あいつの転機
[4.あいつの転機]
今日もいつものように学校へ行き、自分のクラスへ向かい、自分の席につき
教科書やノートを机に入れる。まぁ、ほんとにいつもどうりだな。
そういえば、昨日は何の理由で休校日になったんだろう。
勇に訊いてみるか。
「なぁ、勇。昨日はなんの日だっけ。」
勇「え?躁くんの誕生日だったっけ?」
「違う。昨日学校が休みだっただろ?なんの理由で休みになったか忘れたんだ。」
勇「昨日は1月14だから、いいよの日。だから休校にしてもいいよみたいな?よくわかんないけど。」
「それはさすがにないだろ。」
勇・俺「ハハハ」
あ~なんて平和なんだ!こんな日々が続けばいいなぁ、なんて思うけど、夢の中でアリスが言ったように
俺が必要な問題が出てくるらしい。つまり必然的に俺がなんかしないといけない。つまり
とてもめんどくさくて平和じゃない日がいつか来るということだ。
佳子「おい、異常事態だ。」
ほらな・・・。
俺はまたこいつに連れられてあっちの世界へ行った。
「今度はなんだ。」
佳子「アリ、アリ・・・アリなんとかみたいな名前の奴が現れた。」
「アリスな。」
達「おっと、遅れました。申し訳ございません。」
佳子「遅い。まぁ、まだあいつが現れてないから別にいいけど。」
達「おお、躁くんもいましたか。今日は、やっと私の能力を見せることが出来そうです。」
「そうか、お前の能力が気になってたところだ。それにしても、この待ち時間何すればいいんだ。」
達「まぁまぁ、お話でもして待ちましょうか。この世界について訊きたいことはありますか?」
佳子「私より達の方が詳しい。」
「そうか、じゃあ質問だが、この世界の知り合いは何人ぐらいいるんだ?そいつらの能力も知りたい。」
達「6人ほどいますよ。洗脳の能力、温度を操る能力、そしてここからは超能力者ではなく
ん~、エンジニアとでもいいましょうか。現実の運営をしてくれてる人達です。」
「現実の運営?」
達「実はこの世界にはおかしなところがあって、それはさすがにお教えできないのですが
そのおかしなところを直す役割などをしている人たちです。」
「俺の知らないところでいろんな人が世界を支えてるんだな。」
達「私たちも超能力者と戦って、暴れてる奴らを止めていきましょう!」
達は気力に満ちている顔をしている。
というか、暴れてる奴なんかいるんだな。
「そうだな。」
・・・。
「それにしても来ないな。」
佳子「どっかで悪いことをしてるに違いない。多分。」
達「探しに行きましょうか。」
「わかった。」
佳子「つーか、お前の能力でここに出現させろよ。」
「未来に悪い影響が出るかもしれないんだぞ。」
達「躁くんの言う通りです。」
佳子「・・・わかったよ。」
もしかしたら時間のずれかなんかが起きて、ほんとは最後ギリギリでラスボスを倒せる未来が
ラスボス戦であと1ターンで倒せるのに即死級の必殺技を受けてゲームオーバー!
みたいなことが起きるかもしれないしな。
しばらく歩いたがなかなか見つからず困り果てていると、アリスが現れた。
佳子「やっと現れたな。さて、何しようとしてたんだ?」
アリス「あんたらを探してたんだ!でも全然見つからなかったんだよ。」
達「私達を探す・・・?」
アリス「そこの事実改変の能力持ちのお前!私が取り残されたあの時、あの壁みたいなやつを消したのは
お前だな?」
「え?俺じゃないけど・・・。」
アリス「いやお前だ!お前が去った後、またお前が現われて私を助けた。その後私は
あの時、あの時・・・!」
俺・佳子・達「あの時・・・?」
アリス「私のファーストキスを奪ったなぁ!!」
達「あぁ、おそらく未来の躁くんですね。それにしても、いきなりキスなんて・・・。」
佳子「お前・・・。」
「ま、マジかよ・・・。」
アリス「この責任どう取ってくれんだよ。」
「俺じゃねぇよ!未来の俺に言え!」
アリス「それと、私を拘束して置いてったお前!仕返しだ!」
そう言うと、アリスが佳子を羽交い絞めして拘束した。
佳子「まぁ、あの時あんたが死んでたかもしれないし、別にいい。」
アリス「そう、意外と人の事を考えられるのね。」
佳子「バカにすんな。」
達「さてと、いろいろあなたに訊きたいことがあるのです。」
アリス「なんだ?」
達「まず、あなたがなんの組織に入っているのか、教えていただけますでしょうか。」
アリス「組織なんて入ってないけど。」
佳子「じゃあその服は何?」
アリス「これは私のファッションだが。バカにしてる?」
達「い、いえいえ!そんなつもりはありませんよ。それと、あなたの能力はなんでしょう。」
アリス「あんたから教えろ。」
達「私ですか?私は、記憶にあるものを作る能力です。偽物を出現させる、というのが
正しい言い方ですかね。」
アリス「私はセーブ&ロード。記録をする能力と、記録を読み込む能力だ。」
達「なるほど~。それじゃあ、子供の頃に記録すれば、いろんな人生のルートを経験できますね。
ケーキ屋さんを目指してみたり、警察官を目指してみたり。」
アリス「たまにそれはやる。あらかじめ極めたものとかを小学生の頃とかのデータで披露すると
気持ちいいのよね。ちなみに能力を持ったのは小学5年生。」
達「小学5年生?ということは今の年齢は・・・。」
アリス「14才。」
佳子「は!?それであんな生意気な態度取ってやがったのか!?てめぇぶっ殺す!!」
「ま、まぁ落ち着け。」
佳子「つーことはお前、中2の女子のファーストキス奪ったってことかよ!気持ち悪ぃ!!」
「俺じゃねぇよ!未来の俺だよ!」
達「まぁまぁ落ち着きましょう。アリスさんも怖がって震えてますよ。」
アリス「そそそんなに怒ることないじゃんか。怖いよ・・・。」
達「しかし、躁くんは年上の佳子さんに対してため口ですよね。それは許せるのですか?」
佳子「それは、あの・・・。」
達「周りには公平に接するのが一番です。」
佳子「わかったよ。」
達「それでは、質問の続きをします。この世界でなんの悪だくみを考えていたんです?」
アリス「悪だくみではありませんが、いろんな能力者が襲い掛かってきたので倒していました。
もしかしたらあなたたちのお仲間にも攻撃してしまったかもしれません。」
達「なるほど~。正当防衛は許されます。それにしても、どうやって倒したんです?」
アリス「襲われる前にセーブして、襲ってくる順番とか攻撃方法とかを少し覚えて、ロードして
また覚えて、ロードして、を繰り返して、完全に全員の攻撃パターンを覚えてから適した攻撃をして
戦います。」
達「頭のいい戦い方ですね!素晴らしい。」
アリス「他に質問はありますでしょうか?」
達「私からはありません。お二人からは何か質問はありますか?」
「特にないな。」
佳子「ない。」
アリス「それでは私はこれで・・・。」
「あぁ、言い忘れた。」
アリス「?」
「俺達の仲間になってくれ。」
アリス「別にいいですが、メリットはありますか?」
「メリットか・・・敬語を使わなくてもいい!」
アリス「わかった。なってあげる。」
アリス が仲間に なった! +0 EXP
4人で歩いていると、街?へついた。人がいる気配がなく、ネズミや虫しかいないようだ。
「ここは・・・。」
佳子「かつて栄えていた街。ここの喫茶店、好きだったのにな。」
アリス「悲しいな。」
達「突然、好きだったものや周りの全てが、消えてしまうかもしれない。ちょっとしたことで・・・。
それをあちらの世界で起こさせないために、私たちは頑張らねばならないのです。」
アリス「あちらの世界?」
佳子「今日つれてってやるよ。」
などと話をしながら歩き、自衛隊の基地のような場所へついた。
「大きな建物だな。ここはなんの建物だ?」
佳子「私たちの活動拠点。仲間がこの中に住んでる。食料も娯楽もあるし、電気もギリギリ通ってる。」
「前から気になってたんだが、普通の街や住宅街はこの世界にはないのか?」
佳子「あるけど、日本じゃない。だから行けない。たまに他の国から食料とかがヘリから
落とされる。たまに攻撃されてヘリごと落とされたりしてるけど。」
「少し思ったんだが、なぜこいつらはこの世界で生活してるんだ?俺らの世界で過ごせばいいだろ。
超能力者に襲われることもないだろうに。」
佳子「あの世界に行ける方法を知ってるのは、私と達とお前と私の兄だけだ。」
「なら、どうして教えないんだ?」
佳子「バカだな。超能力者があっちの世界に行って、暴れたりしたらどうなる?またこの世界みたいに
なる。」
「お前らの仲間じゃないのか?」
佳子「・・・クラスメイト全員を信用できる?」
「はぁ・・・。」
ほんとのところ、俺はお前らを信用してるわけじゃないんだがな。
達「さて、要件は済みましたし、それではそろそろもとの世界に戻りましょうか。」
佳子「そうね。」
そしてアリスを連れて、元の世界へ戻った。
今は・・・5時44分か。
アリス「ここがあんたらが住んでる世界か、平和そうでいいな~。」
「超能力者もいないし、俺らは普通の学園生活を送ってるのさ。3日前に俺の学園生活は
普通じゃなくなったけどな。それじゃあ俺は帰る。」
アリス「待って。・・・まだ一緒にいて。」
「・・・?まぁ、別にいいけど。」
達「それじゃあ、みんなでこの世界を探検しましょう!」
「街とかで飲食店に寄って、うまいもんでも食おうぜ!」
佳子「私たちの学校も案内してやるよ。」
アリス「わかった。あ、ありがとう・・・。」
アリスの目がうるうるしている。優しくされたことがあまりないんだろう。かわいい奴。
「俺らはお前の仲間だ。責める奴なんかいないぞ。」
佳子「今日は達と躁のおごりだからな。欲しいものがあったらこいつらに言うといいぞ。」
「おい!聞いてねーぞ!」
達「まぁまぁ。」
あぁ、なんて平和なんだ!こんな日々が続けばいいなぁ。って、今日の朝にもこんなことを思ったな。
まぁ楽しけりゃ何でもいいや!
佳子「ちなみに、今日から3日間合宿な。」
こうして、俺の土日が奪われたのだった。って、何の目的の合宿だよ。