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二十一話

 

 僕がベッドに寝っ転がり、大の字になって伸びていると。



 --コンコン



 リビングの方から、扉を叩く音がした。


「ん、誰だ?」


 起き上がり、リビングへ向かう。そして扉を開けると。


「はい」


「レッジ様、少々よろしいでしょうか?」


「なんでしょうか?」


 ステイヤンさんだ。なにやら深刻な顔をしている。


「実は、二人組の侵入者を捉えまして」


「し、侵入者!? み、みんなは大丈夫なのですか?」


 ミオン達は無事だろうかっ。


「ええ、門をよじ登ろうとしていたところを、捉えましたので」


「ほっ、そうですか。で、その侵入者が何か? そういうのは、ミオンに報告したほうがいいのでは」


「ええ、そのご主人様が、レッジ様を連れてくるようにと」


「はあ、僕をですか?」


「どうやら、冒険者のようで。サシャさんとアナステさんの知り合いだと言い張っておりまして」


 んん?

 もしかして。


「御察しの通り、二人はロイムとクジュスと名乗っております」


「サシャ達を、取り戻しに……いや、拉致しにきたわけか」


「恐らくは。ご主人様は、今こそ決着をつけるべきだと仰っておりまして。すみませんが、ご同行を」


「わかりました、行きましょう!」


 あの二人……今度こそ、二度と関わらないようにさせないと!






 ★






「ったく、お客様になんてことしやがンだ、ェエ!?」


「まあまあ、落ち着いてください。ボクたちは暴れにきたんじゃないんですから」


「チッ。で、サシャとアナステはどこなんだよ。仲間がいなくて寂しいヨ〜〜」


 クジュスのやつ、この前よりもさらに態度が悪くなっているな……クジュスの奴、僕が抜けた後ずっとこんな感じだったのか?


「今は仕事中なの。もうすぐ来るわ」


 ミオンが答える。


「彼女たちを返してもらえるんでしょうね? 場合によっちゃ、拉致されたと言いふらして回りますよ?」


 ロイムはクジュスに比べれば落ち着いてはいるが、内心苛立ちを隠せない様子だ。


「まあ、それは彼女たちに聞いてからにしないとね。2人がいうには、あなたたちに肉体関係を迫られたってことだけど?」


「そ、それは……あなたには関係ないことでしょう。それに無理やり迫ったわけではありません、ボク達はより親密な関係を持つことにより、パーティ内の連携が深まると考えたまでで」


「そうだヨそうだヨ、オレたちゃ悪くなーい。第一、ろくに男も作れないくせに断るなんてなに様だっつの。せっかく大人の遊びを教えてやろうとしたのに、サシャのやろう、オレ様の大切な男の武器に炎をぶちまけてきやがった。賠償だ、賠償!!」


 クジュスはサシャの反撃が当たる直前になって、拳で炎を避けたらしい。その分手の甲が焦げているのが見てわかる。


 ロイムはおそらく自らの神能、"輝きの壁"で防いだのだろう。


 これは透明な壁を作り出し、敵の攻撃を防ぐというものだ。

 リーダーはこの神能によって近接戦闘にかなりのアドバンテージを得ることができる。そのため、アタッカーとしては優秀で僕たちも助けられたのは事実だ。


「まあまあ、落ち着いて。それにあなた達、私の裁量でこの場は見過ごすけど、本来は不法侵入なのよ? しかも伯爵の邸宅へのね。どんな処罰が科されてもおかしくないってわかっている?」


「それは……クジュス、ここは一旦おさまれ。伯爵の仰ることはごもっともだ」


 ロイムはそう言いつつも、ミオンに向かってはにかむ。

 ふん、そんな作り笑い丸出しの顔でどうにかなる程僕の彼女はやわじゃねえぞ?


「へいへい。あーあ、どうしてこうなったんだ……いや、待てよ」


 と、クジュスは僕のことを見る。


「な、なんだよ」


「だいたい、レッジが抜けてから色々とおかしくなったんだ。おまけにこんな良い肉壷をものにしやがって。お前がもっと使える奴なら、こんなことにはなっていないハズだ、お前が責任とれヨ!」


「はあ? 確かに追い出されたのは僕の実力不足が原因だけど、それは僕の話であって、2人が仲間を襲うという蛮行に及んだのは自らの意思だろう。むしろ、僕がいなくなって色々とやりやすくなったんじゃないか?」


 アナステも、僕がいなくなってから露骨に身体を狙われるようになったって言ってたしな。


「まあまあ2人とも、当事者が来たわよ?」


 と、後ろを向くと、扉の前の廊下に、ヴァンテーヌさん、アナステ、サシャが立っていた。


「やっと来たか、心配したよ、アナステ、サシャ」


 ロイムが立ち上がり、2人に近寄る。


「し、白々しいですっ。私たちがどんなに怖かったかわかりますか!?」


 しかし、アナステはすぐさま身体を引いた。


「・・・クズ・・・」


 サシャも大変珍しく、怒りを顔に表している。


「お前ら……余計なことベラベラしゃべりやがって! オレたち7年間もやってきたんだろォ!? 引退した無能や金で男を飼ってる雌犬の方につくのかよォ!」


 クジュスが勢いよく立ち上がり、机を蹴飛ばす。その机が、3人の方へ飛んでいく--が、ヴァンテーヌさんがすぐさま凍らせ勢いを殺した。


「おやめください、主人の館ですよ?」


 そのまま、机を壁に寄せる。


「へっ、またあんたか……だが、この前のように簡単にやられるとは思うなよな、いたぶった後、じっくりとその身体を味わってやるさ……いや、この屋敷の女は全部オレたちのもんだ! 使うだけ使ってやった後、裏に売り飛ばしてやるさ!」


 そう言ってのけたクジュスは高笑いをする。


「……あなた、今のでもうだめね。貴族の館で無礼を働くとどうなるか、思い知らせてやるわ!」


 ミオンはそんなクジュスの恫喝などびくともせず、徹底的にやるつもりのようだ。


「そのイキ、いつまで続くか……ネェ!!」


 そして、クジュスは目にも留まらぬ速さでミオンに対して蹴りを繰り出した。




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