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パンドラの箱 ~萌えるゴミ発電所と異世界怪奇録~  作者: くぁwせdrftgyゆとりlp
第三章 Crazy Gonna Crazy
88/177

第二話 夏休みの課題(物理)(その2)

2021年02/22


凪橋の紹介文に加筆しました。

未冥書房(みめいしょぼう)

 日本想電社長にして日本想電にその人ありと言われたミスター日本想電こと戸愚呂 安芸津(とぐろ あきつ)の盟友未田 夜明至(いまだ よみじ)が創業した出版社。

 モットーは『痒い所に手が届く、書物をあなたに』


 世間一般には知られていない(というか存在が認められていない)異世界にまつわる知識や、想力発電所に関する専門書を数多く出版している。近年では暁コミックスや未冥書房黄昏文庫なども設立され、ナイス病棟といった漫画やライトノベルも好評を博している。

 出版物の中でも特に売り上げが多いのが相伝蜃奇録の原作小説と漫画で、世間一般には相伝蜃奇録のメディアミックスで一山当てて濡れ手に粟状態の出版社と認識されている。


 だが一方で、異世界や想力発電所に関する専門書など眉唾物の書籍が圧倒的に多く、

『大丈夫? 未冥書房の本だけど……』という評価も根強い。

 本の印刷は富嶽第一想発の向かいにある放浪印刷(ほうろういんさつ)株式会社が引き受けているが、放浪印刷も日本想電の関連会社であるため、発電事業でボロ儲け状態の日本想電が節税目的で作った会社という批判も後を絶たず、RATTをはじめとした反想発派から『日本想電は納税しろ・利益を市民に還元しろデモ』を起こされた事もある。


 その実態は『日本想電と縁がある異世界の書物を現代社会に紹介する』、つまり異世界のヒット漫画や小説、実用書や専門書を作者から許諾を得て書籍化している出版社である。外部にはこうした事実は全て伏せられており、相伝蜃奇録の売り上げ全てすっ飛ぶ勢いでトンデモ本の出版を続ける理由も含めて、一切が謎に包まれている。



■その2


「全部未冥書房の図鑑じゃねえか!」

 トンデモ陰謀論垂れ流しホラ吹き書籍と悪名高い未冥書房の図鑑では、異世界の文化を理解するどころか誤解が酷くなってしまう! 千影にそう指摘されると、玲南は不満そうな顔で

「えー? 玲南さんは富嶽第一想発に来る前、この図鑑で千影くん達がいる世界を予習したんだよ?」

「一体何を予習したんだよ!」

「この世界の人々はひらがなとカタカナと漢字を使い、日本語を話す★」

「これだけ大量の本から得られる情報量としては薄っぺらすぎる!」

「あとひらがなは柔らかくて、カタカナは刺さると刀みたいで痛い★」

「その知識は今世界一役に立たない知識だわ!!」

「またまた御冗談を。江戸時代の武士って、手袋を相手の足元に投げつけて言葉の刃で斬りかかって命のやり取りしたんでしょ?」

「中世の文化が微妙に混ざってるわ! ってか言葉の刃って何だ!」

「それで斬り合いに負けた武士はドクロの満月が見守る中切腹して100g98円で切り売りされるんだよね★」

「何を切り売りするんだよ、グロ注意!」

「武士の誇りと魂です★」

「100g98円で取引できる誇りと魂やっす!」

「武士は食わねど高楊枝って言うから、お腹空かせて激ヤセ侍なんだよ★」

「傘張長屋の浪人かよ! ってか玲南は異世界人なのにどうしてそんな言葉知ってるんだよ!」

「この本読んで勉強したから★」

「せんせー大変! 説得力ちゃんが呼吸してないの!」

 玲南がことわざを勉強したとされる『未冥書房刊・現代日本ことわざ辞典』(台車在中)を見て、ついに留萌もツッコミにまわった! ことわざは正しいのに、日本の風習や歴史についてはどうして解釈がぶっ飛んでるのか。

「まあ人間の魂って質量21gらしいから、100gなんて重量級の魂が採取できるのは多分きっと大猿化した野菜人なんです」

「スーパー野菜人のバーゲンセールか!」

「ってか、魂の重量21gはどこ情報なのさーっ!?」

 玲南は台車から一冊の本を取り出して

「この本だよ★」

「あ、ああ。そうだよね。わかりきった事聞いてゴメンね」



 ――どんな人間でも、異世界や天国にまで財産を持っては行けない。例外があるなら、それは魂の重量である。21gある重量をもとに異世界で万有引力の法則を発見し社会発展に貢献するか? それとも来世でも地球の重力に魂を奪われた転落の人生を送るか? それはあなた次第である――

(玲南が示した『転生先で財を成す冴えたやり方・未冥書房刊』から引用)



 留萌はすっかりげっそりした顔で

「……そもそも、魂の重量21gってどうやって測ったのかな」

「留萌、それを気にしちゃダメだ!! 実測しようとする輩が絶対に現れるから!」

「あー、千影くんと留萌くん」

 後ろを見てと言わんばかりな玲南に、2人は背後を振り向く。


『ボエボエボエボエボエ……』


 できれば一生耳にしたくない音だった。おどろおどろしい雰囲気が漂う応接間で、見覚えのある人の顔をした壺が慎重に大きな天秤に載せられた。

「うむ、この壺におさめられた武士の魂は104g。これは大物」

「人間の魂をお店屋さんみたく秤に載せてるんじゃねえよ!!」

 萌え人面土器(武士の魂在中?)でお店屋さんごっこをしている新牢神父(しんろうしんぷ)の頭上に勢い良くハリセンを振り下ろした千影は、神父に与えたダメージが跳ね返り2人仲良く頭を押さえて悶絶した。千影のフォース能力で現世に実体を持つに至ったバチあたり神父は、術者である千影からフォースで攻撃されると術者(千影)に同じダメージを跳ね返すのだ。

「何をするのだ、少年! そもそも私が君から攻撃されたら術者である君にダメージがフィードバックされるのを知っての狼藉か!」

「やかましい! 萌え人面土器でジャストタイミングに不謹慎ネタやりやがって! 何でこう不吉な未来想像図ばかり先取りしやがるんだ!」

「人間の知性は未来のためにあるのだぞ」

「お前の行為は知性の完全敗北だろ! まさかと思ったけど、萌え人面土器ってやっぱりカノプス壺だったのかよ!」

「いやいや、権力者に納品するカノプス壺として作ったものもあってな。普通は御神体だったり、あるいは高級な土器として使えるものだ。この世界で発掘された人面土器にはカノプス壺はない……ハズ」

「ハズって何だ、ハズって!」

「だから今、凪橋が所有していた壺を調べてるんじゃないか。権力者の業が深くなると魂は軽くなるから、それで判別できる」

「お前は古代エジプト文明に土下座して謝れ! そもそも前世のお前は本当にどこの神様信じてたんだよ!」

 つまり、凪橋は知らずに太古の骨壺を収集して罰が当たった可能性もあるわけだ。ゾッとするような話である。

「全く失礼な。少年が課題選びに難儀していると聞いたから、何かアドバイスできればと思って参上したのに」



To Be Continued>

★登場人物紹介

凪橋(なぎはし) 威知郎(いちろう)

●かつて想力発電全廃を主張し活動していた市民団体RATTの主要メンバー。

●眼鏡を着用した色黒の人物。ウドンケンジョウレイ結界で千影達の前に現れた時は白い歯をキラキラさせた肉体美な人物だったが、零比都をストーカーした頃の彼は顔色も悪くだらしない体つきでかなり不健康な雰囲気であった(元々は後者の容姿で、結界の中でもいつの間にか後者の姿に戻っていた)

●厨二病めいた全能感を抱えたまま成人したような人物で、後輩や下の人間への面倒見はいい(可能な限り好意的に拡大解釈した表現)が、実際には萌え人面土器などを勧めてきたり、意見が合わない人間を罵倒したり排除しようとするので煙たがられていた模様。人付き合いに難があるだけでなく、しっかりした思考の柱もないため、お世辞にも頭がいいと言える人物ではなかった。

●穏健派時代のRATTメンバーは彼に反発して去っていったらしい。彼の人柄を榛名はこう評した

「呼吸するように罵倒してきて本当にムカつく」

●大学在籍中に学生運動で学業をおろそかにしてしまい、退学寸前まで落ちぶれ何とか卒業する。

一方で太古の遺跡から発掘された萌え人面土器なる珍妙な遺物を収集する趣味に目覚め、人面土器を研究したが周囲からは全く理解されなかった。夜な夜な萌え人面土器があげる鳴き声に対する苦情が後を絶たず、住んでいた家を追い出され無職になり実家に帰るも親から勘当される。

●その後想力発電に反対する活動に身を投じたようで、穏健派反想発団体として知られたRATTに40歳で参加するが、職を失ってからRATTに参加するまでの経歴は現在もはっきりわかっていない。

●凪橋の参加後、反想発活動急先鋒としてマスコミに取り上げられたRATTは一躍時の存在となるが、メンバーによる想発職員への脅迫や暴行、個人情報暴露を問題視した警察により一網打尽にされ、凪橋の参入から3年で組織が崩壊した。

●RATTを持ち上げたマスコミも掌返しは早く、彼らに対する世論は厳しかった。凪橋を含めた主要メンバー13名全員が懲役刑となり、服役中に原因不明の病で昏睡状態に陥り全員が死亡する。享年44。

●なお、彼ら全員の死亡を知るのは木南と虎野、零比都といった日本想電の中でもごくわずかな者だけで、公には完全に伏せられている(世間一般では服役中と認識されている。千影や留萌、玲南や榛名は彼らが病に倒れ二度と意識が回復しない事まで知らされた)

●逮捕される直前に商業施設で出会った木南零比都に一目惚れし、マイ天使と呼んでストーカーし、相伝蜃奇録作中最強とうたわれる彼女を本気で怯えさせた。示談となったが、その後の彼は脳がバグったと思えるほどトチ狂っていった……

●本人曰く「零比都に出会ってギフトを授かった」そうだが、木南達が凪橋と示談した時、彼にフォーサーとしての適性は見いだせなかったらしい。一方、結界で凪橋と遭遇した玲南曰く「瞬間移動・千里眼の能力者として素質は相当に優秀。だけど素質以外全部がダメ」

●フォーサーとして順調に鍛え上げていけば、数十㎞離れたところに一瞬で移動できる優秀な瞬間移動能力者になれたかもしれない(千里眼能力は移動先に障害物がないか見抜き、移動先を指定する必須のスキル)

●彼の経歴や人物像については不明な点や不可解な矛盾が多く、日本想電は現在も凪橋の(若月との)調査を(関連を)続けている(調べている)

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