12-ドキドキ! ステータス確認@教会
今回は2話分です(5060字/空白込)。
区切るとだらけそうなので長いですが1話にしてしまいました。
明日は投稿できないかもしれません。
「アル君、アル君!起きた?さっそく教会へ行きましょう!あなたにどんな魔法が使えるのかを教えてもらいに行くの! さぁ、お顔を洗ってお出かけの準備をしましょうね!」
俺以上にテンションが高くなっている母さん。鼻歌まで歌っちゃってる。
起こされた俺はん~っ!と一度伸びをしてベッドから出て、母さんに連れられて洗面所へ。
母さんが土魔法「ブロック」で作った踏み台に乗って、顔をぺしぺし洗う。
顔を拭いて、食卓へ向かう。
出来たてホヤホヤのコーンスープにパンを浸して、ふぅふぅしつつ食べる。・・・猫舌なのだ。
母さんはすでに済ませたらしく、俺が使ったコップを洗い終わると俺に温かいコートを着せ、母さん自身もコートを羽織り外へ出る。
「アル君、寒くない?」
「さむい・・・。」
なんかこの体になってからすごく弱くなった気がする。寒がりだったり、猫舌だったり、猫舌だったり。
母さんはそんな俺の返事を聞くと、手をつないでくれた。
「わ。アル君のおてて、あったかーい。」
母さん。あなたが温かいってことは、俺は冷たいって感じている証拠です。
そんなことを言えるわけもなく、ぷるりと震えるのみにとどまる。そんな俺にクスリと笑う母さんが
「アル君、これ持ってみて。」
と言って渡してくれたのはファイアクリスタル(9等級)。
持ってみると、じんわりと温かい。ホッ○イロ代わりに使っていいのか、これ。
まぁ、温かいから持ってるけれども。にしても、魔石ってきれいだな。
ファイアクリスタルはルビーに似た輝きを放っている。しかし、宝石と比べると硬度は段違いに脆い。
しかし、まだ低いところにいる太陽にかざしてみると元居た世界のルビーと遜色ない・・・はずだ。
太陽にすかして見とれている俺に母さんが、
「綺麗でしょ?ねぇ、アル君。」
「なぁに?」
「そのきれいな魔石を触って何か感じる?」
「あったかいよ!」
「・・・。」
母さんが黙ってしまった。・・・何かまずったか?
「アル君は魔力を感じ取ることができるみたいね。・・・よかったわね、アル君!魔法、使えるようになるよ! 教会にいこっか。」
そういって母さんは俺の手を引いて歩く。
数分歩いてゆくと、フリーマーケットのようなものが目に付く。
「あら・・・?そういえばアル君は朝市を見るのが初めてだったかしら。帰りに寄ろうね。」
まっすぐ歩いて行くと白い壁にステンドグラスの窓が映える建物の前につく。母さんが中に向かって
「神父様、いらっしゃいますか?」
と呼びかける。するとすぐにシスターらしき人が出てきた。
「すいません。ただいまここにいるのは私だけです。何かご用でしょうか?」
「息子のステータス確認をお願いしに参りました。」
「私でよければ行いますが?」
「よろしくお願いいたします。――ほらアル君も。」
前に一歩出て頭を下げる。
「おねがいします。」
「あらあら、ご丁寧にどうも。さぁ、こっちの部屋に来てね。」
つれられたのは狭い小部屋だ。そこに小さな机といすが2つ。さらに机の上には透明な板が乗っていた。
「この透明な板に触ってね。お姉さんがいいというまで離さないで。」
「はーい。」
「ふふっ。じゃあ、始めるわね。」
手を載せてしばらくすると、透明な板に文字が浮かびあってくる。
シスターさんはそれを書き写すようだ。絶句して固まっている。
・・・魔力だろうなぁ。
しばらく固まり、復帰してうつし終わるとに母さんのもとへ走ってゆく。おいおい、俺を忘れるなよ・・・。
「ライラさん!すごいですよ!」
「えっと、いったいどうしたんですか?」
「と、とにかくすごいんです!」
鼻息荒くなっているシスターさんに軽く引き気味の母さん。
「デュスケ魔法隊連隊長みたいです!」
誰だよデュスケって。いきなり固有名詞出されても知らん。
ちなみに、今あがったデュスケ。こいつはこの国の軍属で、魔法隊連隊長をしている。魔法ならだれにも負けない、とまで言われていて、かつMP保有量も人間離れしている。それでも4877/4877らしく、俺ならとっくに超えてしまっている。・・・と、母さんが言ってた。
「と、とりあえずステータスを見せて。」
「あ、はい、どうぞ!」
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アルフォンス=レヴァン 3歳
男 レベル1
HP F+ MP SSS
STR F+
VIT E
INT A+
RES B
AGI F+
・・・あれ?スキルは?
表記も微妙に違うし、どういうことだろう?あとで神様にでも聞くか。
「・・・。」
あ、母さんが絶句してる。・・・なんでシスターさんそんなに自慢げなの?
やりすぎたかなぁ・・・(※やりすぎです。)
「ライラさ~ん?・・・ライラさんってばっ!」
「ゅ!な、何かしら!?」
母さんのあげた声がかわいい。どうやって出したのか気になる。
「どうせなら、職業適性も調べませんか!?」
「え・・・でも、まだ3歳よ?早すぎるんじゃないかしら・・・」
そりゃそうだ。適性にもよるけど、どこかに仕える系のお仕事は無理だぞ。バイトあるし。
「いいじゃないですか♪別にみても減るものでもないですし!」
「そうかしら・・・なら、おねがいするわ・・・。」
押し切られる形でもう一度さっきの部屋に。
「今度はこっちに手を置いてね~」
床に置いてある直方体のやはり透明な石に手を置く。
そして、起動すると、
起動中・・・対象確認・・・個人名:アルフォンス=レヴァン 認証Y/N・・・認証確認・・・
モード起動 コード126835・・・職業適性診断 Y/N・・・確認・・・開始します・・・
保有魔力サンプル採取・・・確認。・・・ステータス確認・・・確認。職業データベースと照合中・・・
・・・照合終了。表示します。
適性職業一覧
魔術師・魔導師・魔力補填家・魔法技師・教会僧侶・教会司祭・冒険家・・・
「やっぱすごいね~・・・あれ?司祭?」
司祭の部分に何か疑問があるようだが、何がおかしいのかわからない。よかった。冒険家って職業として認められているんだ・・・。フリーター扱いじゃなくてよかった。
「ねぇ。キミ、もしかして神託受けられない?」
・・・いきなりシスターさんが聞いてきた。どういうことだ?
「えっとね。君の適性のある職業の中に教会司祭ってあるよね。司祭さんになるためには、教会で長く神様のもとで奉仕しているか、神託を受けられる人じゃないと慣れないの。いきなり、頭の中で声が聞こえることってない?
もちろん、言いたくなかったら言わなくていいよ?」
「聞こえたことがあります」
俺はあえてこう言った。
わざわざ教会に出向いてまでステータスを確認しに行くこと、「神託スキルを持っているか」ではなく、「神託を受けられるか」という質問。もしかすると、この世界で自分のステータスを知ることは普通なら無理なのかもしれない。
「そっかー。大きくなったら、神様のもとで皆に奉仕してみない?
教会で地域の人の悩みを聞いたり、災害に遭った所や、貧しい人たちの居るところに行って炊き出ししたりとか。神託が受けられる司祭様は少ないからねー。いろんなところから引っ張りだこだよ。
・・・って言ってもむずかしくてわからないか。」
たはは、と頭をかきながらシスターさんがそう言った。
・・・ある一定のところにとどまっていることはできない。司祭は無理かな。
「お母さんのところに戻ろう?」
・・・うーん。今日は特に収穫はなかったかな。
・・・あれ?魔法の適性受けるんじゃなかったっけ?忘れるところだった。
「まほうの、てきせいがしりたいです。」
「魔法の適性?あぁ、そっか。魔術師・魔導師の適性があるんだもんね、使える魔法も知っておこっか。」
またもや床に置いてある直方体のやはり透明な石に手を置く。
そして、起動すると、
起動中・・・対象確認・・・個人名:アルフォンス=レヴァン 認証Y/N・・・認証確認・・・
モード起動 コード254698・・・魔法適性診断 Y/N・・・確認・・・開始します・・・
・・・照合終了。属性の適性表を表示します。
基本属性 火 △
水 ○
土 △
風 △
特殊属性 雷 ○
毒 △
光 △
闇 △
空 △
「ありゃりゃ。これは・・・。
良かったというべきか、悪かったというべきか・・・。
まぁ、魔力が高いからよかった、というべきかな?」
どういうことだ?
よく言っていることがわからず、黙ってシスターさんを見る。
「んーとね。一応×印がないから、使えない魔法はないんだ。けれどね、◎がないからとっても得意っていう属性もないの。ちなみに私はね、こんな感じだよ。」
そういってシスターさんが俺と同じように透明な直方体に手を触れ、診断を開始する。
起動中・・・対象確認・・・個人名:ミザリー=フィレス 認証Y/N・・・認証確認・・・
モード起動 コード254698・・・魔法適性診断 Y/N・・・確認・・・開始します・・・
・・・照合終了。属性の適性表を表示します。
基本属性 火 ×
水 ◎
土 ×
風 ○
特殊属性 雷 △
毒 ×
光 ◎
闇 ×
空 ×
「こんな感じなの。◎があると、必ず×が出てくるみたいなの。×があると、その属性は使えないんだ。
ちなみに、成長過程や日々の過ごし方、使っている頻度や職業とかで少しずつ変わってるみたい。
私はもともと光属性、○だったんだ。代わりに、闇も○だった。
でも教会に入って、お祈りやお掃除、炊き出しとかをやっているうちに、いつの間にかこうなってたの。
治癒の魔法を使って、毎日お祈りしてたからかな。
闇属性はそもそも知らないから、別に使えなくてもよかったからね。」
説明どうもありがとうございます。けど、並みの3歳児にはたぶん、半分どころか3分の1も理解できないと思うよ?
「その点君は、全部○か△だよね。だから、魔力は多く使わなきゃだけど、全部使えるんだ。
魔力が多いから、魔術師・魔導師の適性が出たんだと思う。・・・もしこれで魔力が少なかったら、魔法職は絶望的だったよ。」
神様、ありがとう。魔力に関する練習してなかったら折角のイメージが無駄に…あれ?
イメージって無属性だったよな?・・・神様に聞くか。
「もういいかな?今度こそお母さんのところにもどろっか?」
特にここに居座る理由もない。うなずいてシスターさんの後について母さんのもとに戻った。
「ライラさん!職業適性と、属性適性の結果出ましたよ!すごいですよ。もう職業の適性が出てますもん。魔法は・・・よかったのかな?判断しづらいですけれど・・・。」
そういって母さんに、シスターさんが書いた診断結果を手渡す。
母さんは素早く目を通す。
「ま、魔導師適正がでてて、全属性が使えるなんて羨ましい・・・。
アル君、おうち帰ったらいろんな魔法を教えてあげるわ!楽しみにしててね!」
「うん!」
「シスターさん。今日はありがとうございました!ほら、アル君も。」
「ありがとーございました。」
「いえいえ。すごいもの見れて良かったです。こちらこそありがとうございました。またいつでもこちらにいらしてくださいね。」
「あ、そのことなんですが。できれば内緒にしていただけませんか?」
「えっと、何をでしょうか?」
「この子の魔力について。できれば、子供のうちは普通に過ごしてもらいたいんです。」
「特に報告義務じゃありません。むしろ守秘義務があるので、安心してください。」
「そうでしたか。あ、今日は本当にありがとうございました。それでは。」
「はい。神の祝福がありますように。アル君、バイバイ。魔法頑張ってね!」
「ばいばい、シスターさん!」
さぁ、家に帰ったら魔法の勉強だ。
お手数ですが誤字脱字等のご指摘、この小説の感想、評価をいただけると幸いです。