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「で、オレはなにをどうしたらいいんだ?」
琥珀がミレイの方を向いていった。
「私のことはミレイって呼んでね」
琥珀が頷く。
「まずは、琥珀の見たっていうのがどこの家かを確認しないとな」
コーガが琥珀を見ながら言う。
「どこって言われても…そこに行かなきゃわかんねぇぞ」
琥珀がコーガを見上げながら言った。
「じゃ、俺をそこまで案内してくれよ」
コーガが横に立っている琥珀の方を見て言う。
「え、おっさんとか?」
「おっさんじゃねぇ、コーガだ」
コーガが片眉を上げてから軽く咳払いをしてそういった。
「あ、そうだな…案内してくれたら飯おごるぞ」
コーガの提案に琥珀が腕組みをしてかかとを数回鳴らしてから
「なら、かんがえてやってもいい」
と言った。
「私も同行しても良いか?」
私はディーの方を見ながら言った。
ディーは目線を右にあげてから軽く頷くと
「そうだな」
と答えた。
「きんちゃんも行くなら僕も行く!」
私の隣からヒューゴの声がした。
「それはそうと、琥珀、この後どうすんだ?」
コーガが親指で琥珀を指差しながら言う。
「そうね…このままという訳にはいかないわね」
ミレイの言葉に琥珀が何のことかわからないようできょろきょろと視線を上下左右に動かしながらその場にいる者を見る。
「ミレイ様、私が面倒見るというのはいかがでしょうか」
エディンがミレイに声を掛ける。
「そうなるときんちゃんのところでということになるけど…」
ミレイが頬と顎に指を当てながら軽く首を傾けて私の方を向いた。
「琥珀が屋敷に来るということか?」
「そういうことになりますがヴィ様、よろしいでしょうか」
エディンが答える。
「私は別に構わないのだが…ヒューゴのご祖父君に許可を取らなくても良いのか?」
琥珀が一人増えたところであの屋敷にとっては問題なさそうだが。
「私の方からお伝えしておくわ」
ミレイがそういうのでエディンに頷いた。
「んじゃ、罠のあるとこ教えとかないと琥珀、かかりそう」
「確かに」
ヒューゴの言葉に私も頷いた。
「なんだ?オレのこと?罠って?」
琥珀一人が理解していないようで目をぱちぱちとさせながら私達を見る。
「ミレイ様、ヴィ様、ご了承いただきありがとうございます」
エディンはそう言ってから琥珀の方を見た。
「つまり、私が琥珀の面倒を見るということが決まったのです」
エディンはコーガの横に立っている琥珀の前に立つと琥珀を見下ろしながら言った。
「お前にめんどーなんて見てもらわなくたってオレはへーきだぞ!」
「お前ではありません。私はエディンといいます」
エディンにぴしりと言われて琥珀が黙った。
黙った琥珀をじっと見ながらエディンが言葉を続ける。
「琥珀はお姉さんには食べ物をもらってお姉さんの探している者を探しに来たのですよね」
「そうだ」
「いま、ここで食事をしましたよね」
「ああ」
「ここでの食事分、私の手伝いをするのは当然ですよね」
「うっ!」
「もちろん、ただ働きとは言いません。
私の手伝いをしたら食事と寝るところを提供いたします」
たたみかけるようにエディンが琥珀に言う。
「わーったよ、めし食った分はたらきゃいいんだろ!」
「わかればよろしい」
エディンは見事に琥珀を言葉で言いくるめた。
「手慣れているのだな」
私が感心しながらエディンに言うと
「弟がいましたから」
エディンが私の方に首だけ振り向いて言った。
「琥珀の所在が決まったところで今後の行動を考えていこう」
ディーが軽く手を鳴らしながら皆の注意を引き付けた。
「琥珀、俺のことはディーと呼んでくれ」
ディーが琥珀の方を見て言う。
琥珀が黙って頷いた。
「僕はヒューゴだよ」
ヒューゴは琥珀の方に歩んでいき腰をかがめて目線を合わせながらそう言った。
「私はヴィだ」
私もヒューゴ同様に琥珀の前に行き目線を合わせながら言った。
「わかったよ」
琥珀はそう言うと椅子にぽすんと音を立てて座った。
「まずは、そうだな、侵入した壁の確認もしておきたいな」
「おぉ!んじゃいまからそこにいこうぜ」
ディーの言葉に琥珀が跳ねるようにぴょいと椅子の上に立ち上がる。
「今からか?!」
コーガが驚いた声を上げると
「んなのはやいほうがいいだろ」
琥珀がコーガを横目で見ながら言った。
「その考え方は嫌いではないな」
「そうだろ!」
私の言葉に琥珀が我が意を得たりという顔をして腕組みをしてからコーガを見た。
「ほら、やっぱ、『野に放ったきんちゃん』だよな」
コーガが私と琥珀を交互に見ながら言った。




