第5話 第一印象が最悪な奴に限って今は親友。
未来 謎のオフィスにて
「...いったた...何事!?誰だお前!?」
俺は突如頭上から降ってきた少女に叫んだ。すると、俺の背中の上に乗ったその少女は、顔を真っ青にしてこう呟いた。
「ここは...本当に未来!?っていうか、...吐きsゥオエッ!!」
次の瞬間、俺の背中に伝わるぬくもり。目を向けるとそこには、自主規制された胃の内容物たちが元気に滴っていた。
「オイィィィーーーー!!!俺の背中の上でゲロってんじゃねェェ!!」
俺はこの少女の内容物を振り払うために転げまわる。
「ちょ、ちょっと!そんなに動くでない!また気持ち悪くnぅう”ぉえ”っ!!」
「うお、テメ...クソガキ!!人の背中でそれ以上嘔吐すんじゃねぇ!!俺の背中がお前の胃酸で溶けたら責任取れんのか!!」
俺はなんとかこのゲロくさい少女を引き剥がそうと試行錯誤する。
そしてどうにか両手でゲロ少女を掴み、俺の背中から引き剥がすことに成功した。
この正体不明、出所不明の女の子は一体なんなんだ!
俺は及川なら何か知っているかと思い、彼女に詰め寄る。
「おい及川!コイツは一体誰だ!何で急に出現した!!」
「ん~、詳しいことは分からんけど、多分江口の仕事やな」
(江口?ここに来てまた知らない名前が出てきたな...。まぁ今は、一旦コイツの正体を暴くところからか...)
俺は、床に倒れこんでしまっている謎の少女を見下ろす。すると、俺が聞きだす前に及川が質問をしてくれた。
「お~い、嬢ちゃん!聞こえてっか~?」
「う、うむ。全部出し切って少し落ち着いてきたところじゃ...」
「ほんなら、お嬢ちゃんのお名前とか聞いてもええか?」
「わしの名前は『宇野なのは』じゃ。あと、こっちからも聞きたいんじゃが、ここは本当に未来なのか...?」
この反応を見るに、この子も俺と同じ、現代から来たようだ。
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五分後....
「よし。ナノハも落ち着いてきたことやし、改めて自己紹介してもらおか」
及川は、少女のことを『ナノハ』と呼び、肩にポンっと手を置いた。すると少女は胸を張って口を開く。
「わしの名前は『宇野なのは』!歳は14じゃ!!」
(ホウホウナルホド)
俺は内心呟いた。
(ロリッ娘キタコレ)
正直14歳はロリと言っていいのか分からないラインではあるが、ナノハは小っこくてかわいい。これは間違いなくロリ属性と言っていいだろう。
髪は黒髪でロングだが、少し癖っ毛で、サラサラポニテのサキちゃんとは全然違うタイプだな。身長は140cmくらいか?
俺がそんな紳士の眼でナノハを舐めるように見ていると、ナノハは急に神妙な面持ちをして俺達三人に顔を近づけた。ちょっとゲロくさい。
「ちなみに...ここだけの話、実は...」
なんだなんだ?早速俺達に秘密を打ち明けてくれるのか?言ってくれるのは嬉しいが、この子はもっと人を選んで秘密を暴露するべきだったな。
俺は紳士だ。こんなロリッ娘の秘密を知った日には、どんなことをしでかすか俺でも予想はできないぞ!
俺は真剣な眼差しでナノハを見つめる!
「実は...わしは九尾の生まれ変わりなのじゃ...!!」
(...は?)
俺は、そのあまりにも信用と突拍子のないナノハの秘密を聞き、道端で外国人に声をかけられたバカ大学生みたいな表情になってしまった。
しかし横の銀髪女は、どうやらナノハのカミングアウトを真に受けてしまったらしい。
「うお!ホンマか!?おいサキ、特人!聞いたか!?過去には凄い人間がおるんやなぁ!!」
(...そう来たか。ってか及川はそんなはしゃぐな。宇宙人とのハーフも俺からしたら同じくらいの衝撃度だし)
しかし、ナノハの独特な喋り方はずっと気になっていた。そして、彼女は過去から来たと言っていたが、俺達と同じ時代から来たとは限らない。
もしかしたら平安時代とかから来ていて、本当に九尾の力を持った凄い陰陽師的な人なのかもしれない...!!
「あ、あの、ナノハは過去から来たって聞いたけど、何時代から来たのかな...?」
「令和6年じゃ」
「.........」
(ですよね~~!!)
うん知ってた!!だって思いっきり中学校の制服なんだもん知ってたよ!けどさ、そうなるとコイツの正体は一つに絞られるよな!
そう!
「コイツ中二病だァーー!!」
俺はありったけの大声で、少女の正体を看破した。
「な、なにを言うんじゃそこのゲロまみれ男!!」
「シャラップクソガキ!!誰の吐瀉物のせいでこうなってると思うんじゃ!!」
(あ~あ、やべぇよやべぇよ...)
今ここに居る人間で唯一まともなのはサキちゃんだけだ!とりあえず、サキちゃんにこの中二病ロリッ娘をどう思うか聞いてみよう...!
「ねぇねぇサキちゃん、この娘どう思う?一人称『わし』だけどさ、絶対十年後後悔してると思わない?多分中学の同窓会とか行けないレベルの黒歴史背負ってるよコレ」
「......」
...ん?
サキちゃんから反応がない。サキちゃんは俺の横でずっとナノハを眺めていた。
「あ、あれ?サキちゃん?声聞こえてる?おーい」
「はっ!!すみません、ちょっと意識が持ってかれてました!えっと、なんの話でしたか?」
ようやく俺の声に気が付いた彼女だったが、なんだか様子がおかしい。さっきまでの彼女とは何かが違う感じがする...
「えぇっと、サキちゃんから見てこの娘どう思うって聞こうと_」
「はい、食べちゃいたいです」
(...なんて?)
食べちゃいたい?たべちゃいたい?タベタイチャイ?
...俺のFランの頭脳を駆使しても理解不能な状況は存在する。今がそれだ。
「...えっと、サキちゃんは食人願望とかあるのかな?」
「何でそうなるんですか!この食べちゃいたいは、ナノハちゃんが可愛いすぎるから、その比喩ですよ!!」
なるほど分からん。
まぁ確かにナノハはちっこくて可愛い小動物系だとは思うが、そこまでの表現をするほどか...?
「えっと...、可愛いのは分かるけど、そんな夢中になるほどかな...?」
「あれ?言ってませんでしたっけ?私ロリコンですよ?」
ロリコンですよ?ロリコンですよ?ロリコンですよ?
俺の耳の中で、彼女の一言がこだました。
そしてそれと同時に、俺の中で何かが崩れた音がした....
(そんな!!サキちゃんまでイかれたのか!?__いや、そうか...俺の周りには、最初からまともな人間なんて居なかったんだ...)
関西弁宇宙人ハーフ女、中二病ロリッ娘、そして、ロリコン電撃美少女...
「ぐぅっ...!ひぐぅ...!!俺の周りには、マトモな人間は1人も居なかったんだ...!うぐぅっ!」
俺は泣いた。
声にならない声で、咽び泣いた。
その涙は、この汚れ切った世界で、唯一透明であったと思う。
「おっとちょい待ち。何自分がマトモみたいに泣いとるんや、この独り言パチンカス脱糞変態メガネ」
「.......」
俺の純粋な涙を前にしても、この関西弁宇宙人女は容赦なく暴言を吐いてきやがった。一体どんな育ち方をしたらこんな仕上がりになるのだろうか。一度親の顔が見てみたい。
あ、コイツの親、片方宇宙人だった。
「......うぅ!!今度は半分宇宙人の女に虐められるっ!!」
「お前一回認めたやろ?今ちょっと自分の悪いとこ認めたやろ?だから謎の間があったやんな?なぁ?」
「ひぐっ、ひぐっ!!」
(母さん、俺は今、ヤバい女たちに囲まれて泣いています。正直、とても辛いです。けど、母さんが俺の部屋を無断で掃除したせいで、俺の成人向け雑誌が発見されてしまった時よりは辛くありません。だから、もうちょっと頑張ってみます。特人)
続く!!




