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2-22話

 ロムリエは今はルダキア砦跡と呼ばれている。

山の麓から頂きに向かって段階式に造られている。

ただ、その兵糧庫などはすでに崩れ草木に覆われた場所になっていた。

長く狭い坂道の先にあった砦の入り口となる跳ね門も跳ねることもなくそこにあり一部は朽ちていた。

前衛塔は半分崩れただの筒状の建物になっていた。

そこに木や草が絡まるように生えていて足場は悪い。

そこまでの道にもやはり石柱はなかった。

私の横に静かに寄り添ってきたヒューゴを見た。

ヒューゴは狼姿形で本人の足で走ってきたので服を私の背中に括りつけておいた。

「着るか?」

私はヒューゴに聞きながら背中の荷物を下した。

周囲を見てからヒューゴが首を横に振った。

足場が悪いので狼姿形の方がいいとの判断のようだ。

馬をつないだできたミレイとヒューゴと共に徒歩で城門をくぐるとディーとコーガが斜路から降りてきたのが見えた。

ディーとコーガが崩れたいくつかの倉庫をまたぎながら私たちのもとに来た。

「他の者は主館に向かわせている」

もし、ユーディアナ嬢がここに連れてこられているのならまずは一番頑強に造られているであろう主館にいるのではないかという予測だ。

ここに来るまで他の者と出会ってはいない。

ということは、まだ主犯格の者はここにきていないということになる。

「では、私は来るであろうところを探してくる」

主館の方の犯人たちの方がたぶん手練れなので私が行くと足手まといになる。

先ほどの村で私の推論を話してあったので、ディーがあっさりと頷いた。

「じゃ、ミレイ、ヒューゴ、きんちゃんを頼むな」

コーガがそういってディーと主館の方へ向かった。

今回はたぶん精霊石いしが呼応しないだろうということで目視により探すしかない。

「ミレイ、『精霊堂』はどこだろうか」

『精霊堂』とは、精霊に祈りをささげるための建物なのだが、


『精霊に見初められし

清らかなる巫女の御子

精霊に愛されしもの』


と歌われる王であれば当然造っているのだろうと思う。

ましてや砦は戦うための物なので精霊の加護を祈るのは容易に推察できる。

「あるとするなら主館のそばになると思うわよ」

結局のところ私も主館のある内郭に向かうことにした。


 斜路を進み主城門のは落ちたままの跳ね橋を渡り内郭に入ると馬場を備えた中庭に出た。

右側に一部屋根の残った歩廊があったのでそちらに向かった。

『精霊堂』があるとすればこのような歩廊の先ではないかと思ったのだ。

歩廊は意外にも長く壁に沿って進むと横に細い別の通路があったので

そこへ行ってみることにした。

「私はここを見てみるので、ミレイは向こうの道を確認してもらえないだろうか」

「わかったわ、ヒューゴ、きんちゃんをよろしくね」

ミレイは片目を閉じて軽く微笑むと軽く手を上げて道幅の大きな歩廊に向かった。

細い通路を歩いていくと通路の向こうから誰かの足音が聞こえた。


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