表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/196

12話

入り口の左右に建つ古代語が刻まれた石柱は日差しを眩しく反射しているのに、記憶のなかでは薄暗く思えた。

そこはまだ入り口だというのにそこはすでに周囲より空気が冷えていた。

洞だからなのか、そこに在るもののせいなのかはわからない。

「ヌーヴィエム、行きなさい」

女の人が抱き上げていた私を入り口に降ろし、私を見下ろしながら言った。

促すように龕灯カンテラを持たされる。

龕灯カンテラを顔の前に掲げると光りがちろちろと岩肌に映る。

実のところ明かり取りの龕灯カンテラは必要ではなかった。

どこへ行けばいいのかはわかっていた。

それは石の壁のその奥から私を呼んでいたのだから。


 「目、覚めたの?」

眩い光に目をしばたかせながら声のする方に顔を向けると優しげな女性が扉口で微笑んでいた。

眩しさに窓に目を向けると農婦が中庭で水を汲んでいるのが目に入った。

農婦は予備の桶を井戸の横にある古い石柱にかけた。

石柱は古く先端は欠けていたが農婦の背丈より高かった。

「?」

「どうしたの?」

女性はそっと私を抱き締めた。

ふんわりと暖かく優しい香りに覚えがあった。

「ミレイ?」

「そうよ」

その声に私は我にかえった。

何かが引っかかる。

部屋に備え付けられていた水差しをかたむけ洗面器に水をはり、顔を洗う。

ポツン…。

すくった手のひらから水がこぼれ眼下の水の中央で跳ねてから同心円を描く。

「…ちゃん、きんちゃん!」

「!」

後ろからかけられた声に驚いて振り向くとミレイが胸の前で軽く腕を組みながら首を傾げていた。

「もう、支度はできたの?」

「まだ、着替えてないならこれに着替えるといいわ」

寝台の上に服を置いてから私の方に手を伸ばすと手拭いで私の濡れた顔を拭いた。

「この服はどうしたのだ?」

ミレイは綺麗に片目を瞑り口角を軽く上げた。

「私の持ってた服を手直ししたのよ。きんちゃんの大きさに合わせたから大丈夫よ」

最後の大丈夫よというのは私が服の大きさに対して不安をおぼえたと思っての事らしい。

「ミレイは裁縫(そのようなことが出来るのか」

服というのは専門の人間が作るものだと思っていたので些かおどろいた。

「なおす位ならディーもするわよ」

私はディーが裁縫するところを想像した。

「私にもできるのか?」

私が聞くとミレイはにっこりと笑ってから頷いた。

今見た夢と今、窓の下の何かが融合リンクしそうでしない

「朝ごはんができているわよ」

何がひっかかる。

箱は単体なのか。

なぜ巫女(触媒)が必要なのか。

もっともその説はアデリール姫が巫女姫というところから来ている話かもしれないが。

「早く行きましょう」

寝台で座ったままの私をミレイが顔を覗き込むようにしながら私の手を取った。

 あの笑われた朝食後にネフェル村を出発し現在は街道沿いの小さな町の宿屋にいた。

最初に見た我が国の首都やリデンほど大きくはないが商家が多い。

階下でミレイと簡易な朝食をすますとディー達が泊まっていた部屋に移動した。

ディーがやや大きめの書卓テーブルに地図を広げコーガとミレイが除き込む。

ヒューゴは地図が読めないということで窓の梁に座っている。

私もミレイの後ろから同じように地図を覗き込む。

ガルドの首都である「ランドガゼル」から東・南・北の村や町に何種類かのしるしのついている。

調査したところなのだろう。

北東の村のあたりには特別に強い印がついていた。

昨日はガルドでの『箱』に関する伝承やこれまでの事はを聞いたが現在起きている事は聞いていない。

「この印はなんなのだ」

印をさしながら私はディーに顔を向けた。

ディーは顎に手を当てながら言うか言うまいか考えているようだった。

しばらく地図を眺めてから「うん」と独り言を言うと顔をあげて全員の顔を見渡した。

「ここは、この前言った男が消息をたったあたりの村なんだが…先日調査したところ男だけではなく村人がすべていなくなったというところなんだ」

「全員?!」

ミレイが驚いて口元に手を当てた。

コーガは先に聞いていたのか頭をがりがりとかいていた。

「ここに行かなければなにもわからないってことだ」

「ディーが行くのは危険だわ。あのこともあるし」

ミレイがちらりとヒューゴを見た。

「コーガとミレイが合流してからはなにもしてこないがね」

ディーが片方の口角を皮肉に上げた。

「だとしても、というか余計に二重の危険になってしまうわ」

ミレイが眉間にしわを寄せた。

「んん…だから逆に仕掛けてくるような気もするんだがな。どうだろうコーガ」

「あれならやりかねないな」

心底ばかにしたようにコーガが言った。

「まぁ、そのことについては考えがあるからとりあえずここにいってみよう」

ディーの一言でミレイは不安そうにディーを見てからうなずいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ