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第3話 スライム狩り その3


 ミーファとシランが拠点に戻ると、辺りには何とも言えない美味しそうな匂いが漂っていた。

 拠点には雨避け用に木々に括りつけた大きな布を屋根としたスペースと、料理や暖を取る為の焚き火があった。屋根の下に食料等の荷物が置かれている。

 既に戻っていたレドが焚き火の前で鍋をかき回していた。美味しそうな匂いの元はこの鍋である。


「いいにおーい」鼻をクンクンとさせながらミーファが焚き火の前に腰を下ろす。


「だろ? 配給された食料の中にカモモの肉があったから煮込んでみた。もうちょっと掛かるかも」


「おい、何かずいぶん具がゴロゴロしてるように見えるけど、配分大丈夫か?」


 グツグツと音を立てる鍋を見てシランが心配そうに聞く。


「大丈夫、大丈夫」とレドは軽く返しつつ「灰汁も旨味の~いちぶ~で~す~♪」と鼻歌交じりに灰汁をすくう。


「そーいや食材と一緒に調味料も色々入ってたんだけど、なぜか砂糖だけ大量にあったぞ。これ間違って入ってたのかな?」


 レドが脇に置いてある砂糖と書かれた大きな袋をペシペシと叩いた。その音から中身がぎっしり詰まっているのが分かる。


「それ全部砂糖なの? あ、もしかして他のパーティの分も?」


「どうだろ。明日聞いてみようか」


「あ……ちょっと待って」大量の砂糖が入った袋を見て、シランが口髭を触りだした。邪魔しないようにミーファとレドが小声で話す。


「生肉とか結構豪勢なものが入ってんのね。他にはどんな食材があるの?」


「卵だろ、チーズだろ、あと野菜も何種類かあったぞ。それと武器になりそうな硬いパンも」


「うわー。いたせり――いたせれっ、いたせ、いたせせ? こういうの何て言うんだっけ?」


「いたせり……つくれり? 何か違うな……なんだっけ」


「んー、ま、いっか。クンクン……いい匂い。肉の他には何が入ってるの?」


「まだ内緒。食べてからのお楽しみってことで」


 レドは鍋の中の赤身肉にフォークを突き刺して硬さを確かめると、持参したクルオーミの実やいくつかの香辛料と調味料を入れて味を調える始める。


「おーいシラン、もう出来上がるぞ」


 考えに耽っていたシランが顔上げる。


「ミーファ、悪いけど撲殺できそうなパンを切ってくれ」


 レドから硬いパンが渡されると「あいよ」とナイフを取り出し、刃を焚き火で炙ってから硬いパンに突き刺す。

 ミーファがパンを三等分にしている間にレドは深めの皿を人数分用意して、出来上がったスープを注いだ。完成である。


「よし出来た。さぁ、食え!」


「いただきまーす」


 スープをひと口飲んだミーファの目がカッと見開いて光った。


「なんだこれ……美味い……このコクの深さとやさしい甘さは一体……?」スプーンを持つ手が止まらない。


 シランもほぼ同じ反応だった。あっという間に食べ終えてしまった二人が我先にとお代わりを要求する。


「まだまだあるから心配するなって」パンを噛み切りながらレドが笑う。こんなにも硬いパンをそのまま噛み切れるのはレドだけである。他の二人は二杯目のスープに浸してふやけるのを待った。


「なぁ、食べながらでいいからちょっと聞いてくれ」パンが柔らかくなるのを待つ間にシランが話を始めた。


「もちろん二人ともとっくに気付いてると思うが、今日までの長雨のせいで湿気を吸ってスライムが重たくなってるんだ」

 

 シランが二人の顔を交互に見た。


「お、おう。それな。それは俺も気になってた。なぁ、ミーファ」


「う、うん。丁度重たいなぁって思ってたところだよ。ねぇ、レド」


 あからさまに目の泳ぐ二人を気にせずにシランは話を続ける。


「一枚一枚はたいした事はないけど、大量に荷車に載せたら押すのもひと苦労になるかもって話さ。逆に重たいお陰で上からずり落ちてきて、背の低い俺でも駆除しやすくなってるんだけどな」


 ミーファはふとシランとの話を思い出した。


「そう言えばさっき水分がどうのとか言ってたよね。そっか、水分を抜いて重さを減らしたいわけね」


「そういうこと。荷車で運ぶの大変だろ。だからさ、それ使っちゃおうぜ」


 シランが指を差したのはレドの脇に置いてある砂糖の袋だった。


「これを?」


「ああ。荷車に載せたスライムにそれを振り撒いて脱水させるんだよ。どのくらい効果があるかは、やってみなけりゃ分からないけどな」


「これ、他のパーティ分も間違って入っていただけで、あとで回収しに来るってオチは?」


「支給品だと思ったから利用したまでだと言い張れば済むだろ」


 実際駆除に利用するわけだしとシランはミーファの心配を一蹴した。


「うーん……ちょっと勿体ない気がしないでもないけど。料理用にちょっと取っておくか」


 レドが袋の端を破いて砂糖を抜き取ろうとすると


「レド。今、開封したってことはこのスープは砂糖使ってないの?」スプーンを咥えながらミーファが聞いた。


「フフフ、よくぞ気が付いたな……。そう、このスープは砂糖を使っていないのだよ」レドが不敵な笑みを浮かべる。


「じゃあこの甘さは一体……」味を確かめるようにミーファとシランがスープを舌の上で転がす。



「甘さの正体はこれだ! ジャジャーン!!」





「「ブーーーッ!!」」




 レドがつまんでいるクルッと一回転した特徴的なヘタを見て、ミーファとシランが盛大にスープを噴き出した。


「ゲホッ、ゲホッ、お、お前、それアウトだぞ」


「このどアホ!! 絶対やめろって言ったでしょ! 洒落になってないよ」


 呆れ顔のシランとブチ切れミーファに詰められてレドが慌てて首を振る。


「待って、聞いて。このモモモモの実は捨てられてたんだって。樹から捥いでないよ」


「……捨てられてた?」


「ほら、来る途中に小さい納屋があったろ? あの納屋の裏手に捨てられて腐りかけてたのを拾ってきたんだよ」


「本当?」と怪訝そうな顔で睨んでくるミーファに対して、レドは首が飛ぶくらいの勢いで頷く。


「マジマジ。なんならあっちに傷んだ部分が捨ててあるから見てみろって」


 レドの釈明を聞き、二人は顔を見合わせて大きく息を吐いた。


「ったく……紛らわしい事をすんなよな」


「ホントよ。マジで焦ったわ」


 子供の頃から一緒の三人はお互いの仕草や雰囲気で嘘がすぐに分かる。特にレドは単純なので分かりやすかった。

 そうと分かればと二人は残りのスープにがっつき始める。


「これはもう男女飯案件だわ」


「高級食材にありつけるチャンスなんて滅多にないからな」


「なべ底まで舐めきってやるぜ!」



 鍋いっぱいのスープが空になるまでにそれほど時間は掛からなかった。

 さすがに鍋の底まで舐めはしなかったが、それでも鍋をひっくり返して最後の一滴まで三人で奪い合った。



「やっぱり腐りかけが美味いって本当だよなぁ」


「ねぇレド。レシピ覚えてる? せっかくだからこの料理に名前付けようよ」


「おー、いいね。カモモのモモ肉とモモモモの実を煮込んだスープだから……モモモモカモモモモニク二でどうよ?」


「三回言わせる早口言葉か? せめてカモモモモ肉のモモモモ煮にしろよ」


「じゃあそれで決定!」


 のちにこの村の名物料理として有名になる『カモモのモモ肉のモモモモ煮』の誕生の瞬間であった。




「そうそう」シランが思い出したように話を始めた。


「馬車の中でアマカに言われたんだが、俺達って商会からの指示で誘われたらしいぞ」


「どういうこと?」


「指示された人物をちゃんと誘えるかどうかも試験の一環っぽいな」


「何で俺達なん?」レドがもっともな事を言う。


「そうなんだよ。何でだろうな。二人ともロコネール商会って今まで聞いたことあったか?」


 レドとミーファを首を横に振って否定する。


「だよなぁ。見た事も聞いた事もない商会から、こんな高額の仕事に指名されるのってやっぱり気になるよな。だから考えたんだけど、可能性として二つある」


 シランがスプーンをピンと立ててレドに向けた。


「ひとつは何かしらの恨みを買っている」


 もうひとつは? とレドの問いに、今度はスプーンをミーファに向ける。


「噂の貧乏神のミーファを面白がって呼んだ」


「アタシかーい!」ミーファがツッコんだ。


「誰も商会の事を知らないんだから、世間の面白そうな噂を聞きつけたか、知らず知らずのうちに恨みを買ったかのどちらかだろ?」


「はいはい!」レドが元気よく手を挙げる。


「この前、マナさんを襲撃してきた連中が商会の人間だったとか?」


 レドの一言にシランは頷き、ミーファは目を見開いて二人の顔を交互に見た。


「えっ、待って。もしそうなら報復でアタシ達呼ばれたってこと? いやいや、こわいこわい」


「でもどうやって俺達を特定したんだろう」


「そりゃレド、あれだよ……あれだけギルドで大騒ぎすれば……」


「やっぱりアタシかーい! てか逃げなくていいの?」ミーファが心配そうに周囲を見回す。


「昼間の感じだとスライム駆除は本当みたいだから、初日から襲ってはこないだろうよ。人手が足りなくなるしな。もし襲ってくるとしたら駆除が済んだ三日目の夜とかじゃね? それに――」


 シランは再度スプーンをミーファに向けた。


「まだそうと決まったわけじゃない。怨恨じゃなかったら五万ネリーを捨てるのは非常に惜しいだろ?」


「そりゃそうだけど……」


「逃げるのはいつでもできる。でももし貧乏神狙いだった場合、いい仕事しとけばそのギャップでかなり好印象与えると思うんだ」


「ちょ、言い方!」


「要するにどゆこと?」レドの眉が寄っている。


「面白半分で誘われてた場合、きっちり仕事やってのければその分評価が上がるって話だよ。商会の覚えも良ければ次があるかもしれないだろ?」


「怨恨だったら?」


「トンズラだよ。人と戦うの面倒だろ? 速攻で王都に戻ってギルドに報告しないと」


「そっか。りょーかーい」



「それじゃあ明日の打ち合わせを始めるか」




 ◇◇◇◇



 一日目。



 加護のお陰でミーファは夜明けと共にパチリと目が覚めた。

 そして何気なく触った頬の感触が昨日と何か違うことに気が付く。顔中をペタペタと触ってみると、明らかにモッチリしている。


「ねぇ二人とも。起きて。何かお肌がプルンプルンしてない? これ絶対気のせいじゃないよね?」


 肌のコンディションを確かめるかのようにグニュっと頬をつねられた二人はその痛みで目を覚ます。

 昨夜食したモモモモの実に肌をモチモチにする効果があると知らないミーファは、突然のモチモチ肌にえらく戸惑っていた。

 妙に艶っぽくぷるんとした肌の三人は、顔を洗うと早速昨夜の打ち合わせ通りに駆除作業を開始する。


 昨日かぞえてた樹の数を基に計算したところ、早朝から作業を始めれば駆除は丸二日で終わりそうだった。

 もし二日で片付けられれば最終日に余裕が生まれるので、取りこぼしの確認作業も出来るし逃げる為の準備もできる。逃げる場合でも逃げない場合でも二日で終わらせるメリットは大きい。


 気味の悪い模様の皮手袋をはめて一心不乱にスライムを駆除していく三人は、あっと言う間に荷台の底板を隠す程スライムを集めた。早速砂糖の出番である。


「砂糖を撒くぞ」


 底板に敷き詰めるように並べられたスライムに、三人は手にした砂糖を均一にまぶす。


「これいつ頃効果出てくるんだ?」


「分からん。もし効果があれば底板の隙間から水が滴り落ちると思う」


「ねね。もしかして食べたら美味しいかな?」ぷるんとしたゼリーに似た質感がミーファの興味をくすぐる。


「話で聞く分にはスライムは相当苦いらしいぞ」


「いや、でも、砂糖をまぶしてあるし、水分も普段より多いから苦さも薄まって、もしかしたら甘いかもよ?」


 食い下がるミーファに呆れながら「止めないから試してみろよ」と鼻をこすりながらシランが促した。


「よし、レドの出番よ」


「え、俺が食うのかよ」


 ミーファにせっつかれて、レドは砂糖をまぶしたスライムを一枚手に取って、渋々表面を舐めてみた。


「…………ヴッ、オエッ! オエェッ! 苦げぇ……ヤバい、舌がキュってなってる。今、舌がキュってなってるよ」


 舌どころか顔全体がキュとしぼんでいるレドを見て、ミーファは手に取ったスライムをそっと荷車に戻した。


「……さぁて、頑張って駆除しちゃいましょうかね――」素知らぬ顔でミーファは組んだ手を上げてウーンと背伸びをする。直後、踵を返して脱兎のごとくその場から逃げ出した。


「あ、おまっ、ズルいぞ」


「ほら、荷車動かすぞ」追いかけようとしたレドを荷台にシートを掛けながらシランが止める。


「あぁ、もう! あとであいつの舌もキュってしてやるからな」

 

 レドは水で口を濯いで吐き出すと、荷車の梶棒を掴んで力いっぱい引っ張った。


 まだスライムの重さをそれほど感じない荷車をゴロゴロと転がして次のポイントまで移動すると、既にミーファが駆除を始めていた。


 荷車を引っ張って来たレドを見つけると「遅いよ! そんなんじゃ日が暮れちゃうぞ」と駆除したスライムを手で掲げてムニムニしながら煽り始める。


 なんだと! じゃあ次はミーファが運べよな――と言いかけた瞬間、上空からミーファの手をめがけて黒い塊が飛び込んでくる。とっさに腕を引っこめたので鋭い爪による攻撃を回避できた。


「わっ! 危な!」


 スライムを狙ったのは鳥の魔物オオカラスだ。

 

 オオカラスは魔物相で言うと大陸全土に分布する鳥の魔物である。

 単独で行動したり群れで行動したりと個体差があるが、群れが大きくなるほど攻撃性が増す。死んだ冒険者の肉を啄んでいる姿もよく見られ、不死系の魔物が骸骨になる一因でもあった。 


「早速お出ましか!」レドとシランが武器を構える。ミーファも転がるように荷車に駆け寄って短剣を抜く。


「このスライムどうしよう。また掲げておびき寄せる? それとも荷台に投げちゃっていい?」


 上空を旋回しているオオカラスを見ながら、片手に握ったスライムの扱いについてミーファが聞く。


「飛んでる敵は厄介だよなー。それ掲げてまた取りに来るかな?」


「でも降りてきてもらわなきゃ倒せないしな。レド、ミーファの短剣にスライム刺して高く掲げられるか? 急降下してきたら俺がハンマーで撃ち落とす」


「いいけど当てられんの?」


「まぁどこから飛んできても軌道はスライムの真上を通過するわけだから、要はタイミングだな。スライムの少し上を叩くつもりでやってみるわ」


 ミーファが短剣をスライムに突き刺してレドに渡すと「じゃあ上げるぞ……頼むから俺の頭は叩くなよ」とレドはそれを頭上高く掲げた。


 シランはハンマーの柄を目一杯引き延ばしてレドの横で構えると、ヘッドを加速させる為の魔道具のボタンにそっと指を乗せる。迎撃態勢は整った。




「さぁ、来い」


 



 ………………

 

 …………

 

 ……


 …




「……ねぇ、いつ来るの?」


 大の字にひっくり返ったミーファが大きくあくびをする。


「そりゃこっちが聞きたいわ。腕しんどい」時々上げる腕を変えながらスライムを掲げ続けるレドもボヤいた。


 迎撃態勢が整ってから結構な時間が経つが、一向にオオカラスは降りてくる気配がない。延々と上空を旋回したままだ。もう三人とも飽き始めていた。


「警戒して全然降りてこないな」


「まだ待つ感じ? もう放っておけばよくない?」


「魔物放置するわけにもいかねーじゃん」


「思うんだけど、長い棒の先っぽにスライム括りつけて荷車にでもおっ立てておけばよくない? それ獲ってってもらえば倒さなくても用が済みそうでしょ」 


「囮みたいなもんか……それ悪くないな」


「そうそう。これあげるからどっか行ってねみたいな。そうと決まれば長い棒探してくるね」


 ミーファは立ち上がって服についた土を手で軽く払い、レドは上げていない方の手で首の付け根を押さえてゆっくりと首を回し、シランはハンマーの柄のボタンから手を離した。

 三人の意識がオオカラスから外れた瞬間、それは上空でずっと描かれていた軌道が変わる瞬間でもあった。黒い塊が急激にスピードを上げて突っ込んでくる。

 最初に気付いたのはレドだった。


「シラン! 来たぞ!」


 その声で反応したシランは握り直すタイミングを逃し、魔道具の発動ボタンを押せずにハンマーを振りかぶる。案の定、初動の遅いハンマーは振り遅れてオオカラスにヒットしなかった。

 ただ、レドがギリギリ反応できたので、スライムは獲られずに済んだ。オオカラスは一旦上空に上がると、向きを変えて間髪入れずに二度目の急降下をしてきた。


「次は当てる――」


 シランがボタンを押すとヘッドに装着された魔道具から圧縮された空気が爆音と共に吹き出し、ヘッドスピードが劇的に上がる。ハンマーが綺麗な弧を描いて――



 空を切った。 

 今度はヘッドスビートが早すぎた。

 シランの二振り目はオオカラスの目の前を一瞬早く通り過ぎ、そのまま地面にめり込んだ。


「げっ! 外した」


 だが攻撃が当たらなかったはずのオオカラスは、何故か上昇せずにガクンと軌道を落とし、そのままシランの真横を通り抜けて地面に突っ込んだ。


「レド! よく分からんが落ちたぞ。早く!」ハンマーが深くめり込んでしまって抜けないシランが叫ぶ。


「えっ、何? 耳がキーンってなって聞こえない」大きな声で返事がくる。


「耳抜きくらいしろ!」


 シランはハンマーを離すと、後方の地面でバタつくオオカラスに素手で飛び掛かった。飛び立とうとするオオカラスの羽根を上から押さえつけてミーファに目配せをする。

 頷いたミーファはもう一本の短剣を抜き、素早くオオカラスの首元に刃を突き立てた。バタバタと暴れていた羽根が静かになっていく。フゥと息を吐きながらシランが羽根から手を離す。


「何で落ちてきたの? 攻撃かすってた?」ミーファの問いにシランは首を傾げる。


「いや、きれいにスカってたよ……。もしかしたら魔道具の風? のせいかもな。勢い余ってボタン押しすぎたから魔素がスッカラカンだ」


「まぁ何でもいいじゃん。倒せてスッキリしたし、今日もお肉にありつけそうだしね」


 突き刺したままの短剣の先をグリグリと動かし「見っけた」と短剣を抜くと、ミーファはその傷跡に指を突っ込んで小さな魔石を取り出した。


「これは倒したけど、次からは面倒だから棒立てとけばいいよね?」


「そうだな。おーい、レド」


 シランがレドを呼ぶと、アーアー言いながらレドが返事をする。


「まだ耳抜き出来ないのかよ」


「うん、なかな――あ、抜けた」


「じゃあ、長い棒を探してこようぜ」



 棒を見つけて戻って来ると、荷車の底からポタポタと水滴が垂れていることにミーファが気が付く。


「あー。ねぇ見て、下が濡れてるよ」どうやら砂糖による脱水は上手くいっているようだ。


「おっ、成功か? じゃあスライムをどんどん集めて、ばっさばっさと砂糖を撒こうぜ」


 拾ってきた棒の先端にスライムを括りつけ、それを荷車に縛り付けると三人は駆除作業を再開した。

 

 今日予定している駆除範囲はまだまだ残っている。オオカラスのせいで時間を食ってしまった。のんびりしている暇はない。





「せんせー、もうちょっとしたらおやつ休憩を所望致します!」


「あ、さんせー。所望しまーす」


お貴族様ご用達のモモモモの実の美肌効果は素晴らしいです

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