別れと旅立ち
前話から五年経ってます。
ローランス王国では、十歳になると親の元を離れ、冒険者学校や冒険者ギルドで経験を積むことが推奨されている。自分の実力に自信が無い者は学校に行くが、それでも人数比は4:6程だ。
直ぐに冒険者になりたい者の方が多いのである。
かく言う俺も十歳になり、旅立ちを明日に控えている。最後の家族との夕食ということで、かなり豪勢な内容であった。そして俺は、二人と楽しく食卓を囲っていた。
「いよいよ明日だな!」
「えぇ、少し寂しくなるわね」
「母さん······でも俺はずっとこの日を夢見てきたんだ。止めても行くよ」
「わかってるわ。今生の別れでもないし、また会えるわ」
「そうだぞ、面白い土産話持って帰ってこいよ!」
「はは、そっちかよ」
家に笑い声が響く。あぁこの家に生まれてきて良かったなぁ。本当に二人には感謝してもしきれない。
今まで育ててきてくれたこと。態度を変えないでいてくれたこと。特訓をつけてくれたこと。
そして······家族の温もりを教えてもらった。
「父さん······母さん······ありがとう」
俺がそう呟くと、二人は優しく微笑んだ。最後の最後まで、楽しく過ごすことが出来た。
二人への感謝と冒険への期待を胸に抱き、俺は眠りについた。
翌朝。色々と支度を済ませ、俺は二人に見送られていた。
「じゃあ、行ってくるよ」
「ああ、しっかりやれよ」
「体に気をつけてね」
励ましてくれる二人に礼をし、俺は、十年間過ごした家を後にした。
「さぁ、冒険の始まりだ!」
ここからが本当の異世界ライフだ。思う存分楽しんでやる。
最強スキル、女神の加護と共に······
俺は、初めの一歩を踏み出し、未来に向けて駆け出した。
ようやく本格的に冒険が始まりそうですね!
これからも頑張りますので、今後もよろしくお願い致しますm(_ _)m