表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/49

37.カワセミが飛ぶとき②【番外編】

 女性組の二人は毅然としている。残った男たちはただ、呆然としていた。


「驚かれるのは無理もありません。私の方から説明をさせて頂きます」


 望月宗男は落ち着いて話をした。


「三週間前に事件は起きました」


「私の娘、望月忍もちづきしのぶが何者かによって殺害されました」


「遺体を解剖した結果、死因は薬物による急性中毒でした。所謂、毒殺ですね」


「町内会で設置している防犯カメラが二台あります。これは分かりやすく説明すると入口、出口に設置してある定点カメラです。紙に直線を書いてみると更に分かりやすいでしょう」


「先ほどの入口、出口の間、中心地点にエアーバスの停留所があります。そこで下車したのがあなた達です」


「犯行後、入口、出口共にそこから移動したのはあなた達の映像のみです。他の方は防犯カメラには一切映っていませんでした」


「出口、入口の間には娘の住まいしか建物がありません」


「つまり、殺人を行ってから逃げる。これが出来たのはあなた達、六名だけなのです」


「これで、全員、容疑者という話を理解されたかと思います」


「質問はありますか」


「金は準備しているんだろうな」メガネをかけた黒いスーツの男が質問をした。


「勿論、準備しております」


「更に犯人を探し当てた方には、追加で五千万円をお支払いします」


「五千万円だと」メガネをかけた黒いスーツの男が驚いていた。


「マジかよ」若い男が唖然としている。


 知樹は平然としていた。別の質問があったからだ。


「毒殺って話ですけど、何の毒なんですか」知樹が質問をした。


「正確にはシアン化カリウム、青酸カリの事だ」


「なるほど」知樹はメモ帳に書いた。「この中に犯人がいる事は確定だろうな」と呟いた。


「何故、そう思うのかね」望月宗男が質問をした。


「だって入口と出口は俺たちの姿しか映ってないんだ」


「どう足掻いても犯人は俺たちの中に居る。俺を除くと五人だけどね」


「面白い子だな、君は」望月宗男は少し笑顔になった。


「さて、質問は何時でも受け付ける。何かあったら呼び出してくれ」


 望月はそう告げると大型モニターから姿を消した。


 一同は無言だった。それぞれが互いに疑心暗鬼になっていた。


「自己紹介しませんか」知樹が切り出した。


「じゃ、先ずは俺ね。ストリートギャング、バッズの木下知樹。十七歳だ。よろしくね」


「お前はギャングなのか」若い男が少し怯えていた。


「お前の名前は」知樹は若い男に質問をした。


「俺は上杉健うえすぎけん、二十一歳、フリーターだ」


 次に作業服を着た男が話しを始めた。


「私は高村徹たかむらとおる、二十六歳、会社員です」


「どうぞ、よろしく」知樹が話した。


「わ、私は高木義久たかぎよしひさ三十三歳、銀行員だ」メガネをかけた黒いスーツの男が自己紹介をした。「私は犯人ではない」額に汗を流していた。


「そっちの二人は」知樹は二人を睨んだ。


「私は山下愛理やましたあいり、被害者の友だちよ。歳は二十三歳」


「私は土田友子つちだともこ」、同じく被害者の友だち。歳は二十三歳」


「これで一応、自己紹介が終わったね」知樹はメモ帳に名前を書いていた。


「さっそくだけど、やったの誰」知樹は全員に聞いた。


「あんたじゃないの。ギャングなんだから」山下は知樹を睨んだ。


「俺は人を殺した事があるけど、この件は関係ないね」知樹は山下を睨んだ。


「そんなの分からないわよ」山下は知樹を挑発した。


「あんたの頭を吹き飛ばしてやろうか、気分が良さそうだ」知樹は笑った。


 山下は苦虫をかみ潰したような顔になった。


「お前はどうなんだ。上杉」知樹は上杉に質問をした。


「俺はやってない、やってないんだ」上杉は何故か慌てていた。


「あんた、忍のストーカーじゃない」土田が話した。


「あの日だって、忍を付けていたでしょう」土田が上杉を睨んでいた。


「どういう事」知樹は上杉に質問をした。


「俺はあの子が好きだったんだよ」


「だから、後を付けていたんだ。あの子に話しかける為に」


「でも、そういった関係から殺人を犯すケースもあるよね」知樹は言った。


「確かにそういう事件があるのは知っているけど、人を殺すなんて俺には無理だよ」上杉はそう言うと肩を落とした。


 知樹はメモ帳にストーカー上杉と記した。


「あなたはどうなんですか、高村さん」知樹が聞いた。


「あの日、私はデバイスでオンラインゲームをプレイしておりました。事件とは何も関係が無いですね。あの現場から家が近いので、あのバス亭で降りました」高村さんは淡々と話した。


「では、高木さん。あなたは」


「わ、私はやっていない、あの場所には商談で向かっただけだ」額の汗をハンカチで拭いている。


「なるほど」知樹は額の汗、高木とメモ帳に記した。


「で、あんたは」知樹は山下に尋ねた。


「言わないわよ」山下は答えなかった。代わりに土田が答えた。


「私たちは忍が具合が悪いって言うから家まで付いていったのよ」「それだけ」知樹は土田の話をメモ帳に記した。


「あ、言い忘れていた。俺はエアーバスで寝坊して、このバス停で降りた。エアーバイクを自宅から呼び寄せてそれで帰った。映像にもある筈だ」


「人殺しの言う事なんか信じないわよ」また、山下が知樹を煽ってきた。


 知樹は山下を無視した。


「望月さんを読んで貰えますか」知樹は家政婦に話した。


 望月さんが大型モニターに映った。


「なにかね」


「望月さん、死体を発見したのは誰ですか」知樹が尋ねた。

◆登場人物


木下知樹きのしたともき 十七歳、物語の主人公。


望月忍もちづきしのぶ 二十三歳、望月製菓の娘。被害者。


望月宗男もちづきむねお 五十歳、望月製菓の社長。被害者の父親。


山下愛理やましたあいり 二十三歳、被害者の友人。


土田友子つちだともこ 二十三歳、被害者の友人。


高木義久たかぎよしひさ 三十三歳、銀行員。


上杉健うえすぎけん 二十一歳、フリーター。


高村徹たかむらとおる 二十六歳、会社員。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ