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小市民の選択  1

抗がん剤治療を無事に終えたもちづきはどうなってしまったのか? 最後までお付き合いいただけたら嬉しいです!

 夫が勤続表彰を貰いまして(一定の勤続年数で区切って慰労や感謝の意味をこめて会社から贈呈されることがあるんですね)これが一年以内の使用期限を設けた旅行券、10万円分だったんです。

 おおー〜、10万かよ、すごー〜。と、思っている間に癌の告知を受けまして、そこからの手術、抗がん剤治療を開始していたので、ちょっと旅行どころじゃなかったんですね。

「それで旅行なんだけど、3月は忙しくて難しいから、出来たら2月中に行ければと思うんだけど」

「おおー〜、2月なら抗がん剤治療を終えて一ヶ月半は経っているし」

 漏れたら壊死するというドキソルビシンという抗がん剤と腎臓への負担大と言われるシスプラチンという抗がん剤を使用していたのですが、

「結局、吐き気とかなかったし、行けるんじゃないかなあ〜」

 抗がん剤に対して完全に舐め腐っていたのは間違いない事実です。


 ちなみに昨年12月に歴史ある神社に行きまして、12月だったんですけど無性におみくじを引きたくなった私は二百円を払って、おみくじ棒が出てくるタイプのおみくじを引くことにしたんです。

 棒に記された番号に対応するおみくじ紙を半分折った状態で渡された私は夫の元まで移動をすると、

「せーのっせ!」

 パッと開いて目をギョロリと見開いたんです。

『凶』

 おお〜、ちなみに私はおみくじで『大吉』を引くことが多い(2025年も年始は大吉でした)のですが、

「凶? まじで凶?」

 内容は何もかもダメ、何も良いところがないという感じ。

「いやいや、これは残り一ヶ月の運勢ということで、年始はきっと大丈夫でしょう!」

 そう信じて粛々と年末を過ごし、年を越して新年を迎えることになりまして・・

「せーのっせ!」

『末吉』

 末吉、末吉?凶からワンランクアップ? それにしたって旅行 の欄に行けないって書かれていたんですよ。『旅行 行けない』 他の項目は覚えていないんですけど(とにかく良いところは何もない感じだった)旅行 行けないって? 旅行 控えるべし なら見たことあるけども、

「旅行 行けない? 」

 断言されちゃっているじゃんよ。

 験直しに二つ目に行った神社でもおみくじを引いたんですけど、

『末吉』

 もう、今年はおみくじを引くのはやめようかと思います。 


 こうしておみくじのことを忘れた私は『旅行 行けない』と書かれていたのにも関わらず10万円分の旅行券を使うことにしたのです。(使用期限が3月までだったので)

 こういった旅行券を使用するのは始めてのことだったのですが、旅行代理店に直接行って予約をしなければならないわけで、

「10万円も補助が出るなら、この際、ドーンと沖縄(行ったことがない)に行ってみるのも良いわよね〜!」

 夢ばっかり大きくなっていきますが、

「「無理だろ」」

 と、夫と娘が容赦無く言って来たんです。

「治療を終えてまだ万全の状態じゃないだろう?」

「ママ、自分の限界くらい自分でちゃんと把握してよ」

「それじゃあ何処に行くというのだね?」

「伊勢がいいんじゃないかな」

 昨年、我々は人生初のお伊勢参りをしておりまして、

「ママも無事に治療を終えることになったし、お礼参りに行った方が良いと思うんだよ」

 と、夫が言い出したんですね。


 近畿に住んでいると伊勢って意外に行きやすかったりするんですよ。

「特に猿田彦神社は道開きの神様と言われるし、ママが順調に治療を進められた感謝のお礼参りはしたいと思っていたんだよ」 

 年末年始にお伊勢参りの特集が色々なテレビ局で放映されていた関係で、夫の頭の中はすっかりお礼参りモードになっていたんです。

「まあ、車で移動なら体もキツくないだろうし」

「沖縄よりかはよっぽど現実的でしょう?」

「私も伊勢でいいよ〜」

 ということで我々は旅行券で伊勢市と鳥羽市にあるホテルを押さえることにしたってわけです。


 指定の旅行代理店に行ってホテルの予約をして貰うことになったんですが、

「お客様の場合、30日前の予約プランを利用できるので、お得に宿泊することが出来ますよ〜」

 お得に宿泊出来るの〜?

「その代わり、このプランの場合だと二週間前からキャンセル費用が80%掛かることになります〜」

 おっ、おおー〜。

「一泊目に宿泊するホテルはる◯ぶさんと当社が提携をしている形になるので予約をすることは出来るのですが、手続き費用として千円必要になりますし、途中でキャンセルとなった場合はこの千円に追加してキャンセル手続き費用として更に千円を払う形になります」

 おっ、おおー〜。

「そしてこの一泊目のホテルなのですが、家族のうち誰か一人でも宿泊出来ないということになりましたら、残りの二人も宿泊出来ない形になります」

 おっ、おおー〜。

「それでも大丈夫でしょうか?」

 それでも大丈夫かどうかだって〜?


 私は生まれて初めて旅行代理店でホテルを予約しているわけですが、とにかく、とにかく! びっくりするくらい時間が掛かるんです。

 家族三人で旅行券プラス一万ちょっとで家族三人、二泊分の予約が出来たのでかなりリーズナルブだとは思うんですよ。ホテルも良さそうだし、お値段もお得。旅行代理店にはホテルの目星をつけた上で行ったんですけど、それにしたって部屋を押さえるのに一時間以上は時間が掛かっているような状態で、

「それじゃあ、キャンセルにもっと猶予があるホテルを探して貰いたいんですけど〜」

 とは言いづらい! 本当の本当に言いづらい!


「まあ、車で移動をするし」

「大丈夫だろう」

 こうして我々はホテルの予約と支払いを済ませてしまったんだけれども、出発日となった当日の朝10時、

「あ・・熱、37・8度あるわ」

 さあ、小市民よ、10万円越えの費用を払っている状態で、一体どんな選択をする?


抗がん剤治療はようやっと終わったのですが、その後はどうなってしまったのか?癌の告知を受けた私の状況をコミカルに描いていきたいと思います。

癌を治療するにあたり、私としてはこうした方が良いのだなという部分をクローズアップして、

二人に一人が罹患すると言われている癌について、情報を共有しつつ、楽しんでいただけたら幸いです!

もし宜しければ

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