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笑え!進め!我ら特課なり!!  作者: 今木照
第二章 バディはSTAGE4中二病ガール
21/46

第21話 キャッチでも無視したら心が痛む。

西暦2324年 東京都 

警視庁の特課オフィス近くにて...



「二人共、ちょっと待ってください!」


 オフィスから出た直後の俺とナノハを、サキちゃんが呼び止めた。


「ギクゥ!」


 俺達は現在抱える後ろめたさから、つい過敏に反応をしてしまう。しかもその声は、さっきまでのサキちゃんらしくない、少し思いつめたような声色だった。

 次の瞬間、脳裏に浮かぶ一抹の不安...!!


(サキちゃんに、嘘がバレた...!?)


 俺は慌ててナノハの方を振り返る。ナノハも俺と同じことを想像したのか、緊張した様子でこちらに目くばせをする。

 そしてナノハは慌てて俺に顔を寄せると、ひっそりと耳打ちをしてきた。


「特人よ、まさかとは思うが、サキがワシらの嘘を見破ったのではないか...!?」

「な!?お、俺の嘘は完璧だったハズ...!!」


 俺達が冷や汗を流しながら心拍数を上げているこの間にも、神妙な面持ちをしたサキちゃんはスタスタと近づいてきている。


(く、クソ...!こうなったら!)


 俺はナノハの一歩前に出て、体を大の字に広げた。

 この真実に気づかれたからには、仕方がない...!やりたくはなかったが、ここは自分の身を差し出してサキちゃんを止めるしかないッ!

 俺は血の流れが速くなっているのを感じながら、サキちゃんの行く手を身を挺して阻んだ!!


「...さ、サキちゅぁーん!!この体を貴女に差し上げます!!俺のお尻をいくらでも引っぱたいていいし、指示さえあればサキちゃんの足の爪まで舐めます!だから、このことは口外しないで___って、アレ?」


 初恋に火照る乙女の様に顔を赤らめた俺を、サキちゃんは見事なまでにスルーし、彼女はそのまま、奥にいるナノハの方へと向かった。そして狼狽えるナノハの肩を優しく触り、サキちゃんは口を開けたのだ。


「ナノハちゃん!変なことさせられてないですか!?この変態吐瀉物メガネ(とくとさん)にいかがわしい事とか強要されてないですよね!?」


 俺は、絶句した。

 サキちゃんの口から出てきた言葉は、俺達の隠していた嘘についての話なんかではなく、ただただナノハの身を案じるだけの言葉だった。...ってか、俺そんな風に思われてんのかよッ!

 俺はこの汚名を返上すべく、慌ててサキちゃんを呼び止める。


「さ、サキちゃーん?えっとー、俺のことがどんな風に君の眼に映ってるのかは知らないけどさ、それはちょっと酷いって言うか、俺にも人の心はあるわけだし...」

「あ、大丈夫ですよ。全身チ〇ポ星人さん」


 サキちゃんは真顔のまま、さも常識かの様に即答する。


「あ、あははっ。サキちゃんは面白いな~!な~に?チ〇ポ星人って。...あ!もしかしてGANTZ?あんまよく分からないや!でもね、サキちゃんみたいな女の子が、あんまりチ〇ポとか言わない方がいいと思うなー?」


 俺は、嘘がバレてなかったことへの安堵と、サキちゃんからの異常なまでの偏見を一身に受け、情緒がぐちゃぐちゃになりながらも、清楚系女子に対する正しい指導を行った。しかし、既にサキちゃんの耳に俺の言葉など届いておらず、彼女は鼻息を荒くしながらナノハの肩を揺さぶっている。


「それでナノハちゃん!何かされたんですか!?例えば抱き着かれたとか、お尻を触られたとか!いや、特人さんのことだからもっと過激な...。た、例えば、無理矢理(自主規制)されたり、(自主規制)させられた後(自主規制)させられたり、服を脱げと脅された挙句路上で__」

「おーいストップストップ」


 と、止まらなくなってしまった狂気のロリコン美少女サキちゃんは、ナノハの体を揺さぶり続ける。俺が静止しようとしても、一向に自主規制のパレードは彼女の口から飛び出し続けている。

 一方ナノハも、目を回しながらも必死にサキちゃんを止めようとしていた。


「あわわわわ...!さ、サキよ!心配するでない!ワシは大丈夫じゃから!だからそのセンシティブな単語はやめてくれーー!!」


 このナノハの魂の叫びにハッとしたのか、遂にサキちゃんの手が止まる。そしてサキちゃんは顔を赤らめながら、ナノハから手をはがした。


「ご、ごめんなさい!ついあの異常者(とくとさん)と二人っきりだったナノハちゃんが心配で...」

「だ、大丈夫じゃ!確かに、特人は下ネタに眼鏡をかけてできあがったような存在じゃが、」

「オイごらガキ」


「ワシは今のところ変なこともされてないし、いざとなればアイスウォールで自分の身は守れるから心配無用じゃ!」


 正直、サキちゃんにここまで信用されていないのは心外であった。しかしまぁ、今は俺達の嘘が見抜かれなかったという事で納得しよう。


 俺はナノハに、「外に行こう」と目くばせをした。ナノハは小さく頷き、サキちゃんの方に向き直る。


「じゃあサキよ、ワシらはそろそろ外に行くぞ」

「あ、そうですよね!行ってらっしゃい!...でも、ナノハちゃん、特人さんじゃなくて私が(自主規制)するってのは__」


「特人!早く!!」


 ナノハが身の危険を感じ、俺を強く呼ぶ。俺はナノハの純潔を守る為にも、いち早く彼女とこの場所を離れることにした。


 駆け足で警視庁の外に出た俺達は、肩で呼吸をしながら膝に手をつく。


「はぁ、はぁ、ヒヤッとしたな、特人よ...」

「まったくだぜ。...あと、もしこれから先、お前がサキちゃんに変態的なことをされそうになったら、すぐに俺を呼べ。代わってやっから」


 ナノハは一瞬、俺のことを蔑んだような眼で見てきたが、息を整えると上半身を起こして、歩き出した。俺は長年のパチンコ生活の影響で弱った足腰に鞭を打ち、懸命に現役女子中学生についてゆく。


「それでは、ゆくぞ!」

「あぁ。ちょっくら暴力団を潰しになァ(あとエ〇本をもらいにな)!!」


 _____________________



 その頃、特課オフィス内にて


「...せや、その通り、新入りの二人や。一人はジブンが連れてきた、ナノハな。もう一人は石塚特人っちゅう、パッと見でアホそうな眼鏡男や。...どーも怪しいねん、あの二人。杞憂だったらええねんけど、何かあったら教えてな。ほな」


 及川は電話を切ると、さっき外に出ていった特人とナノハを窓越しに見下ろした。

 その様子を見ていたサキは、不思議そうな顔で及川に尋ねる。


「及川さん、今の電話相手って...」


 及川は窓の外から視線を外さないまま、彼女の疑問に答える。


「あぁ、今の電話はウチの同僚、そして5人目の特課である男。...『江口』や」




 続くッ!!

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