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21.先生①

 知樹はご飯を作るためにスーパーストアに来ていた。「今日は何にしようかな」と食品コーナーを眺めていた。今日はカレーにしよう。と食材を購入した。しかし、何者かが知樹を見ている。知樹は気のせいかなと思ったがそうではなかった。スーパーストアから出ると突然、目の前に女子高生が現れた。


「すいません、道をどけて貰えますか」と知樹が言う。


「嫌です」と女子高生が話した。


「何を言っているんですか」知樹は困惑していた。


「あなた、バッズのメンバーですよね」


「そうだけど」


「お願いがあるんです。聞いてくれませんか」


「今からカレーを作るんで無理ですよ」


「では、カレーは私が作ります。こう見えて料理研究部ですから」


 知樹は結構です。とアパートに向かった。だが、先ほどの女子高生が追いかけてくる。アパートにたどり着くと知樹は急いで部屋に入った。「ピンポーン」と部屋の呼び鈴が鳴った。


「お願いを聞いてくれるまで呼び鈴を鳴らしますから」と女子高生が呼び鈴を何回も押した。知樹は我慢が出来なかった。


「帰れよ」


「お願いを聞いてください」女子高生が泣き始めた。(嘘)


「一体、何なんだよ」


「お邪魔します」


 女子高生は無理矢理、知樹の部屋に入ってきた。スーパーストアの袋から材料を取り出すと、何故かカレーを作り始めた。知樹は呆然としながらそれを見ていた。


「出来ましたよ」と言いながらカレーライスを運んできた。知樹はそれを渋々と受け取った。


「頂きます」と女子高生がカレーライスを食べ始めた。知樹はお前も食うのかよ。と心の中でツッコミを入れた。


 知樹もカレーライスを食べた。女子高生の作ったカレーライスは結構、美味しかった。カレーライスを二人とも食べ終えると知樹は聞いた。


「願い事って何だよ」


 女子高生は先ず、自分の名前を告げた。今井里奈いまいりなという名前だった。


「実は人を探して欲しいんです」


 中学時代に里奈は男子生徒から虐めを受けていた。大人しい里奈に対して虐めは段々と酷い物になった。ある日、複数の男子生徒から殴る蹴るの虐めを受けていた時、担任の先生、鈴木武夫すずきたけおが里奈を守ってくれたそうだ。先生はその事件以降、学校には来なかった。虐めが表ざたになると里奈は学校を転校したという。それから三年後、探偵に頼んで先生の行方を探したが分からなかったそうだ。「裏の事情が分からないと無理だ」と探偵が教えてくれた。


 裏の事情に詳しいと言えばギャングがそうなんじゃないかと事務所を張っていた。そこに知樹が現れたと里奈は言った。


「これを受け取って下さい」と里奈は知樹に封筒を渡した。中には三十万円が入っていた。


「一年半、毎日、弁当屋でアルバイトをして貯めたお金です」


「そんな大事なお金は貰えないよ」と知樹は封筒を返そうとした。


「いいんです、先生を探して欲しいんです」と里奈は真剣な顔になった。


「困ったな」と知樹は言った。とりあえず岩本さんに連絡をした。


「本当はバッズを通して貰いたいけど、最低でも三百万円は掛かるからね」


「知樹君がやるなら、俺は特に何も言わないよ。簡単な小遣い稼ぎだ」と通話を終えた。


「分かった、やるよ。先生を探すか」と知樹が言った。


「ありがとう」と里奈が笑顔になった。


 裏の事情に詳しいと言えば健司だった。健司にも連絡をした。「今、パチンコ屋に居るよ」「駅前のモナミって店」「店に来るの」「じゃ、スロットコーナーに居るから来いよ」里奈と二人で駅前に向かった。


「今日は三十万円勝ったぜ」健司はとても機嫌が良かった。健司に話を聞かせると。


「成程ね、大事な先生を探しているのか」


「探偵でも無理ね、なら情報屋だな」


 健司はスマートデバイスを起動させると連絡を取った。


「健司か、何の要件だ」


「本田さん、人を探しているんだけど」


「なら、情報を送れ、三分待て」


「頼んだよ」と健司が通話を切った。そのついでに火草にも連絡を入れた。「火草、暇してるか」「お前みたいに暇じゃないぞ」「人を探しているんだ」「そんなの面倒だ」と火草は通話を切った。「火草はオーダーじゃないと駄目か」と健司が肩を落とした。


 本田さんから連絡がきた。


「健司、お前、大丈夫なのか、相当やばい話だぞ」


「本田さん、どういう事」


「こいつはどういう訳か、ロシア政府の超特別警戒人物リストにいる人間だ」


「相当、危険な奴って話だ。行方どころの騒ぎじゃねーぞ」


 本田さんは少し時間を置いてから答えた。


「俺の知り合いにアンダーワールドのハッカーがいるから、そいつに頼め。俺には無理だ」


「通称、ミサイルマン。凄腕のハッカーだ」健司は本田さんに礼を言って通話を切った。


 健司がミサイルマンに連絡を取った。


「本田さんに紹介されたんだけど、ミサイルマンさん。で良いのかな」


「何の要件だ。支払いは電脳マネーのみだ。それとさんは要らない」


「コンビニ振り込みでも良いですか」


「問題は無い」


「人を探しているんです。値段はどのくらいになりますか」


「一時間、三十万円だ」


「分かりました、とりあえず、電脳マネーで振り込みますね」健司は振込先を聞いてから通話を切った。


「これを全部、使おう」と知樹が封筒を健司に渡した。


「お前のギャラが無くなるぜ」


「いいよ、カレーライスが美味しかったから」


「知樹さん、本当にありがとうございます」と里奈がお礼を言った。


 里奈の探している大事な先生は国家に指定された超危険人物だった。

◆登場人物


木下知樹きのしたともき 十七歳、物語の主人公。


松田健司まつだけんじ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


上野火草うえのひぐさ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


岩本信いわもとしん 二十二歳、ストリートギャング(バッズ)の幹部。


今井里奈いまいりな 十七歳、女子高生。


鈴木武夫すずきたけお 三十三歳、元教員。


本田優斗ほんだゆうと 三十歳、情報屋。


◆ミサイルマン 年齢不明、ストリートギャング【アンダーワールド】のメンバー。


◇設定資料


◇ストリートギャング【アンダーワールド】は構成員人数が二百人、主にネットワークで活動している。ハッカー集団。

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