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第一章 ボーダーライン01
世界中の人々を救うために、自らを犠牲にしたイエス・キリスト生誕の翌年が西暦の始まりだと言われている。
西暦と呼ばれ、二〇〇〇年の時が過ぎた。
二〇〇〇年を迎えようという年の暮れ、この国は大いに盛り上がっていた。
ミレニアムという言葉が町を飛び交い、テレビやラジオもその話題で持ち切りだった。耳をかすめていく歌もミレニアムにちなんだものばかりで、年末のテレビ番組はミレニアム一色だった。
何かが変わる。
何かが起こる。
誰もがそう思っていたような気がする。
ミレニアムを過ぎ、携帯電話が進化した。テレビ、ゲーム、自動車も進化した。財布も電子マネーへ進化した。不変のものなど存在しないのかもしれない。全てのものが変化し続けることには変わりはない。ただ、それが進化か退化かは時が過ぎなければ真実は分からない。
変化したという事実以外は誰にも真実は分からないのかもしれない。