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ソックモンキーのモンタロウ

モンタロウの誕生日

作者: 藤本夏実

なつみちゃんがもうすぐ五歳の誕生日を迎えるという頃です。


お外へ出るのは嫌だぁ。知らない人がいっぱいだもん。


又、なつみちゃんが泣いています。お母さんは、困ってしまいました。お母さんは、なつみちゃんが生まれてからずっと産休をとっていましたがなつみちゃんが五歳になるのでもう一度、仕事をしたいと思っていたのでした。でも、なつみちゃんは、内気で人見知りが激しく、外へ散歩さえも嫌がる始末でした。


これでは、一人で保育園には行けないわ。困ったわね。


そこで、なつみちゃんのお母さんはどうしたらいいかをお母さんのお母さんつまり、なつみちゃんのお祖母さんに聞きました。すると、なつみちゃんのお祖母さんは、言いました。


ソックモンキーを作ってあげればいいですよ。


お祖母さんの話ですと、ソックモンキー(靴下から手作りしたサル)をなつみちゃんにあげ、どこへいくにも持たせるようにすれば、きっと人見知りも治るだろうという話でした。お母さんはかかとの赤い靴下を使い、ソックモンキーを作りました。そして、なつみちゃんの誕生日になつみちゃんに渡すと


今日から、このモンタロウがいつもなつみの傍にいてくれますよ。だから、なつみは泣いてはいけません。泣くとモンタロウも悲しくなってどこか違う子のところへ行ってしまうかもしれませんよ。


と言いました。

するとなつみちゃんは、思いました。


もう、ぜったい泣かないわ。だって、こんなにかわいいモンタロウがどこか知らない子のところへ行ってしまうなんてそんなの我慢できないもん。


そういうわけで、モンタロウはなつみちゃんの誕生日になつみちゃんのために作られたソックモンキーになりました。モンタロウがなつみちゃんの友達になってからは本当になつみちゃんは、泣かなくなりました。ただ、なつみちゃんは、モンタロウをどこへ行くにも持ったままだったのでお母さんは、少し困りました。


保育園、大丈夫かしら?


お母さんは思いました。


保育園に持っていく持ち物は、決まっているから、モンタロウを持って行ったら怒られるんじゃないかしら。


でも、そんな不安もふっとばすような出来事が起きました。


保育園の入園式ことです。


なつみちゃんは、いつものようにモンタロウを抱え、お母さんと園の式場に来ていました。すると、保育園の先生らしき女の人が近づいて来て言いました。


どうして、保育園に自分のオモチャを持ってきたの?


なつみちゃんは言いました。


モンタロウは、オモチャじゃないわ。友達よ。

わたしには保育園に来なくても友達はいるわ。だから、保育園は来なくてもいんだけど、お母さんがお仕事しなくちゃならないから。


お母さんは先生に人見知りだった頃なつみちゃんの話をしました。すると、先生はなつみちゃんのお母さんに耳うちをしました。それは、お母さんの心配を打ち消すような名案でした。


先生はお母さんになんて言ったのでしょう。それは、なつみちゃんの登園日までにモンタロウの胸に白の布に名前を縫い付けた名札を付けてくださいというものでした。そして、モンタロウと一緒に登園してきたなつみちゃんにこう言いました。


おはよう。なつみちゃん、モンタロウ。

なつみちゃん、保育園にはクラス分けがあってモンタロウは、小さい子組なのよ。なつみちゃんは、年中さんだから、少し大きい子組に入らなければならないの。だから、ここからは、先生がモンタロウを預かるわ。でも、お弁当の時間は、一緒だから。


なつみちゃんは、少し泣きたくなりましたが、もし、こんなところで泣いたら、モンタロウは、小さい子組に行ったきりで、絶対、帰って来れなくなると思い我慢しました。そうして、なつみちゃんとモンタロウの園生活が始まりました。



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