《賢者》対《大魔道士》
ガルアにボコボコにされた次の日
「·········」
俺は母メーアに課せられた日課に取り組んでいた。
一時間座って静止し、魔力を自在に操作できるようにするというものだ。これも最初は苦痛だったが、慣れてしまえば剣の素振りよりも楽だった。
「アルマ〜。お待たせ〜」
「母さん。今ちょうど終わったよ」
「そっか。じゃあ訓練始めよっか」
「うん」
メーアの魔法の訓練を簡単に説明すると
メーアが魔法を放ち、俺が同じ魔法で相殺する。しかし相殺するとはいえ、メーアと俺の魔力には天と地ほどの差がある。そのため俺は毎回魔法の直撃を受け、毎回死にかけている。
メーア曰く、それも訓練の一つなのだとか······
俺の身が持たないから、少しは加減してほしいものだ。
「それじゃあいくよ」
「おう!」
「氷柱」
メーアが放ったのは、氷結魔法の中級に値する、氷の槍を生成し対象に向かって飛ばす技だ。俺もすぐさま同じ魔法で応戦する。
「氷柱!」
メーアの氷柱は六本。対して俺のは四本。互いの魔法が衝突し、消滅していくが、残り二本を相殺できずもろに食らってしまった。
「ぐはぁっ!」
数メートル弾き飛ばされ、背中から地面に倒れる。
氷柱の寒さの余韻が残っており、思わず身震いしてしまう。
「アルマ〜。だいじょうぶ?」
「あ、あぁ······」
俺はこんな酷い目にあっているのに、魔法を放った当の本人は悪気は全くないので、なおのことタチが悪い。ガルアの方がまだマシかもしれない。
「よし。じゃあ次行くよ〜」
「ちょ、ちょっと待って!」
こっちまだ準備できてないんだよ!
「獄炎」
「上級魔法じゃねぇかぁぁぁ!」
《賢者》の上級魔法など俺に相殺できるはずもなく、
またもやもろに魔法をくらってしまった。
あぁ······あったかいなぁ······
能天気な事を考えながら、とうとう俺の意識は途切れた。
剣の戦闘の次は、やっぱ魔法かなと思って書きました。
次話で一気に話が進むと思います。(願望)