4.笛吹く羊亭
想定しているより話が進まず小学生の頃のプールを思い出しました・・・。
そして明らかになる一行の意外な一面
そして現れる謎(?)の女性・・・
なれ!面白く!
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Ponが重すぎる不具合が合ったため修正いたしました。
「ブライドに、明かりがない!」
イズミは絶句した。前方に見える石造りの城門には、松明が左右に取り付けられている。ノアはイズミが何に驚いているのか全く分からなかった。
「え?明かりはありますよね?」
門が完全に開ききっているため、背後に佇む街の様子もはっきり見える。現代日本の夜よりは暗いが、街道にはやはり仄かな灯が灯っていた。
「城門に急ぎましょう!」
「???」
イズミが駆けだすと、ノアとアカネも続いた。
「止まれ」
「入国者か?通行書は持っているか?入国理由は?」
城門にて、イズミたちは屈強な兵士たちの質問に慌てていた。ゲーム時代にはこんなことを言ってくる兵士など一人も居なかったからである。しかしブライドは今や現実の国、入国審査など、考えれば至極全うなことである。
「通行書はありません。入国理由は観光です」
「旅の者か?怪しいな。荷物はどうした?」
不審な入国希望者に警戒にしてか、門の横に作られた木造の駐屯地から他の兵士たちも出てきた。最後に出てきた老兵は門番の責任者なのか、鎧の上から装飾の付いたマントを付けている。彼がイズミたちの前に出ると他の兵士たちは後ろに下がった。鋭い視線がイズミからノアへ移る。老兵は、ノアと同じ栗色の髪と瞳をしていた。
「……そちらに見えるは、間違いなくブライド王家の紋章」
老兵がノアの足元にひざまずくと、他の兵士も慌ててそれに倣った。ノアはそんな光景を見て、全く理解が追い付かず、狼狽えるばかりである。
「度重なるご無礼をお許しください。そちらの二人はお連れの者でしょうか?」
「は、はい!そうです」ノアが勢いに押され答える。
「は、ようこそご帰還なされました。『王の盾』よ」
老兵がそう言うや、他の兵士たちはぎょっとした顔をして、走って左右に整列した。兵士たちの祝福を受け、一行は城門を潜った。城門に掛けられた国旗には、ノアの着る鎧と同じ、竪琴と植物の紋章が刻まれていた。
◆◆◆◆
「王の盾ってなんなんでしょうね」
街道を歩くノアは、やはり城門の一件について考えていた。城門からずっと先頭を歩く彼女の鉄鎧を見て、アカネが後ろから呟く。
「【大盾騎士】のことやないの?今着とる鎧もブライドのやつやんか」
「なるほど!」
アカネとノアは疑問を簡単に決着させて、意気揚々と歩き出した。その後ろで悶々と何かを考えていたイズミがやっと口を開く。
「やっぱりおかしい」
「やから、王の盾っちゅうんは装備の設定なんやろ?」
「いや、そうじゃなくて……」
街の様子になにも違和感も感じていないアカネに呆れながら、イズミは続けた。
「プランタンが一つも咲いてません。あれは一日二日で枯れるようなものじゃないですよね?」
「……あー!!」
「???」
また一人で考え始めてしまったイズミを後目に、アカネがノアに説明をする。
「覚えてへんか?ノアちゃんがゲーム初めてからずっと、この街ずっと光っとったやろ?」
「……あー!!」
アカネの一言でノアは鮮明に思い出した。画面ごしに見ていたブライドの町は、ハロウィン装飾と、色とりどりに光る変な植物に覆われていた。思い返せば忘れようもない景観なのだが、この世界の現実感によってか、ノアは全く違和感を抱かなかった。
「ノアちゃん、もしかしてプランタンの種持っとるんちゃう?」
言われたノアはアイテム欄をから種を取り出した。
>【プランタン[ハロウィン]】
葉のない蔓の先にランタンのような光る提灯が付いている植物。どんなに固い地面に植えてもすくすく育ち、水を与え続ける限り枯れることがない。噂によると、この植物を神からの贈り物として神聖視している国がこの世のどこかにあるらしい。
「イズミ、プランタンってどれくらいで枯れるんやっけ?」
「大体3日くらいだったと思います」
「3日!!」
枯れるのに最低3日かかるプランタンが一つも咲いていない。つまり今の状況は、現実時間で少なくとも3日以上は経っている、ということを意味する。
「あんなにあったのに……」
ノアの率直な呟きに、イズミがさらに続ける。
「そこなんですよ。無数に生えていたプランタンは、水が途切れないと枯れない植物なんです」
「イズミ、なにが言いたいんや?」
「……つまり、プレイヤーたちが皆消えてしまった可能性があります」
アカネはイズミの発言に少し考えたが、いや、と被りを振って続けた。
「他に遊んどった人も、全員こっち来とるんかもしれんで?」
「もし全員入ってきたんやったら、そらプランタンどころちゃうやん?」
「……たしかにそうですね」
『ぐ~』
イズミとアカネの議論に、ノアがお腹で返事をした。顔を赤らめ申し訳なさそうな顔をしているノアに、アカネが笑いかけた。
「せやな!とにかくまずは飯や!!」
◆◆◆◆
地図を持たない一行は、苦労してようやく飯場らしい看板を見つけた。
二足歩行の羊が陽気に笛を吹いている絵が描かれていて、その下には『笛吹く羊亭』とある。店の中からは活気ある男たちの声に紛れて、綺麗な女性の歌声が聴こえる。その澄んだ歌声に安心したアカネが扉を開けると、中は酔い倒れた男たちで溢れていた。
「うお!ここ酒場やんけ!!」
酒気に満ちた店内にアカネの声が響く。聞きなれぬ声に振り向く男たち。男たちの力の籠る目に圧され、ノアはそそくさと端にあるテーブル席に着いた。
「こういう場所、初めて来ました……」
「ウ、ウチも」
カウンターに座る男たちは、そのまましばらくノアたちを眺めていた。しかし店の奥の方から再び歌が聞こえてくると、男たちの注意はそちらに戻っていった。
「見たところ、僕らのような人はいないようですね」
「オマエほんま抜け目ないな!」
イズミの言うように、男たちは町の労働者や兵士といった格好をして、他の男たちと談笑している。その言動は主に町の噂話などであり、どう聞いてもプレイヤーのものとは思えなかった。
しばらくして、若い女性のウェイトレスがメニューを持ってやってきた。ここに来るまでに散々迷っていた一行は、先に宿の場所を聞いておくことにした。
「すいません、宿屋はどちらにありますか?」
するとウエイトレスは天井を指さして、にこっと笑った。
「うちで宿を取ってくれれば、安くしますよ!」
一行は即決した。さて、待ちわびたご飯の時間である。
本日のMenu
ジャガイモと羊のミルク煮 6Pon
ラムボール 2Pon
グラタン 5Pon
秋サラダ 3Pon
パン 1Pon
水 3Pon
ぶどう酒 2Pon
エール 1Pon
三人はその中からジャガイモと羊のミルク煮、秋サラダ、パン、水を人数分頼む事にした。小計39(※1)Pon。プレイヤーから言わせればタダに等しい金額である。注文を終えると、早歩きで厨房へ帰るウェイトレスの女性を視線で追いかけた。厨房には忙しそうに料理をするいかついご主人がいた。そのご主人に酒を飲みながらなにやら話しかける周りの男たち。その男たちの間をすり抜けながら笑顔で酒を持っていくウェイトレス。机に空瓶を三つ並べて嬉しそうに酒を受け取る女性――。
年齢にして二十前後だろうか、イズミたちの視線は、その女性に釘付けになった。女性は渡されたエールを一気飲みしてから、木製の竪琴を手に取る。酒気で顔が赤くなっているその彼女は、あの澄んだ歌声で再び歌い始めた。周りの男性がご主人との話を止め、彼女に拍手を送っている。
「なぁイズミ、あの曲って」
「えぇ、【ブライディアン・ポルカ】ですね」
ノアは今や彼女の旋律に聞き入って、首を縦にゆらしている。男たちは酒瓶片手に踊りだす。
「彼女、【吟遊詩人】ですね」
「え?あの人プレイヤーなんですか?」
「うーんどうだろう」
「ごゆっくりー」
いつの間にかウェイトレスが、料理を机に並べ終えていた。見ると、机の上には大盛のシチューと、カボチャサラダにパンが数個。湯気立つシチューを前にして、三人の喉が鳴る。
「ジャガイモと羊のミルク煮って、シチューのことやったんやな!」
「とっても美味しそうです!」
ノアが湯気の匂いをくんくん嗅いでいる。
「では、いただきます!」
いざ、実食。
◆◆◆◆
「羊肉ってこんな旨いんやな!めちゃ柔らかいし!!」
「羊の匂いも全然気になりません!」
思い思いの食レポに夢中な女子二人。黙々と食べるイズミ。彼女たちはパンや水すらも褒めたたえている。
「おっちゃん!アンタええ腕しとるわ!!」
アカネが立ち上がってご主人を褒めたたえた。周りの男たちの眼を気にするのは止めたようである。無骨な顔のご主人は、アカネの呼びかけに親指を力強く立てて返した。アカネもご主人に倣い、笑顔で親指を立て、再び席に着く。
「てかノアちゃん、羊食べたことあるんやな!」
「あ、はい!家で出たことがあるので!」
「……そっか」
言うとアカネは気を取り直したように食レポを再開した。負けじと返すノア。二人を傍観するイズミは既に夕食を食べ終えていた。しばらくして、アカネが最後の料理を食べ終えた。席を立ち、カウンターで会計をしようとした時、ようやく気づいた。
「あ。そいやPonってどうやって取り出すんやろ?」
「……あ」
「ちょっと待ってくださいね」
三人はウェイトレスの女性が立つカウンターに背を向けた。イズミとアカネがPonを出そうと念じると、色とりどりの紙束が出現した。アカネが女性に振り返る。
「え~と、これでお会計できるんやっけ……?」
「え~と、そちらは銀行の小切手なので、すいませんが取り扱えないですね」
「現金はお持ちでない?」
「え~と……」
イズミはその間も念じ続けていたが、出現するのはやはり小切手ばかりであった。アカネが再び後ろを向き、イズミと小声で話す。
「Ponって確か金貨って設定でしたよね……」
「あ~、せやな?」
「これってもしかして無銭飲食になります?」
イズミとアカネが目配せして『逃げるか?』とノアに聞くと、彼女は首を強く横に振った。アカネは逃走を諦め、交渉をすることにした。
「ウチら今現金ないんよ。素材アイテムでの支払いでどやろか?」
「取り扱ってないです」
「……やろね」
女性の対応がどんどん固くなる。彼女の脳内では、アカネたちは既に無銭飲食者であるらしい。一連の騒ぎを見ていた酔いどれ男たちが絡んでくる。ご主人は難しい顔をして静観しているが、今や一行は大勢の男たちに囲まれてしまっていた。いくら彼らの酔いが回っているとしても、彼らをすり抜けて店の外へ出るのはもはや不可能である。
その時、男たちの群れの隙間から女性が顔を覗かせた。片手にはエールの瓶が握られている。彼女はカウンターの前へ出てくると、酒を一気呑みしてから話し始めた。
「男どもが女の子たちを虐めるんじゃないよ、みっともない」
「ユーリア!おまえ聞いてなかったのか?こいつらは犯罪者だぞ?」
「聞いてたよ。でも犯罪者じゃないぞ。だってこいつらの分はワタシが払うんだから」
「んで、いくら?ついでにアタシも帰るから」
ユーリアと呼ばれた女性がウェイトレスの女性に提示された金額を支払う。
「今日もあんたらからたんまり貰えたし、これぐらいパーッと使わにゃ!」
そう言う彼女を見て、男たちは笑いながら、やれやれ、といった仕草で席に戻っていった。
「あ、あの!ありがとうございます!」
ノアがユーリアに深々と頭をさげた。
「ええんか?」
「イーノイーノ!代わりにアンタらからもたんまりアイテム貰うから」
ユーリアはそう言って豪快に笑うと、再びエールを一気飲みした。
「歌っとるときと大違いやな……」
◆◆◆◆
「改めて、アタシはユーリア。この町の看板【吟遊詩人】よ」
一行は、ユーリアの口添えを借りて笛吹く羊亭二階の端部屋を一泊貸してもらうことができた。その際の料金もユーリア持ち。そのまま彼女は一行の部屋へなだれ込み、現在に至る。
「改めまして、僕はイズミ。【人形師】です」
「私はノアといいます。【大盾騎士】をしています。本当にありがとうござました」
「ウチはアカネ、【商人】や!ホンマ助かったわ!!」
「なんで【商人】がPonもってないのよ!」
ユーリアが面白がってアカネに突っ込む。
「うっ!それ言わんといてや!ユーリアさん!」
肩を落とすアカネを見て、ユーリアが笑う。
「型っ苦しいな。ユーリアでいいわよ」
「それにしても……」
ユーリアがイズミをジロジロと見回す。
「な、なんでしょうか……」
「【人形師】なんて、初めて見たわ」
「よく言われます。あはは……」
イズミは自嘲気味に笑った。
「さて、自己紹介も終わったし!アイテムを貰いましょうか!」
イズミたちの部屋の椅子に座って寛いでいたユーリアが、思い出したように言った。
「あ、そうでしたね、アカネさんお願いします」
「ほいほい」
アカネは巨大なバックパックを床に置いて、鎌畑のMobがドロップするアイテムを机に並べ始めた。
【四つ星の甲殻】【チョウの薄羽】【薄紅の大鎌】
いずれも支払ってもらった額より高額なアイテムだったが、感謝の意味も込めて色を付けた。
「好きなの選んでええで」
机に並ぶアイテムを見て、ユーリアは絶句した。
「ア、アンタ達が集めたの?このアイテム」
「はい、私達で倒しました!」少し誇らしげにノアが言い放つ。
「……じゃあこれ、貰ってくわ!」
そう言いながらユーリアは[薄紅の大鎌]を手に取った。
「アンタたち、すぐここを出る予定なの?」
「いえ、もう少し居ると思いますけど」
「だったら宿はここにしときなさい?他は高いわよ」
「はい、ありがとう御座います」
「じゃ、おやすみね」
そう言ってユーリアは深緑色の外套を着こみ、ウインクをしながら帰っていった。
ユーリアが帰り、部屋はかなり静かになった。
「なぁイズミ、ユーリアってどっかで見たことないか?」
「確かに……どこだったかな?」
記憶を引っ張り出そうと顎に指を置くイズミ。
「……あ!噴水近くにいた女の人じゃないですか?」
「あー!【吟遊詩人】に転職するための」
「たまり場のか……服装同じやしな」
アカネは合点がいったと手を合わせる。ノアは今日の疲れと夕食後の心地よさで既に眠気を感じていた。
「ノアちゃん、眠そうやな」
アカネがノアに笑いかける。ノアは頷いて返事をする。この宿に時計などないが、現在時刻およそ二十二時前後。いつものノアの就寝時刻である。
「ウチもここに来て、なんかドッと疲れが来たわー」
そう言いながらアカネがベッドにポフッと飛び込む。
「あー!ずるいですよ!」
言ってノアがもう一つのベッドに座った。そして思い出したように椅子に座るイズミを見る。
この部屋にはベッドが二つしかないのだ。
「ベッド、一つ足りませんね」
「ウチとノアちゃんで一つのベッド使ったらええんやない?」
そう言いアカネはノアの方を見る。
「アカネさん!一緒に寝ましょう!」
ノアは笑顔でそう答えた。抱き着くアカネ。ノアの鎧は冷たかった。
「ノアちゃん取り敢えず鎧脱いだら?」
これから寝るのだから、とアカネはベッドをポンポン叩いて鎧を脱ぐことを進める。
「あ、そうですね」
そう言いノアは鎧を脱ぎ始めかけたが、気が付いたように動きを止めた。
「すいませんイズミさん少し……」
「あ!イズミ!部屋から出てけや!」
「え!?そんな理不尽な」
「終わったら呼ぶから!ええから出てけ!」
イズミは部屋から問答無用で叩き出されてしまった。
「男はつらいね。ジャック、セイラ」
『女性が着替える目の前に男性が居続けるのは、些か不躾に当たるかと』
「うわ!セイラ、その状態でも話せたのか!」
辺りを見渡すがセイラの姿は無かった。つまりアイテム欄からの会話ということになる。
『はい、主がお呼びだった様なので』
「ごめんセイラ。さっきのは独り言だったんだ」
『いえ、お気になさらず。では御用の際はまたお呼びください』
「分かったよ。おやすみセイラ」
『お休みなさい、主』
◆◆◆◆
「イズミー入ってええでー!」
「……入ります」
なぜか緊張しながら、イズミは部屋の中に入った。ノアの銀鎧は部屋の何処にもなく、ノアは何故か布団に包まっていた。
「すいません」
布団から顔だけを出し、申し訳なさそうにノアは謝罪する。
「いや、僕も気が利きませんでした。ごめんね」
「何赤なってん」
アカネがイズミに詰め寄る。
「いや、なってないです」
「せめてこっち見て言えや!変態」
三人が布団に入ると、アカネは燭台の蝋燭の火を吹き消そうとした。
「あ、アカネさん待ってください」
「なんや?」
「僕たち、改めて自己紹介しませんか?」
「ん?とっくにしとるやん」
アカネはイズミの素っ頓狂な提案に怪訝な顔をする。
「いえ、リアルの方です」
「いいですね、それ!」
ノアはイズミの提案に同意を示す。
「……はぁ!?イズミお前、何言うとんか解っとんか?」
アカネは苛ついた声で答えた。
「え、駄目なんですか?」
ノアは疑問を素直に口にした。
「アカンアカン!これはマナーの話や!リアルの詮索はせん、根本的なことや」
「でも、今は此処がリアルですよ。それにもしもの時の合言葉にもなります」
「合言葉やったら他に作ればええやんか」
「それに」
「それに、なんや?」
「僕、知りたくなりました。アカネさんやノアさんのこと。もっと」
「……」
「そうですよ、アカネさん!私もイズミさんとアカネさんのこと知りたいです!」
「……」
「はぁ……卑怯やわ二人とも。二人で言い寄られたら断れんやん……そんなん」
「アカネさん!じゃあ……」
ノアがアカネをまっすぐに見る。
「教えたるわ。それでええんやろ?」
「アカネさーん!!」
ノアは布団の中でアカネに抱き着いた。顔を赤らめ目線を逸らすイズミ。
「こらイズミ!変態!」
「では言い出した僕から、泉琥太郎、17歳です」
「早乙女野明です!同じく17歳です!」
「・・・え?早乙女野明?C組の野明さん?」
「あ、やっぱり泉くんだったんですね、音声通話のときからそうじゃないかなって思ってたんですよ」
「気が付かなかったよ」
「あまり話しませんしね」
ノアはクスクスと笑う。
「早速リアバレしとるし……」
ノアに抱かれながら、談笑する二人を見て呆れるアカネ。ひと段落したノアとイズミの優しげな瞳がアカネに注がれる。
「その目やめーや!」
「あーもー……ホンマ嫌なんやけど……なあやっぱ辞めてええ?」
「……」
尚も優し気な眼差しが注がれ続けるアカネ。
「はぁ……。小犬丸茜」
「13歳や!」
「……」
顔を真赤にしたアカネが顔を布団に半分隠す。
「ありがとう、アカネさん」
イズミはアカネから目を逸らさず、微笑みながらゆっくりとそう答えた。アカネは急に恥ずかしくなって、布団を引っ張りそっぽを向いた。
「皆さん本名でプレイしてたんですね」
そう言うノアの布団をさらに引っ張るアカネ。
「わ、待って!アカネさん」
布団が引っ張られ、ノアもベッドに倒れ込んだ。
「……明かり、消すよ?」
イズミはそんな二人を見て、燭台の蝋燭を吹き消した。
こうして一行は、この世界で初めての夜を明かした。
文字数の割に中身がなくなってしまって申し訳ないです・・・。
※1 Pon
LTOの通貨、公式設定では100Pon硬貨が大体0.1ポンド程の金の硬貨と言う密かな設定があった。
よってこの世界の通貨はすべて金貨となる