表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/18

第14話 夢破れる時

「料理コンテスト?」

「そう、皆で祭りの催し物を考えたらそう結論が出た。各地の風習が違い過ぎて共通するものがおいしい食べ物しか出なかったんだよ」


 モフモフ村のお祭り当日、アレクはテディから料理コンテストを開くので審査員になってほしいと言われた。


「アレ坊なら各地を渡り歩いて色んな食べ物を食べ歩きしたのだろ。公平な審査が期待できると思う」


 そう言われると断れない。鳳凰大陸の料理について女神を除けば最も多くの種類の料理を食べたのはアレクに違いないのだから。


 しかしそうなるとロリアとは一緒にお祭りを楽しめない。残念に思ったアレクだったがたまには12歳の少女として自由に遊ぶ機会が有ってもいいかと考えた。


「という訳で私は仕事が出来たからロリアは私の事を気にせずに自由にお祭りを楽しんで欲しい。付き人としてサクヤを護衛としてドレイクを付ける」

「ドレイクさん?」


 アレクと一緒にお祭りを楽しめない事には納得したロリアだったがいきなり知らない名前が出てきてロリアは戸惑った。


「私たちを運んできたドラゴンの名前だ」


 そう言ってアレクは両手を叩いた。すると身長がロリアとそう変わらない子供サイズの鎧が現れた。


「オウリュウマルから聞いたとはずだけどドラゴン…スピリットアーマーは魔力が強ければ強いほど操れるパーツ数が増えて大きく慣れる。逆に言うとパーツ数を減らして小さくなることも出来るんだ。ドラゴンたちは普段ネストではこの鎧姿で休暇を楽しんでいるんだ」

「初めまして。成竜級三番機ファイヤードレイクです。ドレイクとお呼びください。私の本体は広場の中にいるドラゴンの体の中にあります。そのため本体から遠くに離れることは出来ません。具体的には村の外に出ることは出来ませんのでお気を付けください」


 ちいさなドレイク()はお辞儀をしてそう注意をした。アレクに黙って村の外に出るような事は無いだろうと判断しての事だった。


「見た目は小さいがこの状態でもオウリュウマルよりもずっと強いから安心して欲しい」

「分かりました。行ってらっしゃいませアレクさま」


 アレクを見送るとロリアは2人を伴って村の中を見て回った。村の外から人は来ないし食べ物は催し物でたくさん出されるので屋台などは出ていない。代わりに獣耳を付けてコスプレ(?)した獣人たちが村のあちこちを自由気ままに飾り付けていた。


「この光景を見ると故郷を思い出します」

「故郷?ブラウン領ですか?」


 ロリアがポツリとつぶやいたのでサクヤが気になって聞いた。


「私の故郷のブラウン領は開発されてばかりの土地で私が幼い頃は贅沢する余裕が無かったんです。でも年に一度、収穫祭くらいはきちんとやりたいって。自給自足が精一杯であまり贅沢は出来なかったけど皆で頑張って楽しいお祭りにしようとしていたことは覚えています」

「そんな事が有ったんですか」


 ロリアの昔話を聞いてサクヤはじーんときた。


「そんな時でした。かぼちゃマンが現れたのは」

「え?」

「本当の名前はぐん…、長くてよく覚えていないのですけど頭がかぼちゃだたのでかぼちゃマンと呼んでいたのを覚えています。そのかぼちゃマンがお菓子をたくさん持ってきて子供たちに配ってくれたんです」

「それって何年前の事だか覚えていますか?」

「確か私が7歳の時の事だったから5年前ですね」


 ロリアの返事を聞いてサクヤは心の中で頭を抱えた。


「後で聞いたらかぼちゃマンに祝福をかけて貰っていい子にしていると願いが叶うみたいなんです。実は私も祝福をかけて貰ったんです。それであの時私はお菓子をいっぱいくれるかぼちゃマンのような人のお嫁さんになりたいなと願ったりしました。アレクさまには内緒ですよ」


 唇に人差し指を当ててシーとするロリアを見てサクヤは顔を青ざめた。


「それって…」

「駄目よ。言っちゃだめ」


 一緒に話を聞いていたドレイク()が何かを言おうとしたのでサクヤは慌ててドレイク()を口止めした。


「世の中には知らない事の方がいいことも有るのよ」


 そう言うサクヤをロリアは不思議そうに見上げるのだった。


「大変よ!なまはげジャックが出たわ!」

「あの人は…」


 そして気を取り直そうとしたら東の国の出身らしい獣人がそう言いながら走って来た。


「あの、なまはげジャックって何ですか?」


 ロリアは呼び止めると走って来た獣人は足を止めてロリアの元にやって来た。


「私の故郷に伝わる鬼、なまはげの体にかぼちゃの頭を持った怪人よ。大ナタを持って悪い奴はいないかと徘徊して悪人を成敗する鬼よ」

「かぼちゃマン以外にもかぼちゃ頭は居るのですね」


 ロリアがそんな事を言うと別の獣人がやってきて話に加わって来た。


「現れたのはキョンシー・ジャックでしょかぼちゃ頭のキョンシーでピョンピョンはねながら拳法を繰り出すする鬼よ」

「あら、私はディラハン・ジャックと聞きましたわよ。かぼちゃの頭を持った首無しの騎士で悪人を成敗するという伝説の騎士ですわ」


 それから他の獣人たちもやってきて様々なかぼちゃ頭の怪人の話をした。


「あの方達は…」

「かぼちゃで正体を隠せばいいという訳でも無いでしょうに」


 サクヤとドレイク()が話を聞いてズーンとしているとロリアが質問をした。


「それでそのジャックさんは何をしに現れたのですか?」

「料理コンテストの料理が肉料理ばかりなので根菜の使者として野菜料理を作ると言って料理を始めたよ」

「あの人って料理できたっけ?」

「プロの技は持っていませんが自炊は出来たはず。それに各地を旅をしてレパートリーは多いと聞きました」


 獣人たちの話を聞いてサクヤとドレイク()はそんな事を話し合っていた。するとロリアが2人に命令した。


「コンテスト会場に行きましょう。もしかしたらかぼちゃマンが来てくれたのかもしれません」


 そう言って2人が止める間もなくロリアがコンテスト会場に向かったのでサクヤ達は慌ててロリアを追いかけた。しかしロリアが会場に着くと料理は完成していてかぼちゃの怪人は居なかった。


「おばあちゃん、かぼちゃマンは?」

「そこの物陰にいるよ」


 テディに聞くとあっさりと居場所が分かったのでロリアはそのまま突撃した。そしてすぐに戻ってきてサクヤに抱き着いた。


「サクヤさん、かぼちゃマンがかぼちゃマンが…」

「ロリアさま」

「かぼちゃマンの正体がアレクさまだったんです」

「ええ、知っていました」


 長い間信じていたサンタの正体が父親だたと知ってショックを受けたような様子のロリアに対して5年前ペットとして飼われていた時に嬉々としてコスプレしてお菓子を配っていたアレクの事を知っていたサクヤはそう答え。お菓子を運ぶのを手伝わされた事が有るドレイク()は頭を抱えたのだった。




 おまけ かぼちゃ戦士団パンプキン・ウォーリアーズ構成員一覧


 軍服ジャック かぼちゃ戦士団パンプキン・ウォーリアーズ団長。最初に現れたかぼちゃで自分の頭をくりぬいて作ったお菓子を配って回るという。お菓子を食べた良い子は幸せになれると言われている。


 ディラハン・ジャック かぼちゃ頭を手に持った首なし鎧。リビングアーマーの一種と言われている。見た目は兜がないリビングアーアマーなのだが手にしたかぼちゃのおかげでデュラハンに見える


 なまはげジャック なまはげの体をもつかぼちゃ。鉈さばきがすさまじく熟練の戦士ではないかと言われている。


 キョンシー・ジャック キョンシーの体を持つかぼちゃ。功夫の使い手。

 

 くのいちジャック かぼちゃのくノ一。頭が大きいので実は隠密行動が苦手。


 スネーク・ジャック かぼちゃ頭の蛇。お酒が大好き。

 

 スイート・P・プリンセス この子だけかぼちゃじゃない。Pはポテトの事だよ


 ヒーロー・ジャック かぼちゃの勇者。女の子らしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ