何が起きているのかは謎だが、一応命令に従うことにした。
町の狭い通路に走って行く。
段々と空も暗くなり、視界が悪くなっていくような気がした。
「あれは、誰か囲まれてる。」
誰かを追っていたその先に、人が複数の人間に囲まれていた。
「お願いです、まだ稼いだ金が少なく!?」
「こっちも毎回待たされるのが辛抱できんからな。大人しくお前の大切な物を渡せばいい。」
「大切なもの?まさか、娘を!?」
「お前の家族はどこだ?答えるんだ!」
あまりいい雰囲気ではなく、すぐに助ける必要のある状態だった。
「セシリア、どうしたらいい?」
「多分、あいつが来るから待って。」
「あいつ?」
あいつとは誰なのか。その疑問を考える途中で、男性が暴漢達に襲われそうになっていた。
今からリーネは魔法を使おうとした時、屋根の影から複数の光が放たれる。
光の剣だ。魔法で構成された魔力の剣に暴漢達は驚き動きを止める。
「何だ!?」
「まさか、また奴か!?」
その場にいる人間が全員上を見上げる。
そこには一人、月を背に構える人影があった。
「そこまでよ悪党ども!」
セシリアはやっぱりかという表情で、その知り合いを見て苦笑いしていた。
知らない人間にとっては、意味のよく分からない存在を前に戦慄している。
その存在は華麗に飛び降り、地面に着地した。
リーネはやっとその人間が誰なのか分かったが、ピンクとリボンの服装に目を奪われて声が出なかった。
アイリーンは、自分が持っている魔法杖を彼らに向け攻撃態勢に入る。
「貴様は、月光騎士!?」
「そこの人から離れなさい。出なければ貴方達を全員病院送りにするわ。」
「くっ、こんなところで引き下がれるか!」
反抗の意思を見せたのが最後、暴漢たちに容赦なく魔法が放たれ爆砕していった。
「あの、あれは一体。」
「アイリーンは、二つの顔を持っている。一つはブリランテ小隊の遠隔魔法射撃を得意とする魔法少女。そしてもう一つは、町を守る正義の魔法少女ということかな。」
意味が分かりません、とリーネは心の中で叫んだ。