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ぷろろーぐ

うん、ネタ。

 錆び付いた橋。

 人通りのないシャッター街。

 草だらけの道路。

 ガラスのない学校。

 放置された車。

 電気の通ってない自販機。

 

 ……そこには荒れ果てた世界(限界集落)があった。


 20XX年、時の総理大臣屋須部修三(やすべしゅうぞう)の指示により、日本は多くの地域を放棄した。


 新型のコロナウイルスのせいではない。

 ゾンビによる襲撃のせいでもない。

 急に異世界と繋がったわけでもない。

 海に沈んだわけでもない。



 全日本人口都市集中法(全員都会にお引越し)



 インフラや福利厚生の維持が年々積み上がる赤字により難しくなった日本政府は、なんと全人口を都市圏に集中させ、”田舎”と呼ばれていた地域を放棄することにより費用削減を図ろうとしたのだ。

 全国の各市町村の”田舎度”を測定。基準に満たなかった地域の人間は近隣の基準を満たす”都会”に新たに建てられた集合住宅(収容施設)に強制的にお引っ越しをさせ、家や土地、その他の価値+謝礼金(口止め料)を概算してその分の価値を国が認める小切手を握らせたのだ。

 さらに、都会の人には恩恵がないだろうからと都会に住んでいた人間にも特別手当て(文句言わないでね)を支給。

 その額がとんでもないことから当然誰もが疑問を抱く。お金がないのになぜお金をばら撒くのかと。

 総理によれば、とあるお偉い大学教授らのグループによれば10年すれば今回の法施行にかかった費用の元が取れる、20年経てば国の赤字が半分になる、50年後には赤字国債が無くなる、とのこと。

 そんな胡散臭い話あってたまるかとの意見が始めは大半であった。ところが、マスコミは連日この法案を取り上げ(よいしょして)、SNSではこの法を支持する理由や資料などの投稿が急増。生活保護で生活している者や年金のみで生活していた者にとっては莫大な臨時収入となり、誰も損しないんじゃね?と考える(踊らされる)人は増えていった。


 とはいえ、いきなり住む土地や家、地元を奪われた(いなかもん)たちは反発、こんなアホみたいな法案は否決されて当然であった。





   …はずだった。




 もつれにもつれ、最終的に執り行われた特例の国民投票(投票率驚異の92%)の結果。

 



 なんと全田舎者は都会人に強制的に改宗させられることとなったのであった……!




 さて、世間を騒がせたアホ法も施行されてしまえばなんとかなるもんで施行から5年。ほとんどの人がこの法が施行された当初のゴタゴタを忘れかけ、順応しかけていた頃。

 政府は焦っていた。

 進行度、99%

 残り人口、1万人

 なんと、まだ全田舎民お引っ越しが完了していなかったことがわかったのだ。

 世間にこのことがバレたら不味い。

 何故このことが今までわからなかったのか。

 とまらぬ疑問、あふれる疑念。ともかく、秘密裏に法を施行するしか道はない。

 自衛隊をも用いてコッソリと行われた強制執行、その1日目。

 現場にかけつけた執行人たちの目にうつったのは、本州の端にあるとある県の、橋で繋がれたとある島に住む島民たちがこの全日本人口都市集中法(アホ法)に対して反旗を翻す姿であった。

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