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20.健司とブラジャー

 後日、朝、知樹の部屋に誰かが尋ねてきた。「入るぞ」と言うと部屋の中に入ってきた。


「誰ですか」と知樹は寝ぼけ眼で話をした。寝ていたからだ。


「誰って、健司だよ。寝ぼけているのか」


「いや、健司では無いですよ」


「はぁ、何を言ってるんだよ」


 知樹はもう一度、健司と名乗る女性を見ていた。


「健司は女の子では無いですよ」


「だから、健司だって。女の子って何だよ」


 その時、健司と名乗る女の子が胸元を見て悲鳴を上げた。「何がどうなっているんだよ」と女の子が言う。


「健司は男ですからね」


「ちょっと待て、頭が混乱している」と女の子が言った。


 知樹は女の子の顔を見ていた。右目の瞳の中に十字の痣があった。


「もしかしたら、特殊能力ギフト何じゃないか」


「でも、健司なら、どうして特殊能力ギフトが発動しているんだろう」


「分からない、俺はインフィニティを飲んでも駄目だったからな」


「この前、女の子の目を自分の目に移植したよね。それの影響とか」


 健司は鏡を見た。あの、綺麗な女の子が鏡の前に立っていた。頭が混乱した。確かに彼女だった。


「話をしていて分かったよ。お前は健司だ」と知樹が言った。


「な、そうだろ」と健司は安堵した。


 問題は特殊能力ギフトだった。女の子に変わる能力なら男に戻る能力もある筈だ。


「どうやったら、女の子に変わるんだろう。それが男に戻るきっかけになるかも知れないよ」二人は昼間になったら事務所に行く事にした。岩本さんに相談をする為に。


「この前の件、ニュースになっているよ」


 新興宗教団体、光の仲間は臓器密売の容疑で軍警察が介入した、強制解散の流れになるだろう。とニュースは報じている。一方、ニュースには出ていないが一般市民をターゲットにした夜桜には、重いペナルティーが課されるだろうと岩本さんが言った。


「どんなペナルティなんですか」と知樹が岩本さんに尋ねた。


「まぁ、ロシア政府に十億円くらいは徴収されるだろうね、リーダーのタイランは厳しい奴だからな。この件に関わった身内の何人かは処刑されるだろう」


「俺たちが夜桜をやった件はどうなるんですか」と健司が言った。


「多分、チンウェイは小遣い稼ぎでやっていたんだろう。夜桜は食品の卸業で儲かっているからね。臓器密売なんてやらなくても良いんだ。しかも、誰が夜桜をやったか分からない状況だ。こっちはしらばっくれるだけで良い」


 そう言いながら岩本さんはアイスコーヒーを口に運んだ。


「しかし、移植で特殊能力ギフトね。初めて聞いたよ。そんなの」岩本さんは笑いながら話をした。


「ブラくらいは付けた方がいいよ。健司」と火草が言った。


「嫌だよ、そんなの」健司は不貞腐ふてくされていた。


「何でこんな能力なんだよ。もっとあるだろう。なぁ」


「まぁ、特殊能力ギフトなんだから給料が上がるね」知樹が嬉しそうに言った。「それはそうだけど」「もっとかっこいい能力が欲しかった」と健司は落ち込んだ。


 岩本さんが「健司、特殊能力ギフトはそれぞれ使い方次第で強くなるんだよ」「女になって潜入するとかな、考えれば色々と戦略はあるよ」「何より、亡くなった女の子がお前の中で生きているのが一番大事なんじゃないか」


 そう岩本さんが告げると健司は「そうですね、それが一番大事ですね」と言いながらアイスコーヒーを飲んだ。それが鍵だった。健司は男の姿に戻った。


「健司は水分を補給すると変身するんだ」と知樹が言った。


「そういや、朝、水道水を一口飲んだな」健司がうなずいた。


「使い勝手は良いんじゃないか、ペットボトルに水を入れて持ち運ぶとか、それで何時でも変身が出来るよ」


「成程、意外と使えるかも知れないな」健司は色々と考えていた。


「名前は(チェンジ)にしよう」


「そういえば知樹の特殊能力ギフトは名前が決まっているのか」


「俺のは(コンセントレーション)って名前だよ。アナウンスのお姉さんがそう言ってる」


「アナウンスのお姉さんって何だよ」


「俺だけに聞こえる秒数のカウントの声だよ。誰にも言って無かったけど」


「ほぅ、知樹君にもアナウンスが聞こえるのか、俺もそうだ」と岩本さんが話した。俺の能力は秘密だが知樹君と同じでアナウンスがある。と教えてくれた。


 火草はスポーツタイプのブラジャーを健司に渡した。健司は「いらねぇよ」と言ったが、火草が「お前は変態かよ」と言った。


「それを付けて男に戻ったら、もっと変態じゃねーかよ」と健司がまくし立てる。


「お前は元々、超ど変態だろうがよ。どうせ、女湯に入れるとかくだらねぇ妄想してんだろ」


「なんで、分かったの」健司が戸惑っていた。


「お前の目を見れば分かる」火草がしたり顔で健司を見ていた。


「やめろよ、こっちを見るなよ」と健司が顔を隠した。


「お前な、あの子を変態にするつもりか、いいからそれをちゃんと身に付けろよ」と火草は言った。


「もう、無茶苦茶だ。分かったよ」健司はもう一度、水分を補給して隣の部屋でブラジャーを身に着けた。


「下着も女物を履けよ」と火草が意地悪そうに言う。


「それは絶対に嫌だ」と健司は事務所を猛スピードで出て行った。知樹は笑いながらそれを見ていた。


みんなと少し話をしてから「では、俺も失礼します」と知樹は事務所からアパートに向かった。その知樹を事務所から尾行する影があった。

◆登場人物


木下知樹きのしたともき 十七歳、物語の主人公。


松田健司まつだけんじ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


上野火草うえのひぐさ 十八歳、ストリートギャング(バッズ)のメンバー。


岩本信いわもとしん 二十二歳、ストリートギャング(バッズ)の幹部。


◆チンウェイ 二十五歳、ストリートギャング【夜桜】のメンバー。


◆タイラン 三十三歳、ストリートギャング【夜桜】のリーダー。


◇設定資料


◇北海(現ロシア領行政特区)には主に五つのギャング集団が存在する。ストリートギャング【バッズ】は構成員人数が三千人、主にニュージャパン(旧日本)系のギャング集団と言われる。


◇北海(現ロシア領行政特区)には主に五つのギャング集団が存在する。ストリートギャング【夜桜】は構成員人数が四千人、主に中華系のギャング集団と言われる。

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