2-12話
「これから、司書局に行くのだけど、きんちゃんも一緒に行く?」
朝食後、ミレイが訪ねてきて誘ってもらえた。
先日、ファルト師にあったせいで目録をほとんど見ることが出来なかったので
喜んで誘いに乗った。
ないと思ったが、ファルト師に万が一会うと嫌なので頭巾を被ることにした。
あの見たことないまなざしに二度もさらされるのがどうにも嫌だったのだ。
ミレイが別の階に書類を届けに行ったので先日の続きから目録を見てると、
「ファルト!」
廊下の向こう側で声がしたので思わず顔を上げると茶髪の30代と思しき
男に赤髪短髪の男が声をかけていた。
その名前には覚えがあったのでその男から目をそらし本を見る手を止めた。
ファルト師の左側に黒髪で青い目の少女が立っていた。
ファルト師に気づいたらしい少女が話が終わるまでファルト師を見ていた。
ファルト師は声をかけた男と話し終わると、
横にいた黒髪の少女に何かを話しかけ少女が頷いた。
少女はファルト師が離れた後もその後ろ姿を目で追っていた。
「ディア」
その少女に左側から声がかけられた。
少女はその声に振り向いて声をかけた中年の男性の後についていった。
「きんちゃん」
本を閉じることもなくそのまま見ていたらミレイに声をかけられた。
「終わったけどもう少し見たい?」
ミレイの言葉に頷いた。
「きんちゃん、そろそろご飯食べに行きましょう」
昼食の時間だといわれるまで目録を見ていたら、
ミレイがまた声をかけてきたので本を閉じた。
ミレイと司書局を後にして街中に向かって歩いているときに
先ほどの状況に疑問があったのでミレイに聞いてみた。
「先日ミレイに聞いた黒髪の少女らしき人を見たが『ディア』
と呼ばれていたから別人だろうか」
「愛称で呼んだのだと思うわよ。
ユーディアナ嬢のお父様は司書局の方だから」
ファルド師をみたのも気になっていたのでそれも聞くことにした。
「その時にファルド師も見たのだが技巧局の方ではないのか」
「ファルト師は司書局から研究棟に出向なさっているので
所属としては司書局の方なのよ」
ミレイの研究室にいるから技巧局の人だと思ったが違うらしい。
「なんで、ミレイの研究室に?」
ミレイが顔に片手を広げて覆いながら首をカクンと落とした。
「私のところが唯一ファデル師の机を置く場所があったからなのよ」
ため息をつきながらミレイが答えた。
「きんちゃんザヴァーリにあったのよね」
私が頷くとミレイが改めて額に手を当てた。。
「研究棟、ザヴァーリみたいな人が多いから」
確かにあの後グルードに案内されて他の研究室にも行ったが
言われてみれば皆、ザヴァーリの部屋の様だった。
「だから出向されてるというのもあるのだけど」
額を押さえたままミレイが深々とため息をついた。




