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22.先生②

 健司はミサイルマンに連絡を取った。


「入金は確認した。では、始めよう。一時間だ」とミサイルマンが言った。


 ミサイルマンはお金の動きを探っていた。鈴木武夫すずきたけおは昨日、お金を札幌駅付近のコンビニで下ろしている。鈴木は現在、札幌にいるだろう。過去のお金の動きを見てみると、三年前に南米のダミー会社を経由して医療メーカーのメトロニック社【アメリカ】から三億円が振り込まれていた。


 次は、どうしてロシア政府の超特別警戒人物に指定されているのかを調べた。情報を調べたら電子ウイルス(赤い雨)の保持者だった。電子ウイルスはサイバーワールド(電脳世界)で感染する。


 ミサイルマンはどうしてこの男が生きているのか疑問に思った。赤い雨は感染すると、とてつもない快楽を得られるが、その代償は命だ。こいつが発生源か。とミサイルマンは思った。裏でメトロニック社【アメリカ】が動いている筈だ。そう思いながらメトロニック社【アメリカ】のサーバーをハッキングした。


 研究コード。赤い雨、研究対象、鈴木武夫すずきたけおと呼ばれる極秘ファイルを開いた。中には鈴木の細やかな情報が記載されていた。快楽と死は同列である。赤い雨の感染能力。これを兵器に転換すれば会社に莫大な富を貰らすだろう。電子ウイルス(赤い雨)が反応しない。何度も試したが無理だった。あれから三年、実験は失敗した。鈴木武夫すずきたけおが三ヶ月前に施設から姿を消した。彼を始末する為に殺し屋【ノーペイン・ノーゲイン】を雇った。これで、この研究は終わりだ。


 ミサイルマンは調べた内容を簡潔に説明してくれた。


「先ずは鈴木は札幌にいる。駅前付近だろう。超特別警戒人物に指定されているのは電子ウイルス(赤い雨)を保持しているからだ。そして、メトロニック社が鈴木を殺すために殺し屋を雇っている。ノーペイン・ノーゲイン。アメリカで活動している超一流の殺し屋だ」


「お前たち、この件から手を引いた方が無難だぞ」とミサイルマンが言った。


「俺なら手を引くね。さて、もう一時間だ。話は終わりだ」と通話を切った。


「さて、どうする」と健司が言った。


「里奈はどうしたい」と知樹が質問をした。


「先生を探さないと、殺し屋が先生を狙ってる」里奈が真剣な表情になった。


「バッズは何者にも屈しないからな」健司は気合を入れていた。


 三人はアパートに戻った。色々と準備をした。健司が「腹減ったな」と言うと、里奈は残ったカレーライスを健司に渡した。「美味いな」と健司が頷いていた。


 外はもう夜だった。太陽は出ていないが、まだ町の熱気で暑かった。人ごみの中を三人はゆっくりと進んだ。流れゆく人々の顔を里奈が見ている。里奈から貰った先生の写真を見ながら知樹は先生を探していた。


「見つからないな」


「どうするよ、もう夜の二十三時だぜ」


「明日、朝から先生を探そう」と知樹が提案した。里奈も大人しくそれに従った。


 里奈と分かれてアパートに帰った。


 翌日、十時くらいに里奈がやって来た。手には大きなお弁当を持っていた。健司は朝から知樹の部屋でごろごろしていた。


「これ、朝ご飯です。みんなで食べましょう」


 みんなでご飯を食べた。里奈の作ってくれたお弁当は美味かった。弁当を食べ終えると駅に向かった。


「しかし、暑いな。先生はどこにいるんだろう」


「この暑さだ、どこか喫茶店とかにいるんじゃないか」


「それじゃ、店の中を重点的に見ていこう」


 三人は店の窓から店内を覗いて歩いた。里奈が「ちょっと待って」と言った。


「あれ、そうなんじゃないかと思うの」喫茶店の奥に眼鏡を掛けた男性が座っていた。帽子を被ってマスクをしている。特徴的な丸眼鏡が印象的だった。「あの眼鏡、先生だ」里奈は嬉しそうに微笑んだ。


 三人で喫茶店に入った。奥のテーブルに向かうと里奈が「先生」と声を掛けた。


「誰だ」


「私です、今井里奈です」


 男は何かを考えていた。


「もしかして、今井か。大きくなったな」


「あの時は本当にありがとうございました」里奈がお辞儀をした。


「後ろの方たちは」


「先生を探すために一緒に来てくれた人たちです」と知樹たちを紹介した。


「懐かしいな、元気にしていたか」


「はい」


「そうか、それは良かった」


「先生、突然ですが先生が狙われています」里奈は先生に説明をした。


「何を言っているんだ」先生が丸眼鏡をクロスで拭いていた。


 知樹は「赤い雨、聞き覚えがあるんじゃないですか」と言うと先生は態度を変えた。


「誰にその話を聞いた」


「ここに来る前に調べたんですよ」


「あれは絶対に表には出てこない話だ」


「知り合いのハッカーに頼みました」知樹は先生を鋭く見つめた。


「何が狙いだ。私の命か。しかも、二人組か」


「いえ、先生を守りに来ました」


「何を言っているんだ。さぁ、二人とも、掛かって来なさい」


 知樹は少し困っていた。先生は何か勘違いをしているんじゃないかと思った。里奈が先生に話しかけた。


「先生は超一流の殺し屋に狙われているんですよ」


「この人たちじゃありません。先生」


 先生は肩を落とした。「そうなのか」と言うと話を聞かせてくれと言った。


「超一流の殺し屋、ノーペイン・ノーゲインが先生の命を狙っています 」と知樹は伝えた。


 先生は微かに震えていた。


 里奈は大丈夫ですよ、この二人が先生を守りますからと先生を宥めた。

◆登場人物


木下知樹きのしたともき 十七歳、物語の主人公。


松田健司まつだけんじ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


今井里奈いまいりな 十七歳、女子高生。


鈴木武夫すずきたけお 三十三歳、元教員。


◆ミサイルマン 年齢不明、ストリートギャング【アンダーワールド】のメンバー。


◆ノーペイン・ノーゲイン 年齢不明、アメリカでは超一流の殺し屋。名前の意味は「痛みなくして得るものなし」


◇設定資料


◇サイバーワールド(電脳世界)ネットワーク上で構築された仮想世界。非営利団体、サンセットシステム【アメリカ】が開発した。


◇サイバーグラス、電脳世界と人を繋げる装置。形状はブイアールゴーグル。


◇メトロニック社【アメリカ】アメリカ国内最大手の医療メーカー。医療ポッドの肉体再生が主流の老舗メーカー。

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