3-9
「次はあの焼き菓子持ってきてね!」
別れ際、エルミに要望された。
結局、ここに三日ほど逗留させてもらってしまった。
私とヒューゴは今度は迷うことなくウィーガの薬草取りについていき、
エルミの家事を手伝ったりしていた。
迷わなくなった理由はヒューゴの腰についた紐をウィーガが持っていたためなのだが。
そして最終的にはウィーガに引きずられていた。
「きんちゃんは手際がいいわね」
手伝っているエルミに呼ばれて気が付いた。
いつのまにか名前がそれに固定化されている。
薬草を取って乾燥させた後メリッダのところに行きまた薬湯を作り飲んだ後、いくつかの伝承を教えてもらった。
が、伝承の中に『鷹』をうかがわせるものはなかった。
エルミに別れを告げた後、最初に会ったところまでウィーガがヒューゴを先導してくれた。
「きんちゃんいるからダイジョブだったのに」
「お前が道を語るな!」
そしてまた殴られていた。
「ちゃんときんちゃんについてくんだぞ聞いてんのか?!…腰ひも使うか?」
「いたい、いたい、やめてよ~」
ヒューゴがウィーガに耳を引っ張られて涙目で抗議する。
「きんちゃんのいるとこならわかるから大丈夫だもん」
耳から手を離されて痛む耳を押さえながらヒューゴが言う。
「はぁ?どういうことだ?」
「え、なんとなく」
「あほか!」
ウィーガがヒューゴをひと殴りしてから私の方に顔を向けた。
「ホント申し訳ないんだけどよ、こいつのことよろしく頼むな」
何やら同情された。
「色々、手間を掛けさせて申し訳なかった。ありがとうウィーガ」
私が礼を言うとウィーガはやや顔を赤らめて横を向いた。
「またこいよ」
「うん!」
ウィーガにヒューゴが殴られた。
「お前に言ってるんじゃない」
「必ず、焼き菓子を持参してくる心づもりだ」
私の言葉にウィーガが吹き出した。
「ん、そういう意味じゃないんだけどな…ほらっ!ヒューゴ早くいかないと夕飯くいっぱぐれるぞ!」
「んじゃまたね!」
そう言ってすぐにヒューゴが狼姿形になった、
「では、また」
私は片手を上げて挨拶をしてバルドの一族の里から離れた。




