表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/49

43.復讐の歌②

「腕の良い職人だったな」観光ビザをくるくると回しながら健司が話した。


「二人ともニュージャパンは初めてかな」知樹が二人に尋ねた。


「俺は生まれて初めてだな。そもそもここから出た事が無い」健司が答えた。


「火草はどうなの」


「私は小さい頃、ニュージャパンに旅行に行った事がある。初めてでは無いな」


「そうなんだ。二人とも旅で必要な買い物は無いのか」


「バッグとか細々とした物は家にある」健司が話した。


「健司と同じ」火草が答えた。


「じゃ、三日後にニュージャパンへ出発だ。各々、準備するように。解散」知樹はそう言いながら街に買い物に出かけた。使っているバッグはもうボロボロだったからだ。街で新しいバッグを購入すると知樹はストリートギャング【アンダーワールド】の坂城信夫さかきのぶおに連絡を取った。


「知樹君かね」坂城は通話に出た。


「お久しぶりです。実は坂城さんに調べて欲しいことがあるんですよ」


「何かね」


「似顔絵で人を探すことは出来ますか」


「探すことは可能だよ。でも、数千人単位で出るだろうね。似ているものを全て抽出するからね」


「ニュージャパンの警察関係者までは分かっているんですが」


「それなら警察のデータベースをハッキングしよう」


「警察関係者の画像を抽出して画像検索をかければ見つかるだろう」


「ギャラはいくらですか」知樹が尋ねた。


「知樹君には大変お世話になったからね。無料で良いよ。次回からは頂くけどね」


「ありがとうございます。何時くらいに分かりますか」


「今からだと八時間程度で割り出せるんじゃないかな」


「それなら似顔絵のデータを送りますので後でまた連絡します」


「まぁ、任せてくれよ」坂城さんはそう言うと通話を切った。


 知樹は自宅に戻って大内さんに連絡を入れた。


「大内さん、犯人が絞り込めそうですよ」


「本当か、色々ありがとう。知樹」


「大内さん、決して一人で動かないで下さい。約束ですよ」知樹は念を押した。


「あぁ、分かった」「では三日後に羽田空港で会おう」そう言いながら大内さんは通話を切った。


 知樹は柚葉にも連絡を取った。


「知樹ちゃん、戻って来ても大丈夫なの」


「偽造した観光ビザがあるから大丈夫だよ」


「仲間達も連れて行くから、美味しい店で一緒に何か食べよう」


「柚葉の好きな食べ物、飲み物。何でも良いよ」


「ありがとう、知樹ちゃん。行ってみたい所があるからそこにしようよ」


「じゃ、事件が解決したら皆で行こうな」そう言いながら知樹は通話を切った。


 知樹は身支度を始めた。三日分の着替えに洗面用品、水筒に現金などをバッグに詰め込むと後で坂城さんに連絡を入れないとな。そう思いながら身支度を終えた。


 一方その頃、健司は自宅で吉田と話をしていた。


「吉田、仕事は大丈夫そうか」


「兄貴、任せて下さいよ」


「何かあったら岩本さんに連絡を入れるんだぞ」


「大丈夫っすよ」


「何かお土産を買ってくるから何がいい」


「兄貴、太田工業のブレードが欲しいっす」


「お前、現金な奴だな。確か太田工業のブレードなら知樹が持っているから譲って貰おうぜ」


「ナイフが人に刺さる感覚が嫌なんだそうだ」


「本当っすか。あの知樹さんが」


「人には何かしら苦手な物があるんだよ」


「そうなんすね」


 健司の部屋のインターホンが鳴った。今井里奈いまいりなだった。


「里奈ちゃん、どうしたの」健司が聞いた。


「岩本さんから仕事を手伝うように言われて来ました。私も岩本組のメンバーですね」


「本当かよ、良かったな」


「このお姉さんもバッズの見習いなんですか」吉田が話した。


「そうだよ、吉田」健司が話した。


吉田茂よしだしげるです。よろしくお願いします」


「私は今井里奈いまいりなです。よろしくね」


「二人とも仕事は任せたよ」


「任せてください」今井が話した。


「せっかくだからお祝いしようぜ。吉田、知樹を呼んできて」


「はい、分かりました」吉田は部屋を出た。


「何か食いたい物とかないか」健司が今井に尋ねた。


「焼肉が良いです」今井が答えた。


「それなら火草も呼ぼうぜ」健司はデバイスで火草に連絡をした。


「里奈ちゃん。やったね。おめでとう」知樹が部屋に入って来た。


「まさか岩本組だとは思いませんでしたよ」今井が話した。


「岩本組か、言い得て妙だね」知樹が話した。


「知樹さん、太田工業のブレードを譲ってくれませんか」吉田が知樹に尋ねた。


「良いよ、使って無いし、吉田なら思う存分使ってくれそうだ」


「本当っすか、ありがとうございます。大切にします」吉田はお辞儀をした。


「火草も来るってよ」健司が話した。


「焼肉か」知樹が言った。


「焼肉だ」健司が頷いた。


「じゃ、みんなで焼肉を食べに行こう。俺が奢るよ」そう知樹が言った。


「流石っすね。知樹さん。マジで半端ないっす」吉田が嬉しそうに話をした。


 それから札幌駅近くの繁華街にみんなで出向いた。焼肉屋の入口に火草が立っている。


「里奈、おめでとう」火草が今井に話しかけた。


「ありがとうございます。火草さん」今井が答えた。


「知樹、犯人の割り出しは済んだの」火草が知樹に尋ねた。


「あぁ、後で説明する。今はとにかくお祝いだ」


「美味そうっすね」吉田が店内の匂いを嗅ぎながら話した。


「好きな物、頼めよ。吉田のお祝いも含めてあるからな」健司が言った。


 それからみんなで焼肉を食べた。火草と吉田が大食い勝負になったが火草に軍配が上がった。


 三人は三日後に旅立つ、大内洋子おおうちようこを殺害した犯人を追いつめる為に。

◆登場人物


木下知樹きのしたともき 十七歳、物語の主人公。


松田健司まつだけんじ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


上野火草うえのひぐさ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


吉田茂よしだしげる 十三歳、ストリートギャング(バッズ)の見習い。


今井里奈いまいりな 十七歳、ストリートギャング(バッズ)の見習い。


大内重之助おおうちじゅうのすけ 三十八歳、警視庁少年育成課の刑事。


鈴木柚葉すずきゆずは 十六歳、主人公と同じ児童養護施設の仲間。


坂城信夫さかきのぶお 年齢不明、ストリートギャング【アンダーワールド】のメンバー。


◇設定資料


◇超高密度ブレード、太田工業【ニュージャパン】の超高密度ブレード。軽くて丈夫で扱いやすい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ