2-21話
ネルシア村に着いた。
馬車から遅れること、一日だ。
ミレイに乗せてもらい馬で来たものの太ももの内側とひざの内側が痛い。
動きの模倣というのは容易にできるが、
それができるといっても使うべき筋肉まで模倣できるわけではない。
抱きかかえるように馬から降ろしてもらいよろよろと立つ。
馬に乗る練習などどこでできるのであろうか。
この話が落ち着いたら、ミレイに聞いてみようと思う。
「きんちゃんがいってた物…私は見なかったわ」
馬をつなぎながら背中に複合弓を背負ったミレイが言う。
右肩がやや上がっていたので弓が得意なのかと思っていたがやはりそうだったようだ。
「私も、見てない…ということは」
二つの可能性が考えられる。
ただ、一つ目の可能性はファルト師とユーディアナ嬢が
ルダキア砦跡にいた場合にのみ成立する。
二人がいなかった場合、二つ目の可能性である私の推論が外れているということになる。
ユーディアナ嬢の安全を考えると外れていたほうが良いのだが。
私がよたよたと歩いていると私が背負ってきた服を着たヒューゴが
私の前に背中を向けて立った。
先ほどまでヒューゴは狼姿形で私達の後ろからついてきていたのだ。
「きんちゃん僕の背中に乗って」
ヒューゴが顔だけ後ろに向けて私に言った。
「すぐに出ることになるだろうから必要ないぞ」
ディーたちと合流して話をしてもし一つ目の推論が合っているなら
すぐに砦に向かうことになる。
「いいの、いいの、少しの間でも痛くないほうが良いでしょ」
ヒューゴがはやく、はやくとせかした。
私が背中におぶさるとヒューゴの髪の中に
一本だけ金色に光っている髪の毛を見つけた。
「?」
何かが頭の隅で引っかかり私が首をひねっていると
ヒューゴが私の体を持ち上げなおしてから
”ふふふっ”と笑って
「どこにでも連れて行ってあげる」
と言った。
ディー達と合流して話を聞くと早馬で来たディーの部下がすでにユーディアナ嬢のお付きの侍女に話を聞いているとの事。
その部下から話を聞いたディーによると、ユーディアナ嬢とおつきの侍女は馬車でここまで来たところでファルト師の伝言があるという女性が現れてユーディアナ嬢だけを連れて行ったそうだ。
なにゆえ、そのような怪しい話に乗るのだかユーディアナ嬢の心情が理解できない。
ディーは話を聞いてすぐに何人かの部下に砦に向かうように指示したそうだ。
私達は先行しているディーの部下達を追うようにルダキア砦跡に向かった。




