14話
…ッゴッ!
重い音を立てて後ろで石の扉が閉まる。
もう入口も見えない。
ただ布のこすれる音だけが祠の中に響く。
私は声なき声のする方へただ歩いていけばよかったので、
何も考えることなく誘われるままいくつもの天然の石柱の間を歩んで行った。
…ピチャ!
頬に冷たいものが当たり私は目を覚ました。
空は青く雲が流れていた。
自分がどこにいるのかわからずに軽く首を回すとヒューゴが驚いた顔で私を見ていた。
「ごめん、冷たかった?」
数回瞬きをしてから自分の状況を思い出した。
「きんちゃんここで寝ちゃったからのど乾いたかとおもって」
ヒューゴは持っていた水の入った器を上半身を起こした私に持たせた。
器の中の水がゆらゆらと動き同心円を作った。
「!」
私は数日前に感じた何かの答えを見つけるべく素早く立ち上がった。
「きんちゃん!」
急に歩き出した私に後ろからあわててついてくるヒューゴの声がかかった。
「水飲まないの?」
「で、 ヴィの調べてほしい事ってなんだ」
村での確認の後ディーのところに行き、調べが終わるまで先に寄った町に戻りたいと申し出た。
その際に、私の仮説をディーは顎に手を置いてから了承した。
今また1日かけて街道沿いの町…ウォンデルにもどり先日泊まった宿屋の二階にいた。
宿屋についたとき私はもう1つのものも確認したのでディーにそのことについて言った。
ディーは地図上に印を打ち定規で線を引いた。
「何日かかるかもしれないが頼んで確認してもらおう」
私は自分で確認してもいいといったのだが不利益がい多いと却下された。
ディーがそういったのでミレイ・コーガ・ヒューゴと私はこの町にしばらくとどまることになった。
町にとどまることになったと言われミレイは軽く首をかしげたがコーガとヒューゴは諸手を挙げて喜んだ。
「羽目を外さないでね。用件が終わったらすぐに出発するんだから」
ミレイが片目をつむりながらコーガに言うと「もちろんもちろん」とほとんど聞いてない様子で宿の扉を開けて行った。
「きんちゃん、わかるまでまだかかるんでしょ?」
ヒューゴが覗き込むように私に問いかけるのでうなずくと
「じゃぁ町を見に行こうよ!」
と私の手をとった。
「そうね、きんちゃんに町を見せてあげるのは良い事ね。一緒に行くから待っててね」
ミレイが微笑みながら言うとヒューゴが唸るような声を上げながら頬を膨らませた。
「だって、ヒューゴ方向音痴じゃない」
ミレイが笑いながらいうとヒューゴが下を向いて黙った。
「よいのか」
私はディーの方を向いて声をかけた。
「いい、いい」
ディーは地図に目を落としながら手だけで行くように示した。
「なに見たい?」
ヒューゴが後ろ髪をはねさせながら振り向いた。
私が無言でいると首をかしげ何かを考えるそぶりをした。
「じゃぁ、まずはご飯食べようごはん!」
私はヒューゴに手を引かれるまま街道をつんのめるように歩いた。
「あ!」
急に声を上げたヒューゴは私の手をつないだまま街道沿いの天幕の一つに入り
何かを話していた。
「はい!」
天幕を出てきたヒューゴがつないでいた私の手を上に向けて赤い玉に紐のついた飾りをのせた。
「?」
私が首をかしげるとヒューゴはうれしそうに飾りを持って私の頭巾をおろすと、
一つにまとめた髪にその飾りをつけた。
「きんちゃんの目みたいなきれいな石だったから似合うと思って!」
「…私はヒューゴに対価をはらえばよいのか?
物を手に入れるときは対価が必要なことは私も知っている」
私が言うとヒューゴの金色の大きな目が更に大きくなった。
「僕がきんちゃんにつけてもらいたくて買ったんだからつけてくれればそれでいいの!」
よく意味が分からなかったが、ヒューゴがやや赤らめた頬を膨らませながら私の手を引き始めたので
とりあえず飾りはそのままにしていた方がよいのだろうと判断した。




