3-13
「ディー、わざとだよね」
夕方、武局から戻ってきたヒューゴがディーを見るなり睨んだ。
「何のことだ」
ディーがかわすように言うとヒューゴがディーを強く見ながら
「昨日の夜のこと」
「……」
ディーが無言になるとヒューゴがディーに向かって突進するように体を近づけた。
「わざと警備薄くしたでしょ!」
ディーが顎に手を当てながらヒューゴから視線を外す。
「きんちゃんになんかあったらどうすんの!」
「お前が守るって言ってたろ…しかし、外に出るとは思ってなかったがな」
頭を軽く掻きながらのディーの言葉に、
「ヴィ様」
エディンが青い釣り目をことさら釣り上げてで睨んでくる。
何だろう最近エディンが私に対して容赦ない気がする。
「おひとりで夜に外に出るとは何事ですか!!」
耳をふさごうかと思う程の音量で言われた。
「ヒューゴもいたぞ」
「なお悪いです」
私の答えに勃然としながらエディンが言う。
「なぜだ」
私の問いにまた何故か部屋の中の皆の視線がエディンに向く。
このようなことが最近多い気がする。
「…とにかく、そのようなことは二度となさらないでください」
エディンは咳ばらいをしてからそう言った。
「?きんちゃん外って…どこから?気づかなかったけど」
ミレイの問いに
「窓から」
私が答えるとヒューゴ以外の全員から一斉に視線をもらった。
「ヴィ様」
また、エディンの目が吊り上がった。
「なんでまた窓なんかから」
コーガが自分の頭に手を置いてため息をつきながら言う。
「外への近道」
エディンの目の持つ迫力に押されて小さな声で答える。
「確かに、きんちゃんの行動力を計算に入れてなかったな」
ディーが額に手を当てながらため息をつく。
「きんちゃんをおとりにに使うなんてことしないでよ!危ないでしょ!」
ヒューゴが片手を腰に当てもう片手の人差し指を立てその手をディーの方にまっすぐ伸ばした。
「なんでそう思うんだ?」
「あそこにあと三人いた」
ディーの問いにヒューゴが目を半目にして睨むように言う。
「三人?」
ディーが怪訝そうな顔をする。
「と・に・か・く、そんなことしないで!」
一言ずつ区切りながらヒューゴが言う。
「私をおとりに使うなら言ってくれればよいのに」
私の言葉にヒューゴが慌てたように私の方を向いた。
「きんちゃんに言ったらそいつらについていっちゃうだろ」
ディーの言葉に私以外の全員が“たしかに”“あぁ”などと言いながら何回か首を縦に小刻みに振る。
そのような者に軽々とついていくものだと思われているのだろうか。
「知りたいことがあるときんちゃんは躊躇なく行ってしまうものね」
ミレイの言葉に皆が頷く。
「だから!きんちゃんにそんなことさせちゃだめなの!」
あれ、ヒューゴにまで言われてる。
「きんちゃんも僕のいないとこでそういうことしちゃダメ!」
「そうなのか?」
「僕が守るから…僕のいないところでしちゃダメ!」
私が困惑してるとヒューゴが後ろから覆いかぶさって両腕を私の肩から降ろして髪に顔を付けた。
「ぜったいダメ」
ヒューゴが囁くように小さな声で言う。
「考慮はする」
私の言葉にヒューゴが“もう”と言い、ヒューゴ以外がため息をついた。
「それはそうと、あの者は逃げてしまったぞ」
「あとを付けさせてはいる」
ディーの手腕であればそうであろう。
「私が見たのは左右の目の色が違う者だった」
私は昨晩の記憶をもう一度確認した。
「背はヒューゴと同じくらい、髪型はわからなかった。声は高くもなく低くも無かった。喉仏は確認できなかったので男女の確認はできなかった」
「うん、分かった。そのように伝えよう」
ディーはそう言ってからヒューゴの方を向いた。
「それはそうとヒューゴ。
さっきの話だが、あそこにいたのは逃げた者とお前たちと他三人ってことか?」
「そうだけど」
「……」
ディーが顎に手を当て眉を寄せた。




