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悪人達の会議は踊る、されど進まず

ニアーナ大陸の西の中小国家群にラルロ国がある。

ラルロ国は自然が溢れる国であり、しかし自然が豊かゆえに未開拓の土地や山が存在し、未開の地ゆえに治安が届かず悪人や犯罪者が潜伏しやすく逃げやすい場所候補の一つ、かつて戦乱に勝利し領土を勝ち取った国が王族や貴族が腐敗していきオーロラ教会の信仰に影響が強い故に革新や改革が進まず、ニアーナ大陸の北側にあるいくつかの傀儡や同盟国を持つ帝国の技術と比べれば帝国の傀儡国以下だった。


しかし自然の豊かさとオーロラ教会の信仰強いおかげで民達は力づよく生き、この国は栄えている。




ラルロ国にあるヘラ平原を超えた山奥の向こうに昔、かつて栄華を極め衰退して滅んだ国の城がある。その城は戦乱の傷痕と人がめったに近寄らない山奥のためか放棄され損傷がひどく所々崩壊し、樹木が多く茂っていて長い間無人だった。


しかしある時その城に一人の黒魔術師が住み着いた。


いつしかその城は近くの村や街の人々から『邪悪な黒魔術師が住んでいる城』、『死者を復活させたり呪いを村や街に呼び込もうとしている』などの噂が多く囁かれ人が近寄れなくなった。









あの日が来るまでは。













「えーお前達を集めた理由は他でもない、最近この国に東オロン国の勇者がとりあえずこの国の害虫(悪人)駆除という目的で訪問するらしい。だよな?テレジア異端審問官?」


「んー?。ああーそうだよー。部下が言うにはだいたい明日からだよ」

テレジア 異端審問官

栗毛の髪、藍色の目で冷蔵庫を漁りながら。


「という事だ、とりあえずお前ら悪友を呼んで、話し合いをしようと思う。主に勇者対策でだ。さて質問ある人はいるか?」

ダネル 密輸品を扱う商人

ヘーゼル色の目で集まった悪友達を見回して質問があるか確認した。



後ろでこの城の主の黒魔術師がダネル商人に向かって走っているのは気づいていない。やがて黒魔術師が飛び上がり、商人の背中をおもっいきり蹴り上げた。

ダネル商人は見事に蹴りを食らい大きく前に転倒。

転倒したダネル商人は痛みながらも立ち上り黒魔術師に向けて言った。


「痛てぇなぁおい。何するんだよ、クロリー黒魔術師さん?」


クロリー 黒魔術師 城の主

黒髪の長髪、仁王立ちしながら灰色の目でダネル商人を睨んでいる。


「何するんだだと?。それはこっちのセリフだな。いきなり俺の家に上り込んで何してるんだ?」

「何ってお前、話し合いだろう。主に勇者対策で」

「だったら俺の家でやるな。違うところでやれ。ついでにテレジア、勝手に冷蔵庫を荒らすな」



今まではこの城の主として黒魔術師が一人で住んでいたが時々友人達が遊びに来る。しかし元々この城は研究と家を両立するから住んでいるので親しい友人以外の悪友は何度も追い返すのであった。

しかし今日にとっては親しい友人+悪友が一斉にやって来たので今の状況になっていた。


「まぁまぁ、いいじゃないかちょっと集まっただけだし」

コルデー 暗殺者

ブラウンの目、赤毛の髪の男性がそう言って、リバーシの盤面に白を打つ。


「そうそう、コルデーさんの言うとおりですよ」

ロビン スリ師兼たまに暗殺者

金髪、青紫色の目でリバーシの盤面に黒を打つ。


「………熱戦」

ダレル 不明

黒のフードと奇怪な仮面を付けているため不明。

審判をしている。


黒魔術師は二人の暗殺者に近づき同時に瞬時で二人の頭部を掴み、二人の顔面をリバーシの盤面に力強く押し付けた。

「……ダレル。お前は来い」

「………試合……強制終了」


「おーーいクロリー、キッチン使わせてもらうぜ!」

キャラコ 海賊 ジェール号の船長

新鮮なギェロサ魚を持ってキッチンを使おうとする。


「肉料理にしねぇか?」

ユライ 山賊 ラルロ山の親玉

オロン猪を担ぎながら窯に火を通す。


「いや、ここは鳥料理でいいだろう?。串焼きの」

ツェッペリン 空賊 飛行船ヘリウム号のリーダー

ニアーナの渡り鳥と串をを持って早速調理をしようとする。


「俺の城のキッチンを勝手に使うな!。そしてお前らも来い!」

「なぁ、珍しい酒はねぇか?」

モンテフェルトロ 傭兵


「おい!。ネコはどこ行った!?。ネコは!?」

ポンジ 詐欺師


「………」

黒魔術師は無言で手に闇の炎を集めた。







「さて、なんで俺の家で勝手に会議と物色と料理をしてるんだ?」

黒魔術師は緑色の液体が入っているフラスコを加熱しながら悪友達に質問をする。


ダネル商人がコーヒーを飲み終えて黒魔術師の質問に答えた。

「いやー他のところにしようかと思っていたんだけどさ。場所が無くてさー」

「ジェール号は?。というよりそのコーヒー俺のだよね?」

「ジェール号は改装中だから無理よ」

ボニー 海賊 ジェール号の航海士


「じゃあ飛行船ヘリウム号は?」

「黒魔術師様。こちらも同じく、改装中でございます。」

バトラー 飛行船ヘリウム号の執事


「ラルロ山は?」

「あいにくだがうちの隠れ家は一月前の嵐によって改築中だぜ」

シーク 山賊 ラルロ山の親玉の右腕


「……コルデー?」

「言っとくが俺の屋敷は無理だな。なぜなら同じく改築、というより立て直ししているからな、白アリっていう生物のせいでね」

「……テレ「犯罪者を教会、しかも異端審問官が使ってる宿舎を利用するのは無理だよー」…ダネル、お前は?」

「無理だね。馬車は狭いし倉庫もテレジアと近い意見で犯罪者が利用して悪い噂が出るリスクもあるからな。あと別荘も無理だ、街の真ん中じゃあ目立って悪い噂が出ちまうよ、まぁこっちも改装中だから無理だけどね」

「……でここに来たと?」

「まぁそいうことだな」

「犯罪者集団と会談してる時点で悪い噂が出てると思うんだけど?」

「なーに。たかが商売敵の連中が小規模の嘘やでまかせを言ってるだけだろ?。しかもあいつらは俺が密入品を扱ってることすら気づいていないよ。まぁバカだから気にしなくていいよ」

「その商売敵がまさか、作った嘘やでまかせが半分本当とは思っていないだろうな」

「おいおい、人聞きが悪いな。別に薬物や奴隷売買はやっていないさ」

「武器売買を禁止している国に密輸品で武器を売ったよな」


荒れ地と乾燥地帯の東ロース国の事だ。

東ロース国は現在進行で帝国の傀儡国に攻められている小国である。

かつて夕陽の落ちぬ大国と呼ばれていた時代もラルロ国と同じように技術が低く、また天候が厳しかったため中小国止まりなのは明らかだった。

かつての領土も財政が困窮したことから失い、独立していった。

そして時が流れ旧領土を奪還しようと五年前にかつての領土に向けて侵攻するもたかつての領土は帝国の傀儡になって圧倒的軍事力の前に敗戦に次ぐ敗戦した。


しかも帝国の戦略により東ロース国に逆侵攻し、まわりの国々も帝国の外交圧力により参戦はしなかったものの東ロース国向けの貿易を一方的に打ち切った。

落日と終焉と瀕死の病人と呼ばれる国。それが東ロース国。


「あれは儲けが良かった。少し吹っかけても帝国の傀儡国と戦争中で物資が足りないから嫌と言えず払ってくれるし。商品の武器や防具もいくつか古びていたり刃こぼれしていて品質が悪くても買ってくれるからいい客だ。来年もまだ足掻いていたら行こうっと」

「悪徳商人だな」

「いやいや、わざわざ危険を冒してまで売りに行ったんですから輸送費と手数料を含めて売っていますよ」

「あの帝国軍大佐の戦略だから輸送費と手数料は無料だろうな」


「まぁ仮に東オロン国の勇者が噂を鵜呑みして店にやってきても売る物は売り払ったから何の変哲もない倉庫を見る事になるから安心してくれ。そういえば黒魔術師君にも近くの村や街に不穏な噂が漂ってるじゃないか?」

「あの知識も常識知らん奴らが勝手に勘違いして、勝手に怯えているだけだろ」

「呪いを村や街に呼び込もうとしているという噂は?」

「自分が起こした疫病とか不幸を何でもかんでもこの城のせいにしてるだけ」

「死者を復活とかは?」

「どうせ城の修理をしていない箇所の風が通る音を聞いて悪霊だと勘違いしてるだけだろ。というより俺は親友以外この城に招いていねぇぞ」


私達(・・)は堂々とこの城に入りましたよ」

「異端尋問官の職権乱用でな。テレジア以外は?」

「私とロビンとダレル、ジェール号の二人、ラルロ山の山賊の二人、飛行船ヘリウム号の二人は職業から見ればわかるよな?」

「住居侵入罪じゃねぇか!」

「ついでに俺とポンジは裏口の扉を弄って堂々と入って来たぜ」

「ピッキングした時点で堂々じゃねぇんだけど?。というよりさっきのと同じだよね?」

「まぁまぁ、いいじゃないか」

「ダネル、お前も人の事言えないぞ。なにせ親友が城に尋ねてくる、扉を開けて親友を迎える、扉を閉めようとするといつのまにか親友を尾行していたお前、お前が靴のつま先を扉の間に挟んで無理やり入り込もうとする、という事をしてる時点で同罪だぞ」

「まぁまぁ、前置きはこのぐらいにして本題に入ろう」

「おい。まだ人の話は終わってないぞ」

「東オロン国の勇者達の事だ」

「無視するな」


勇者は国によっては選ばれている所もあれば勇者がいない国もある。

元々勇者はオーロラ教会の元で魔王を討ち果たすために存在していた。

しかし今でも目的は変わらないが前々魔王が討ち果たされてからは前魔王と現魔王は人間に好意であったため魔族の国は友好的になり勇者の存在意義が無くなった。

しかし険悪を持つ者や外交的有利を保つために勇者が存在している国がある。

勇者がいない国は多く帝国やラルロ国など多くの国が勇者選びをしていない。

ちなみに勇者の中で最強の勇者は過去に海を裂いたらしい。


「東オロン国の勇者達の情報はテレジア異端審問官が手に入れた情報だ」

「機密情報流出だな」


東オロン国の勇者達。

彼らは勇者ティガーと騎士オルテ、アーチャー ライム、修道女ララ、水氷系魔法使いリリ、格闘家のチェイ、計六人のパーティー。

東オロン国の勇者達の知名度と評判が高く。冒険者ギルドも彼らを高く信用している。

ついでに風塵の勇者と呼ばれている。


「東オロン国の勇者達、別名風塵の勇者達の実力はドラゴンを倒せるほどだ」

「ついでに前衛は勇者ティガーと騎士オルテ、後衛はアーチャー ライムと修道女ララと水氷系魔法使いリリ、格闘家のチェイという陣形だよ」

「ここで話し合いをしていいと言ってないんだけどなー」

「あのー、クロリーさん、もういいんじゃないんですか。彼らの生活がかかっているんですよ」

ジギスフロイト 医師 黒魔術師の親友兼恩人

怒りに満ちた顔をした黒魔術師をなだめている。


「しかしフロイトさん、こいつらは勝手に上り込んで勝手に座り込んで、勝手に物色していますよ。こんなのほうとっいた方が良いでしょ。厄介事を運んでくるし」

「でも彼らは自分の生活がかかっていますし、それにクロリーさんだって彼らに返すべき借りがあるんでしょう?」

「ん………。いいだろう…ただし、まじめにやれよ」

「という事だ、城主に許可を得たからさっそく話し合いをしよう」


「で、何かいい案はないか?」

「俺様の案はどうだ?」

最初に手を挙げたのは山賊のユライ。

「どんな案だ?」

「あいつらの道中に落とし穴とトラバサミを大量に配置するんだ。簡単だろう?」

「そうか。じゃあいったい誰が大量に配置するんだ?」

「落とし穴は俺達に任せろ。トラバサミはダネル商人に何とかさせてもらおう。どうだ?」

「無理だな。予算と労力の無駄遣いだ」

「なんで?」

「道を変えたら仕掛けた意味がなくなる。というより、そんな見え透いた罠に引っかかるヤツいるのか?。もしいたなら一アルギュ銀貨を渡すぞ」

「山賊退治にやって来た領主軍が普通に引っかかってたぞ。あれは面白かったよ、笑い死になりそうだったな」

「……」

ダネル商人はシークに向けて一アルギュ銀貨を飛ばしてシークはそれをキャッチした。


「他に案はあるか?」

「あたしの案はどうだ?」

次に手を挙げたのは海賊ボニー。

「どんな案だ?」

「まぁ、簡単に毒はどうだ?」


海賊ボニーの案は毒殺だ。

毒殺は最も単純かつ明快で非人道的ながら幅広く用いられた用法はこれを服用させることによる殺害の手段の1つ。

方法は簡単だ、彼らの飲む水に一滴の毒を垂らせばいい。もしくは彼らが食べる料理に毒を盛るのも手段。毒を回避するには誰かに味見という名の毒見をさせるか、金のスプーンを使うしか無いのだ。


「まぁ、毒の調達はあたしに任せてよ、襲う船にたまに毒を運んでいる商船があるからね。で、実行役は暗殺者のコルデーかロビンに任せるわ。どう?」

「実行役は?」

「普通の人間ならいいが、相手は殺害のドラゴンを倒せる実力だ。効くかどうか怪しい確率だリスクが高い、パスだ」


「じゃあ僕の案は?」

ロビンが手を挙げた。

「なにか良い案があるのか?」

「異端尋問官に「無理だよー」殺さ、え?」

「勇者を拷問に掛けるとどうなるかとても興味があるけど。相手は勇者、いったいどんな罪で拷問に掛ければいいかね?」

「いや、拷問じゃなくて殺害なんですけど」

「それは残念だな。せっかく帝国流の拷問術を学んだのに。どちらにせよ今の立場的に無理だね。バレたらせっかくの血の噴水や奏でる悲鳴が聞けなくなるしね。残念だけど」


「じゃあ俺の案はどうだ?」

その次に手を挙げたのは詐欺師ポンジ。

「どんな案だ?」

「暗殺者に頼めばいいじゃないか」

「無理……ではないが確証が無い、あとめんどい」

「めんどいはねぇだろー。ほら、前に言ってたあんたの知り合いに頼むのはどうだ?」

「神を暗殺したあいつでも返答は絶対『面倒だ』という一言で断るよ絶対に。なんだったらオーラム金貨ひとつ賭けていいよ」


「じゃあ面倒だから、黒魔術師君、勇者達を呪い殺して」

「わかった。ダネル商人、先にお前を呪い殺す」

「ええぇなんで自分!?」

「お前が『座布団持ってきて』とか『○○さん、懲らしめてやらなさい』みたいな言い方がイラッとした」

「そんな理由で呪い殺されるの!?」

「と言っても、呪いを無効化する物を持っていたら商人だけ死ぬしな」

「自分を呪い殺す前提なのね…」


「というより。さっきから黙っているヴラド、それは俺のコーヒーだ。勝手に飲むな!」

「ちょうど良いところにコーヒーと砂糖とミルクとマドラーがあったのでね。飲ませてもらうよ」

ヴラド ただの吸血鬼……と私は思っている。


「いやいや勝手に飲むなよ!。というかそれ、フロイトさんの分じゃねぇかー!!」

「じゃあ、フロイトさんコーヒーを頂くよ」

「え?、あ、はい」

「じゃあ、じゃねーよ!。あと、フロイトさんもこいつらに遠慮なんてしなくていいから。というかお前、さっきから俺達をじっと見て何考えているんだ?」

「君達を推理小説に出てくる容疑者の紹介風にしたらどうかなーと思ってね」

「容疑者どころか全員犯罪者ですけど、全員犯人何ですけど、というより全員、悪人なんですけど!」

「フーダニット、ハウダニット、ホワイダニット」

「何それ?」

「誰が犯人なのか、どのように犯罪を成し遂げたのか、なぜ犯行に至ったのか」

「というか、誰が犯人なのか、という時点で事件終了しちゃうよ。テキトーに『犯人は君だ!』と言って指しても必ず当たるからね」

「あのー僕は?」

「あっ、フロイトさんは被害者役でお願いします」

「僕は死んでるの!?」

「ついでにダネル商人、お前もだ」

「ちょっ、黒魔術師君!?。俺も被害者役なの!?」

「当たり前だ」

「あと真犯人役はテレジア異端審問官お願いします」

「自分は憲兵役だと思うけど真犯人役なら拷問、良いよね?」

「ちょっテレジアさんはそれはやめてください!!」

「そうだぞーそこまでリアルな惨殺死体を再現しなくていいんだぞー!!」


「それよりダネル商人君、ダレル君に何か良い案があるみたいだよ」

オセロ以外ずっと黙っていたダレルが手を挙げた。

何か良い案を思いついたらしい。

「ヴラド、また何か変なのを考えていないか?」

「何も」

「で、君の案は何かね?」

「引きこもる」

「え?」

ダレルは大きめの紙を取り出して全員に見せた。


引きこもり

ある国では引きこもりを『安心できる場所に退避する状態』と定義していることもある。

そこで勇者達がやってくる際の対応はまず、悪業を一時的に停止する。

絶対的に安心できてもしくは安全で住める環境に引きこもる。

勇者がいる間は引きこもる。

勇者が去って一週間まで引きこもり、勇者が去ったのを確認してから悪業を再開する。

ついでに住める環境は黒魔術師君の城でお願いします。


「ってここに住みこむのかよ!!!」

「これ以上、引きこもりに適した場所は無いかと」

「いやいや、俺は引きこもりで住んでいるんじゃねーから!!」

「仕事か旅行か買い物以外で外出しないで6ヶ月以上続けて城に引きこもっている状態は立派な引 き こ も りです。しかも城内では家庭菜園や倉庫、食糧庫に大量の本棚、研究室などの部屋や各国の新聞契約済みなどの情報収集ができて、徒歩や魔法などの移動手段で近くの村や街に行けるという引きこもりに適した環境の時点で引きこもりです」

「うぐっ。さっきまで無口だったくせに」

「まぁ確かに無駄に広いし空き部屋も有りますからね」

「あー、じゃあ少し泊まらしてもらうか」

「おいおい待て待て。勇者がこっちにやってきたらどうするんだよ?」

「そこは押し売りを断る感じで」

「勇者を押し売りの人と一緒にするか?。というか吸血鬼とダレルはともかく、お前らの仕事はどうするんだ?あとダネルは金が持っているから宿屋にしろ」


「まぁ自分の商会はもしもの時以外は副官に任せて泊まり込みをしよう」

「僕は少し、教会に休暇を要請して泊まり込むか、副官に頼んでから」

「私とロビンは暗殺業とスリができなくて暇だから護衛業か輸送業を久しぶりにやるか」

「じゃあ海賊稼業ができねーなら漁業船か護衛船を再開するか」

「俺は久々に狩り人をやろうっと。ああ、農作業もやんねーとな」

「我らは空賊の看板を一時的に降ろして観光船か輸送船とあとは商業船でも再開しよう」

「俺はポンジと一緒に冒険者ギルドの依頼を受けるか少しこの辺で観光でもするか」


「……フロイトさん、吸血鬼とダレル以外いったいどこに生活が掛かっていますかね?」

「……クロリーさんの言うとおりですね、ほうとっいても大丈夫でしたね。というより悪業をしなくても普通に生活できるんですね」


「というわけで改築と改装、あと勇者が去るまでよろしく!」

「よろしく!、じゃねーよ!。というか勝手に泊まり込むなーーーーー!!!!!」










と話し合いは『黒魔術師の城に泊まり込む』で決まった。


しかし一部以外の彼らは知らない。


私、ただの吸血鬼ヴラドが実はたかが東オロン国という名の中小国の勇者達を軽く捻り潰せる実力者である事も。


魔王の幹部クラスという事も一部以外だれも知らない。


唯一知っているのは正体不明でおそらく実力が同じぐらいの、ダレルという無口の人物だけだ。


だがそれを言わないのは私と同じ考えで彼らが何か起こしそうで面白そうだからだ。

どのくらい面白いのかは、本より、歌より、噂話より、面白い。



ああついでに盗賊君は来ていないな。彼もいれば完璧なのに。







それから東オロン国の勇者達一行がラルロ国にやって来た。

数多の活躍をしたらしいが語ってもよくある事なので語らないとして、彼ら一か月間この国に滞在したが他の国の外交と害虫(悪人)駆除をしに去って行った。もちろん黒魔術師の城には来なかった。


それから一週間後、去って行ったのを確認して悪人達はそれぞれの悪業を再開した。


ちなみに黒魔術師は『やっと帰った』と疲れていた。


ああ、私はそれなりに楽しめたよ。

またお泊りをしようかなと思ったが。







「来るなよ!!」


と怒られた。




ふむ、近くを寄ったら泊まろう。

ついでに盗賊がいれば混沌になりますが盗賊は半強制的に南の国の姫様護衛騎士転職されました。

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