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2-9話

 「先日、中庭で会った人はミレイの知人か?」

ヒューゴとそのヒューゴに勉強を教えてくれている

クラウスの休憩用の菓子を作っているときにふと思い出してミレイに聞いた。

ヒューゴが行っている武局で進級試験というものがあり

そのためにミレイがクラウスにお願いして、

ヒューゴの勉強を見てもらうということになったそうだ。

どこで勉強を見てもらうかで皆で相談した結果、

私のところでするのがいいだろうということになり、

技工課も武局と同じように午前中だけ行けばいい期間ということで

ここ数日、ヒューゴとクラウスは午後から客間にこもっている。

時折、『パーン』と何かがはじける音が気にはなるのだがおおむね問題ないようだ。

「ユーディアナ嬢ね。ファデルの神学院から帰ってきていたみたいね

私もそんなに知っているって方じゃないけど」

ミレイが窯から菓子を取り出しながら答える。

そういえば、私の侍女たちもほとんどがそこの出身だった。

もっとも、傍付き侍女候補となるものは

ファデルの上位官長の娘が大体だ。

つまり、私たちに何かあると不利益を被る者の子供達というわけだ。

「ガルドから行く者もあるのか」

私がミレイに聞くと、

「礼儀作法を学べるということで、

いろんな国の子女が行くと聞いているわよ」

私は神学院そこには行ったことがないので

どのようなところなのだろうかと考えた。


カチャ


「そろそろ、ヒューゴの頭冷やします」

扉が開いてその隙間からクラウスが声をかけてきた。


 

 お茶を飲みながら、クラウスの足元を見ると、

何やら大きなたたんだ扇のようなものが見えた。

「それは、なんなのだ?」

「あぁ、これ…」

クラウスが軽く笑いながら手に持って、

菓子を頬張ったヒューゴの頭にそれを下した。


パーン


「みぎゃ!」

ヒューゴが菓子が出ないようになのか、

口を押さえながら変な声を上げた。

「これは、『クラウス・特別極ハイパースペシャル三号』デス」

クラウスが口に拳を当てながらクックックッと笑った。

なるほど時折聞こえていたのはこれの音だったらしい。

「何もしてないのにヒドイ!」

ヒューゴが頭のあたったところに両手おいて涙目でクラウスを睨む。

「音の割には痛くないだろーよ」

「クラウス、私も試していいか?」

私はよく見てみたくなりクラウスにお願いしてみた。

「試す?いいけど」

クラウスが軽く首を傾げながら

『クラウス・特別極ハイパースペシャル三号』を私の手に乗せた。

近くで見ると薄い経木が重なり合ったもので見た目より重くない。


パーン


「きゃぁぁ!きんちゃん何してんの!」

『クラウス・特別極ハイパースペシャル三号』を

自分の頭に当ててみたらヒューゴが慌てた様子で立ち上がった。

「確かに、音の割には痛くないな」

『クラウス・特別極ハイパースペシャル三号』を

いろいろな角度から見てからクラウスに言っていると、

「クラウスなにしてんの!」

いつのまにか私の頭を抱えるように撫でているヒューゴがクラウスに言った。

「俺のせいじゃないだろ」

「クラウスは悪くないぞ」

ヒューゴに頭を抱えられているので目だけを

ヒューゴに向けて私が言うとヒューゴがニッと笑い、

「いたいのいたいのとんでけ~」

と言いながらヒューゴの顔が頭に乗ってきた。

「ば、ばか!人前で何してんだ!」

クラウスが赤い顔でヒューゴに言った。

「痛いのが治るおまじないだけど」

私の頭から手を放して席に戻りながらヒューゴがクラウスに言う。

「確かに、痛いのはなくなったぞ。ありがとう」

私はヒューゴにお礼を言うと

なぜかミレイが下を向いたまま肩を震わし、

エディンはため息をついていた。

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