表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

~序章~


 俺は何をしているんだ。


 暗闇の中、途絶えていた意識が戻る。

はっきりしない意識の中自分の置かれている状況を把握しようと思考する。

頭痛がそれを拒んだ。

体の感覚が戻るにつれ、凍える寒さが体を襲う。


 思考を諦め、意識を外に向けると騒音の中から微かな声が聞こえた。


 誰かがいる……。


 次は聞き逃すまいと耳に意識を傾ける。

しかし、先刻から聞こえる騒音が邪魔をした。


「おれはここだ!」

じっとできず、俺は叫んだ。


 遠くから大きくなった声が届く。

だが、声はまたしても騒音にかき消される。


 声の主も俺を探しているのかもしれない。

そう思うと居ても立っても居られなくなった。


 ここにても仕方がない。

助けを求めるように俺は声のもとに向かって歩き始めた。

酷く冷たい体と不安定な足場が向かう足を鈍重にする。


 はやる気持ちと覚束ない足取りのギャップが足をもつれさせる。


 何度も転び、何度も立ち上がり歩いた。

そして、一歩また一歩と進んだ。

孤独による不安から逃れたい一心だった。


 声が近づき安堵したのも束の間。

不意な浮遊感、刹那の後落下。


 意識と体は濁流に攫われていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ