10_小隊内の関係
他の少女たちは今どこに居るのか、今度は一人で探してみる。
気になる場所があるとすれば、あの場所だろうか。
城の中で飼育されているドラゴンの養育場があり、これから任務がある場合はそのドラゴンに乗って目的地へ行く。
小型で人に懐きやすいドラゴンの一種が、最大十匹ほど飼われている。
ドラゴンに騎乗するのはそこまで難しくはないが、落下にはかなり気をつけた方がいいだろう。
「あ、いた。」
ニナ・クールバリと思われる影があった。
ショートカットの、かなり幼く見える外見の少女だ。
「スタン、隊長だな。」
「ここで何してるのかな。」
「暇だから適当に相手していただけ。」
「任務があったら、一緒にドラゴンに乗って飛ぶことになるね。」
そうしてニナの前にいたドラゴンに近づくと、唸られてしまった。
「こいつは私とアイリーンにしか懐かないんだ。だから、スタンは乗れない。」
「このドラゴンにも、懐かない子は居るんだ。アイリーンは今どこに?」
「多分また外で変な事してる。」
「変な事?」
「言葉には出来ないけど、恐らく部隊の中では一番の変人だから。」
「最初見たときは普通の女の子に見えたけど。」
「それがあいつの取り柄だからな。問題は彼女の趣味。まあ、後で分かるだろうけど。
「普通なのに変人?」
よく分からないニナの言い方は、後でアイリーンに会えば分かるだろう。
「とりあえず、ニナは他の子とは仲がいいのか?」
「会って一年程度なら、普通はみんな仲良くなるだろうけど。シャロとツェツィーリアの二人だけは勘弁してほしい。後、マリアもね。」
「えっと。マリアから何かされたのか?」
「されたというか。友達になりたいとか言ってあの笑い方するから。スタンは見なかった?」
「マリアの後ろに居たから分からなかったけど。アンネリーは涙目だったな。」
「そう。それは愉快な出来事だ。」
「マリアはアンネリーに怒ってるわけじゃないのか。」
「さあ。アンネリーは誰でも怒らせるから。気にしない方がいい。」
いや、誰でも怒らせるのはよくないだろう。
「部隊の仲がよくないって秘書から聞いたけど。実際どれくらいなんだ?任務に支障が出るくらい?」
「仲が悪いというより、遠慮しているだけ。秘書は今よりも部隊の連携を強くしたいから無神経なことを言える。シャロは王族だし、ツェツィーリアは貴族の中の貴族。そして更にエミーリエは外国の特権階級を会得しているし。まともなのは貴方の従者、リーネしか居ないことになる。」
ブリランテ小隊の中で、一般庶民から選ばれているのはリーネただ一人。
他の少女は地位や名誉のせいで、お互いに遠慮しているのが多いということかになる。そういうことだろうか。