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2-20話

 「ちょうどよかった」

次の日の午後、ディーが来るなりまずそういった。

挨拶もそこそこにディーとコーガが客間に上がってきた。

「丁度良いとは?」

「ユーディアナ・アドレ・マインが行方不明になった」

「?それがなぜ、ちょうどいいになるのだ?」

「一応、事件、事故両面で考えて街中も探してはいるのだが」

「きんちゃんが城に来た時に声をかけたのが彼女で

よく似た容姿をしていたから…

ないと思うが万が一、きんちゃんと間違われたとしたら…」

確かにあの時に私の横に来たのは彼女ではあるが。

「そのようなことがあり得るのか?」

私の問いにディーが顎に手を当てる。

「可能性は小さくてもつぶしていくほうが良いからな」

それはその通りである。

「ファルト師には聞いたのか?」

ふと思いついてディーに言ってみた。

「ん、なんでファルト師なんだ」

「前に司書局でファルト師とユーディアナ嬢が話しているのを見たことがある」

あの時の何やら不自然な感じがどうにもぬぐえなかったのだ。

「確かに、マイン司書次長に話しかけるならわかるが

ユーディアナ嬢に話しかけるのは変だな」

「ファルト師に確認してみよう。

ミレイは研究棟に行ってくれないか、

俺たちは司書局に行く」

ディーはすぐに踵を返して部屋を出て行った。


一時いっときほどでディーは戻ってきた。

「ファルト師も所在がつかめない」

だとすると、ディーの推論に沿って考えたほうが良いのだろう。

一応、事件・事故の両面で考えているということなので

選択肢を増やすことはいい事かと思う。

「きんちゃんはどう思う?」

「グァンディル王の最初の城はどこにあるのだ。

ロムリエという地名は今の物でないと思うのだが」

ディーの問いにもともと私は先日思い立ったことを聞こうと思っていたのでそう聞いた。

「急に、どうしたんだ?」

コーガが聞いてくる。

「ロムリエ?」

コーガの問いを気にする様子もなくディーが額に指を当てながら問い返した。

「今はその名前はなく、ルダキア砦跡しか残っていないはずだが」

ディーが思い出したように答えた。

やはりそうなのか。

初代王の時は伝承通りなら乱世であったと思われる。

だとすれば戦うための城だったはずだ。

今あるガルドの城は戦うための城の仕様でないことから

情勢が安定してから作られたものに見える。

だとすれば、最初の城の場所は伝承の場所になるだろうと踏んでの問いだった。

「もし、彼女が私と間違えられたのだとすると

そこに連れて行かれた可能性が高い」

「どうして?」

ミレイが聞いてきた。

「推論に過ぎないので今は説明を省くが、

急ぎ思うに、ユーディアナ嬢が最後に見られたのはいつなのだ」

「昨日の昼過ぎに馬車で出かけたのが最後だ」

コーガが答えた。

「ということはすでに一日は過ぎているという事か」

「砦跡ということは足場が悪いはずだから直接馬車で行くとは考えにくいぞ」

ディーが言う。

だとすれば。

「砦跡付近に町か村はないのか?」

「あ、僕、地図持ってる」

ヒューゴが客間から走り出して中庭に向かった。

「?どこからもってきたんだ?」

コーガが中庭から帰ってきて客間のテーブルに地図を広げたヒューゴを見て首を傾げた。

「どこって?僕の宝箱ん中から持ってきたんだけど」

「ん?んん?ん?」

ヒューゴの答えを聞いてコーガが余計に首を左右に傾けた。

いつの間にかヒューゴは作業小屋を居心地のいい場所よう改造リフォームしているようだ。

「ルダキア砦跡に一番近い村はネルシア村だな」

ディーがヒューゴとコーガの会話に関わらず結論だけを言った。

「わかった。とりあえず、早馬を出そう」

「私も行きたいのだがいいだろうか」

私は早馬でなくてよいのでと付け加えた。

ディーは額に手を当てた。

「確認したいことがあるのでそれができればネルシア村で推論を話す」

「私が一緒に連れて行くわ」

私の提案にミレイが返事をした。

ディーは顎の下に拳を置いてしばらく考えてから結論が出たらしく一度頷くと、

「分かった、我々もそこに行こう」

と言った。

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