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自由気ままな異世界冒険譚  作者: 鈴野 白
最終章
62/75

アルマ対ノア

「オラァ!」

「チッ!」



 ノアが雷を纏った迅雷魔槍レザードを力任せに振り下ろす。俺はそれをガードせず跳躍して回避する。



 振り下ろしが地面に当たった瞬間、無数の亀裂が走り辺りに電撃が迸る。地鳴りが響き地を揺らすほどの威力だった。



 距離を取り体勢を立て直した俺は、妖精剣フェアリーソードを肩に乗せて奴目がけて突進し、高速の連撃を放つ。



 それを超人じみた反射神経で躱していくノア。しかし避けきれないと判断したのか槍を薙ぎ、俺と奴の武器が激突した。



 辺りに耳をつんざくような衝撃音が届くが、離れることなく俺達は武器を交錯させて鍔迫り合いの体勢に入っていた。




「人間の癖に······なかなかやるじゃねぇか」

「そっちこそ、魔王の手下の癖に結構やるんだな」




 互いに剣を押し込みながらも、そんな軽口を叩き合う。




「けどさぁ······そんな分厚い鎧来てていいのか?」

「······どういう事だ?」

「わかんねぇなら教えてやるよっ!」




 そう言って奴が武器を振り、俺を後方へと吹き飛ばす。

 受身を取って体勢を立て直し、奴の方を見ると、迅雷魔槍レザードを掲げ、叫んだ。




「くらいなぁ!轟雷バルメギルア!」




 そう唱えた瞬間、空が震え、雷雲が発生する。それを確認するや否や、極太の雷が俺目がけて振り落とされる。



 俺は武器を構え、迫り来る雷撃目がけて魔法を放った。




煉獄之災禍フレア・カタストロフ!」




 頭上で雷と炎が衝突し、今までで最大の爆発が起こった───。







 「まさか轟雷バルメギルアを使わせるとはな······」




 奴の元で起こった大爆発に顔を背けながら、俺はそう呟いた。さっき使った魔法は、俺が使える中でも最強クラスの魔法だ。


 正直言って、舐めていた。所詮人間如きだとたかをくくって、どれだけ余力を残して倒せるかとすら思っていた。


 しかし結果的に、切り札級の魔法まで使わせられた。他にもまだ秘策カードが無いわけではないが、余裕という訳でもなくなった。これは認識を改めなければならない。


 奴は強い。装備している武器もそうだが、やつ自身のステータスが桁外れだ。恐らく俺と同じように五桁はあるだろう。



 まあ流石にあれを食らって無事ということはあるまい。最初の標的は始末したが、今後は慢心を持って戦わないようにしよう。それより、グノと合流しなければ。



 そう考えて俺が飛翔魔法を使おうとした瞬間───。




「なっ!?」




 先程奴が立っていた場所から火炎魔法が飛んできた。反応が一瞬遅れ、直撃をくらってしまう。そうして体にまとわりつく紅に身を焦がされながら、俺は炎が飛んできた方を見る。


 するとそこには、何事もなかったかのようにアルマの奴が魔法を放った体勢で佇んでいた。







「これで、形勢逆転だな」

「がっ······てめぇ······」



 放った灼熱焦土プロミネンスに侵されているノアに向けて、俺はそう語りかけた。炎が苦しいのか、彼の息が切れ始める。


 超級魔法でようやくその程度と考えると、奴も例に漏れず規格外だなと半ばどうでもいい認識を訂正する。



 するとようやく灼熱焦土プロミネンスから解放され、身体中を焼き焦がしながら膝をついたノアが聞いてきた。




「なぜ······俺の轟雷バルメギルアを受けて······」

「確かにあれが直撃したら俺もまずかったかもな」

「だったら······」

「直撃の瞬間、煉獄之災禍フレア・カタストロフをお前の轟雷バルメギルア目がけて放ったのさ。それで相殺した」

「絶級魔法で······相殺······ははっ······バケモンだな」

「そうだな。俺もそう思う······よっ!」




 そう言いながらとどめを刺すべく、俺は絶命斬デスブレイザーを奴目がけて放った。


 

 漆黒の斬撃が奴の命を刈り取る。と思われた寸前───。



 斬撃とノアの間に割り込んできた人影······グノが剣を振るい、風刃を生み出し絶命斬と相殺する。剣を戻しながら彼が言った。




 

「ノア。一旦下がりましょう。このままでは死んでしまいますよ」

「グノ······てめぇ!」

「ガルシャ様の最終兵器には我々がいなくてはいけない。今は悔しいですが一旦引きましょう」

「今は悔しいって······てめぇもか?」

「腕一本相打ちでしたが······何とか死にはしませんでしたよ」



 そう言ったグノが俺の方へ視線を向けてくる。気がつくと、俺の横に左腕を切断されたロダンが立っていた。



「ロダン······大丈夫なのか?」

「まあ少し痛いですけどね。全然大丈夫ですよ」



 軽口を叩くが、彼の顔は少し苦痛に滲んでいる。左手は血を滴らせ、つい先程斬られた事を如実に表していた。



「何があった?」

「いや······まあそんな深刻なことでもないんですけど······」





 そう言いながらも、ロダンは口早にグノとの戦いの中で起きたことを話し出した───。

次話はロダン対グノ編を書こうと思っています。

繋ぎに違和感があるかもしれませんが...笑

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