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9.インフィニティ

「いやー、お手柄だったね。知樹君」


 岩本さんはソファーでタバコを吸いながら話をした。


火草ひぐさは病院送りだよ」


「エアーバイクの操縦、大したもんだ」


「火草はもう怒髪天どはつてん状態だよ。でも、初めから知樹君を舐めてかかった火草も悪いよね」


「火草は怒るとやっかいなんだ。知樹君も当分の間、火草に会わないようにね」


 岩本さんは灰皿にタバコを押し付けるとアタッシュケースを開錠した。中には現金と何かのカプセル錠剤と鍵が入っていた。これは知樹君のだよ。とアタッシュケースを渡された。


「先ずは支度金が百万円、それからインフィニティが一錠。この鍵は健司も住んでいるアパートの鍵、二階の角部屋が知樹君の部屋だよ」


「知樹、お前はマジですげーよ。映画のワンシーンみたいだった」


 健司はアイスコーヒー三つをテーブルに並べるとソファーに座った。


「今日から知樹君はバッズのメンバーだ。健司、色々と教えてやれ」


「了解っす」


「知樹君、覚悟は良いかい。もう戻れないぞ」


「岩本さん、どんなことがあっても後悔なんてないです」


 そうか、と言いながら岩本さんは奥の部屋に入って扉を閉めた。


「知樹、行こう。先ずはタトゥー屋からだな」


 健司に連れられて高層ビルを出た。タトゥー屋までは歩いて五分くらいだった。店内の椅子に座ると「どこに彫りますか」と聞かれたので健司と同じ左腕にしてもらった。麻酔をかけて転写シートを前腕に貼ると五分でバッズのタトゥーを入れた。三万円だった。店員曰く、ブラックライトを当てると別のパターンのタトゥーが浮かび上がるんだそうだ。


「次は武器だな、バッズ系列の店があるから、そこに行こう」


 ウェポンショップまでは三十分掛かった。店内には様々な武器が置いてある。知樹は店員におすすめを聞いた。


「先ず、初心者は太田工業【ニュージャパン】のハンドレーザーガンだな、汎用バッテリーマガジンで八十発撃てる。安定性能は抜群だし、命中力も高い」


「後は近接用の超高密度ブレードだ。これも太田工業【ニュージャパン】の奴で、軽くて丈夫で扱いやすい」


「防弾、防刃チョッキならファーマスインダストリー社【ロシア】のボディアーマープレートをおすすめする、収納ポケットが六個付いた頑丈なチョッキだ」


 知樹はまとめて買うといくらなのかを聞いてみた。三十万円だが二万円を値引いてくれるそうだ。それを聞いて全部、購入した。二十八万円だった。


「健司、次は偽造身分証を買いたいんだけど」


「それなら、ここから一時間は歩くよ」二人でのんびり散歩をしながら、その場所へと向かった。一軒家にその場所があった。中に入ると四十代くらいの眼鏡をかけた男性が「いらっしゃい」と言った。それから偽造身分証を作ってもらった。三十分くらいだった。料金の十万円を支払うと家具屋へ向かった。


「次は何を買うんだ」


「とりあえず、ベッドと布団かな」


「それが終わったら、飲みにでも行こうよ」


「知樹、いいね。それ」


 家具屋に着いてベッドと布団を購入した。五万円だった。残りの手持ちは五十四万円だ。ベッドと布団をアパートに送る為、健司に住所を聞いて送り状に記入をした。


「とりあえず、もう十九時だし、繁華街に行こうか」


 二人で居酒屋に入った。ビールを頼んでつまみを適当に頼んだ。「乾杯」と言いながら二人で一気飲みをした。追加でまたビールを頼むと健司は話し始めた。


「残りの生活用品は、まぁ、ゆっくりと知樹の方で揃えてもらって、インフィニティの話だ」


「ケースに入っていた、このカプセル錠剤の話か」


「そのカプセル錠剤、三百万円するからな、丁寧に扱えよ、それは特殊能力ギフトを覚醒させる錠剤だ。所謂いわゆる、超能力と言ってもいい。発動するかしないかは、やってみないと分からない」


ちなみに俺は発動しなかった。覚醒すると身体のどこかに十字の痣が出来る」


「それが発動しているのか、していないのかの基準になる」


「超能力って冗談だろ」


「いや、マジだ。特殊能力ギフトは本来、誰にでもあるんだそうだ」


「その錠剤はスケルター経由でロシア政府から買い付けている」


「岩本さんも覚醒者だ。詳しくは言えないが、実際に俺は見たことがある」


「とんでもない能力だよ」


 知樹は焼き鳥を頬張りながら健司の話を聞いていた。なんだそれ、そんなの見たことがない。知らないものに対する恐怖心と好奇心が心の中にあった。


「知樹も今日、帰ったら飲むんだ。気を付けろ、飲むと三日間は寝込むからな」


 知樹は景気づけに女の子の店に行こうと提案をした。健司はもちろん、行こうぜと言った。それから、キャバクラに向かった。店が暇だったのか五人ほど付いてくれた。「二人とも可愛いね」そう女の子が言うと健司は少し照れくさそうに「お姉さんたちも綺麗ですね」と言った。そこからキャバクラで二時間ほど楽しく飲んでアパートに向かった。二人で二万円だった。


 健司が予備の布団を貸してくれた。


「明日、ベッドが届くだろうから、それを部屋に入れておいてやるよ」


「インフィニティを飲んだら三日間は寝込むからな。取り合えず、部屋の鍵は開けておけ。飲み物か何か用意しておくから」


「うん、ありがとう」


「じゃ、おやすみ」


 健司は自分の部屋に帰って行った。知樹は迷いながらもインフィニティを手のひらで転がしながら一気に飲み込んだ。嘔吐感が、凄まじい乗り物酔いになった。頭も割れるように痛い。布団の上で悶え苦しんだ。そして気絶するように意識が無くなった。意識が無くなる前に眼鏡をかけた偽造身分証の男が出てきて「知樹君、可愛い」と言った。

◆登場人物


木下知樹きのしたともき 十七歳、物語の主人公。


松田健司まつだけんじ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


岩本信いわもとしん 二十二歳、ストリートギャング(バッズ)の幹部。


上野火草うえのひぐさ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


◇設定資料


◇ハンドレーザーガン、太田工業【ニュージャパン】のハンドレーザーガン。汎用バッテリーマガジンで八十発撃てる。安定性能は抜群で命中力も高い。初心者向けのハンドレーザーガン。


◇超高密度ブレード、太田工業【ニュージャパン】の超高密度ブレード。軽くて丈夫で扱いやすい。


◇ボディアーマープレート、ファーマスインダストリー社【ロシア】の防弾、防刃チョッキ。


◇インフィニティ(錠剤)飲むとまれ特殊能力ギフトを授かる。服用すると激しい乗り物酔いと頭痛で三日間くらいは寝込む。特殊能力ギフトを覚醒させると身体のどこかに十字の痣が出来る。

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