仮想1【不思議な出会い】
ジェームズが連れて行ってくれと言われたテールだったが、何かの異変を感じたのかジェームズを連れて行かないと答えた。ジェームズは、その言葉にがっかりしていた。テールは、後ろにいたラッキーを連れて日課になっている場所に行くことにした。テールは、ラッキーと一緒に日課になっている場所に向かって歩き出した。歩き始めてしばらくすると山道に辿り着いた。その険しく急な山道をラッキーと登っていった。しばらく歩き続けると小さな泉が見え始めた。疲れがたまってきていた。テールは泉の前で休憩をする事にした。休憩する為に座って大きなおにぎりを出したがうっかり落としてしまった。大きなおにぎりは、落ちると同時にコロコロと転がっていき泉の中へと落ちて行った。大きなおにぎりが泉の中に落ちてからしばらくすると、ラッキーが何かを感じ取ったのか吠え始めた。吠え始めた少し後泉が光り始めた。テールは、一瞬驚いたが、さらに驚く事が起こった。泉の中から小さな人間が現れた。泉の中から現れた小さな人間に言葉が出ずに沈黙が続いていた。現れた人間をよく見るとフェアリーと言われている種族だった。テールは、沈黙を破るようにフェアリー族の少年に名前を聞いた。するとフェアリー族の少年は、「先に名前を言えよ!!」と言い返してきた。大きなおにぎりを食べられなかった悔しさと少年の言い方にむかついたテールだったが、とりあえず名前を名乗った。するとフェアリー族の少年もマールだと名乗ってきた。マールは、「さっき泉の中に何か落ちてきたけど君の?」と言ってきた。テールは、「そうだ」と言うとマールは、おにぎりについて聞いてきたので食べ物だと教えた。するとマールは、「貰うよ?」と言って大きなおにぎりを一気に食べた。テールが返事をする前に大きなおにぎりを食べた自分勝手なマールに怒ろうとした。その怒りを失わせるようにマールが、「お礼にこれやるよ!!」と言って何かを投げてきた。マールが投げて来たのはオカリナだった。テールが投げられたオカリナを手にするとマールが、「それはフェアリー族に伝わるオカリナだぞ!!何かあったらそのオカリナを吹いてみな!!俺が何処にでも行ってやるから」と言ってマールは、大きなおにぎりを食べ終わると泉の中へと消えていった。テールとラッキーは、泉を後にして日課になっている場所へと再び歩き出した。テールとラッキーは、日課になっている場所へと歩き出したが、やっぱりあの泉とそこから出てきたフェアリー族の少年の事が気になって泉へと舞い戻った。泉に戻ってくるとテール達は、マールが入っていった泉の中へと飛び込んだ。泉に飛び込んですぐは光が差し込んで明るさがあったが、深い所にいくほど光が差し込む事が無くなり暗くなっていった。周りを見渡すテール達は、人が通れそうな道を見つけて進んで行った。見つけた道を進んで行くにつれて息が持たなくなっていき苦しくなっていったが、その中でもさらに見つけた道を奥へと進んだ。奥へと進むと水の中にも関わらず空気がある場所に出た。テール達は、その空気がある場所で一息ついた後さらに進んで行った。さらに進むと水の中から出て広い場所に出た。それからさらに進んで行くと町らしき物が見えてきた。テール達は見えてきた町らしき物にさらに近づくと、そこには明らかに人間が作った町ではない事がわかる建物が建っていた。テール達は、その町の中に入って行った。テール達が、町の中に入っていくとそこには先ほどの泉の前で見たマールと同じフェアリーが大勢いた。その様子からこの町がフェアリー族の里だという事に気づいたテール達は、里をさらに奥へと向かって行った。奥に進むと今までと違う大きい建物が見えてきてその建物の外にはあのマールが立っていた。テール達が、マールに話しかけるとマールは驚いて「まさか追って来たのか?」と聞いてきたのでテールは、「そうだ」と答えた。マールと話をしていると目の前の大きな建物から凄いオーラを持った人間が現れた。その人間は、テールの顔を見ると建物の中へと案内してくれた。テール達は、案内されるままその建物の中へと入った。建物に入ったテール達は、凄いオーラを持った人間に話しかけようとするとその人間が先に語りかけてきた。その人間は、テールの顔を見るとフェアリー族の伝説に出てくる人間に似ていると言ってきてその人間もフェアリー族のオカリナを持っていたと言ってそのフェアリー族の伝説を語り出した。テールは、その話に特に何も感じていなかったが、オーラを持った人間は、フェアリー族のオカリナを持ったテールを見て歴史が繰り返されるとテール達に聞こえない声で呟いた。凄いオーラの人間の話を聞き終わるとテール達は、その建物を出てフェアリー族の里を去った。去って行く時にオカリナの音色が微かに聞こえていた。
フェアリー族の里を出たテール達は、来た道を戻って日課になっている場所を目指した。テール達は、道を歩き続け日課になっている場所に辿り着いた。その日課になっている場所から見る景色は普段と同じはずだった。しかし今日は違っていた。その場所から見える風景には町の方から煙が上がっていた。テール達は、急いで町に戻ろうとしたが、それを遮るかのように普段はこの場所にありもしない殺気が漂っていた。そのあり得ない殺気は、テール達の背後から漂ってきた。ラッキーが最初に振り返り吠えた。そしてテールもラッキーの後に振り返ると普段はおとなしい魔物がいた。その普段はおとなしい魔物が殺気を放ってテール達が町に戻ろうとする事を遮っていた。怒りに満ち溢れている赤い目をしたオークがテール達に襲いかかった。二人は、そのオークの攻撃を避けた。そしてすぐさまラッキーは左からオークに立ち向かっていきオークに噛みついた。それを見たテールは、すかさずオークに攻撃を仕掛けた。オークは、テールの攻撃を躱し反撃をした。テールは、弾き飛ばされてオークとテールの間に距離が開いた。テールは、マールに貰ったフェアリー族のオカリナを吹いてみた。すると突然マールが現れて戦闘に参加した。突然呼び出されて驚いていたが、マールはすぐさまバリアを張った。マールには状況が見えていてオークがテールに攻撃をしてきていた。マールが張ったバリアでオークの攻撃を防いだテールは、その隙を見てオークに攻撃をした。攻撃を受けたオークは、さすがに二人と一匹を相手に出来ないと判断したのかその場から逃げ出した。オークが逃げ出した後にテールとラッキーは、遮っていた町への道を急いで戻ろうとした。突然呼び出されたマールは、訳もわからずにテール達の後を追った。
日課になっている場所でテール達が町からの煙を見た少し前に、テールと別れたジェームズはその後も町の中を一人で散歩していた。ゆっくりと散歩していたジェームズは、遠くから人ではない影が町へと向かっているのが見えた。ジェームズは、近づいてくる影に何事かと考えていたがその影が魔物の影である事がわかってきた。魔物の影だとわかったジェームズは、町に近づいてくる魔物に対して攻撃態勢を整えた。魔物は、町に入ってくると建物を壊して回った。ジェームズは、その破壊行為を防ぐ為に魔物に攻撃をした。魔物の攻撃は強くジェームズは防戦一方であったが、魔物の攻撃も弱くなってきた。そろそろ反撃に向かって行こうとした時にラッキーが戻ってきた。戻ってきたラッキーは、すぐさま魔物に攻撃をした。だが、ラッキーの攻撃は効いていなかった。ラッキーは、魔物の反撃を受けて倒れ込んだ。倒れ込んだラッキーに魔物が攻撃しようとした時、突然ラッキーの体が光り始めた。光り始めたラッキーは、起き上がり魔物に向かって攻撃をした。光っているラッキーは、まるで何かに取り付かれたように魔物を倒していった。そんな時に遅れてテールとマールが戻って来た。