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36.カワセミが飛ぶとき①【番外編】

「何だ、この手紙」知樹は郵便受けの手紙を見ると一人で呟いた。綺麗な装飾が施してある。差出人は望月宗男もちづきむねおと書いてあった。


 知樹は部屋に戻ると手紙を眺めた。何が入っているんだろう。子猫のように好奇心が沸いた。手紙を開けると中には招待状と書かれた紙が入っていた。


(推理パーティーのご案内。木下知樹様、いかがお過ごしでしょうか。私、望月宗男が主催する推理パーティーのご案内です。ご参加頂けるなら、報酬として三百万円をご用意しております。ご多用とは存じますが、心よりお待ち申し上げます)


 招待状の下に日付と住所が書いてあった。住所を地図で確認したら、夕張市の山奥に立っている建物だった。日付は明後日だ。


「これは一体」知樹は困惑していた。確かに推理小説は好きだが、素人に毛が生えた程度だ。しかも、三百万円の報酬がある。何か不気味だなと思った。


 みんなに相談をする為、事務所に向かった。


「笑うしかないだろう」岩本さんが笑っていた。


「知樹が名探偵とか無理だよ」火草は真剣な顔だった。


「いや、俺だって不思議に思っているんですから」知樹は顔が真っ赤だった。


「いや、なに、行ってくればいいじゃないか」 岩本さんが話した。


「でも、何かあったら、どうするんですか」


「知樹君の特殊能力ギフトでどうにでもなるだろう」


「それはそうですけど」


「え、もしかして怖いの知樹君」岩本さんが驚いた顔をした。


「何か怖いですよ」


「何かあったら連絡しなよ。一応、準備はしておくから」火草が言った。


「それなら、近くの温泉宿に泊まるのはどう。費用は出すから」


「なら、そうする」


「それなら、一安心だ」「じゃ、そういう事で」知樹は事務所を後にした。


 知樹は準備を始めた。「名探偵か」満更でもない表情をするとメモ帳だのメジャースケールだのをバッグに詰め込んだ。鏡を見ながら「最後に残ったものが如何に奇妙な事であっても、それが真実となる」知樹は鼻を撫でた。シャーロックホームズの名台詞だ。


 部屋に健司が入ってきた。話を聞いたそうだ。


「俺も行くよ。温泉宿に泊まりたいし、一応、心配だから」


「じゃ、二人とも温泉宿で待機ね。何かあれば連絡する」


「知樹が名探偵か、意外と似合うのかもな」健司は腕を組みながら頷いていた。


「でも、まぁ、推理パーティーだから、何か面白い仕掛けとかあったりして」知樹は嬉しそうな顔で話した。


「何にせよ、行ってみないと分からないけどね」知樹は準備を終えた。


 二日後、知樹はバッグをエアーバイクの後ろに乗せるとエアーバイクのエンジンを掛けた。


「じゃ、二人とも、よろしく」知樹はそう言いながらアクセルを全開にした。


 二人は「のんびり行こうか」「そうだね」と知樹を見送った。


 夕張市の山奥は自然に溢れていた。鳥の鳴き声が聞こえる。綺麗な河川が下に広がっていた。知樹は景色を眺めながら速度を落とした。「風が気持ちいいな」と呟くと、またアクセルを回した。市内から一時間程で目的地の建物に到着した。


「結構、大きい屋敷だな」


 屋敷の脇にある駐車場にエアーバイクをとめた。バッグを背中に背負うと、玄関に向かった。十人くらいの家政婦が出迎えてくれた。


「大変、失礼しますが、招待状はお持ちでしょうか」


 背中のバッグから招待状を取り出した。


「木下知樹様ですね。お待ちしておりました」


「中に、どうぞ」


 屋敷の中は豪勢な作りだった。赤い絨毯に、様々な装飾品。照明の光。知樹は奥の部屋に案内された。


「ここでお待ち下さい」そう言いながら家政婦は扉を閉めた。


 円を描くように大きいソファーが並んでいた。知樹はそのうちの一つに座った。


「この部屋も豪勢だな」知樹は辺りを見渡していた。


 一人の家政婦がお茶を運んできた。


「ありがとうございます」知樹はそう言いながらお茶を飲んだ。


 それから一時間、知樹は部屋の中で待ち惚けを食らっていた。


 部屋に若い二人組の女性が入ってきた。少し慣れた感じでソファーに座ると、こちらを睨んでいた。「何だ、こいつら」知樹は嫌な気分になった。


 また一人、部屋に入ってきた。眼鏡をかけて黒いスーツを着ていた。


「全く、何なんだ。このパーティーは」そう言いながら男もソファーに座った。


「お邪魔しまーす」若い男も部屋に入ってきた。ずけずけと知樹の隣に座った。


「何だろうね、この集まりは」男は軽い感じで知樹に話しかけた。


「さぁ、何なんでしょうね」知樹は一人でこの状況を考察していた。


「お邪魔します」もう一人、作業服を来た男が部屋に入ってきた。男は空いているソファーに腰をかけた。


 家政婦たちがお茶のポットと様々なお菓子をテーブルに運んできた。


「どうぞ、お召し上がりください」そう言うと部屋を出て行った。


 女性二人がお茶とお菓子を選んでいた。知樹もお茶のお代わりとお菓子を取りにテーブルに向かった。豪華なテーブルにはクッキー、スコーン、ショートケーキが並んでいた。ショートケーキをお皿に取ると知樹はソファーに戻った。ショートケーキを食べながら部屋を改めて見ていた。


 丸く円を描くように並ぶ大きいソファー、隣にある豪華なテーブル、天井にある煌びやかなシャンデリア。どれも一流品だった。持ち主は相当、金持ちだろうなと知樹は思った。


 突然、部屋の電球が暗くなった。壁に掛けてある大型モニターに誰かの姿が映っていた。


「皆さま、よく集まって頂きました。私は望月宗男」


「この推理パーティーの主催者です」


「皆さまには是非とも解いて頂きたい未解決事件があります」


「先に説明をすると」


「皆さまは全員、容疑者になります」望月宗男は真剣な表情だった。

◆登場人物


木下知樹きのしたともき 十七歳、物語の主人公。


上野火草うえのひぐさ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


松田健司まつだけんじ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


岩本信いわもとしん 二十二歳、ストリートギャング(バッズ)の幹部。


望月宗男もちづきむねお 五十歳、望月製菓の社長。被害者の父親。

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