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自由気ままな異世界冒険譚  作者: 鈴野 白
最終章
61/75

戦闘開始

残酷な描写が一部あります。

その点は了承ください。

 《人魔大戦》の最初の攻撃は連合軍側の火炎魔法だった。上級魔法の獄炎ヘルフレイムを魔族達に向かって放つ。しかし次の瞬間、即座に放たれた暗黒魔法でその魔法を相殺する。


 獄炎ヘルフレイムの残り香を踏みしめながら、雄叫びを上げて戦士達が突進する。




 剣と剣が共鳴し、魔法と魔法が激突する。

 連合軍二千に対し、魔族軍五百。

 



 普通に考えれば魔族が勝てる道理はない。しかし戦局は互角、むしろ魔族側が優勢であった。四倍もの物量差をものともせず、連合軍を押していく。



 それも全て《暗黒魔法》が要因であった。魔族が中級にあたる闇嵐ブラックストームを放つ度、同じ中級魔法の氷柱ピラア炎熱フレイルが掻き消される。



 そしてそのまま魔術師たちを攻撃し、再起不能に陥らせていく。人界軍が負傷者を続出させているのに対し、魔族達はほとんど無傷だ。そうして魔族がどんどん侵略を進めるかと思われた瞬間。



「ゼァッ!」

「シッ!」



 突然飛び出してきた二人が剣を振るい、魔族達を吹き飛ばしていく。驚愕に目を見開く魔族達を尻目に、剣を振り切り体制を立て直した俺は、後方の連合軍に指示を送った。



「ここは下がれ!一旦俺達が奴らの相手をする!」



 そう言って渋々ながらも一時撤退していく兵士達を見ながら、俺とロダンは顔を合わせて頷きあった。







「アルマさん。本当に二人でやるんですね?」

「ああ。俺達ならやれるさ。奴らに遅れはとらない」

「アルマさんらしいですねっ!」

「そっちこそな!」



 軽口を叩き合い、俺達は魔族達の所へ突っ込んだ。



 急接近する俺達に、慌てて魔法を詠唱する魔族。だが遅い。



 目の前にいた奴を薙ぎ払いで切り裂き切断する。生々しい感触と鉄のような血飛沫の匂いに一瞬顔を歪めるが、即座に切り替え連続で斬撃を放つ。



 運悪く近くにいた魔族達を三人、四人と斬り伏せていく。ロダンの方に目をやれば、彼も敵を屠りまくっている最中だった。



 このまま一気に倒しきれるかと思ったが、次の瞬間、危険を察知し即座に飛び退く。ロダンも脅威を感じたのか、俺と同じようにその場から離れていた。



 少し離れた所で俺達が見上げると、空には二人の魔族が浮いていた。恐らく浮遊魔法だろう。


 そうして降りてきたと思ったら、唐突に自己紹介を始めた。



魔眷属ヴァニタスが一人、雷帝ゲイヴォルグノア」

「同じく魔眷属ヴァニタスが一人、風帝ハザード グノ」



 そう言った二人の言葉を聞き、俺はロダンに耳打ちする。



「おいロダン······魔眷属ヴァニタスってことは······」

「恐らく魔族側の最強戦士達でしょう。中ボス登場ですね」

「中ボスって······やっぱりお前も転生者だったんだな······」

「ははっ。まあそうですね。それより······」



 そこで話を終え、俺達は彼等に目を向ける。体を射抜くような鋭い視線を浴びた後、魔眷属ヴァニタスの二人は後方の魔族達に向かって俺と同じことを叫んだ。



「こいつらは俺等で対応する!お前達も一旦下がれ!」



 そう言われた彼等は、足早に自陣の方へと退散していった。そうしてその場に残ったのは俺、ロダン、ノア、グノの四人だけになった。すると、ノアと名乗った奴が話し出した。



「と、いうわけだ。雑魚兵は戦闘ころしあいにはいらない。思う存分遊ぼうぜ?お二人さんよォ」

「全く······あなたはもう少し言葉遣いを改めてください。それはさておき御二方、ここからは私達がお相手させて頂きます」


「ふん。魔族のくせに礼儀正しい奴もいるもんだな」

「まあ、あんまり関係ないことだけどな?」

「ははっ。それもそうですね」



 そんな軽い会話をしながらも、お互いに得物を構え攻撃のチャンスを狙う。辺りを静寂が包む中、俺は事前に打ち合わせしていた通りに、ロダンに合図を送る。



 彼が軽く頷いた瞬間、俺はノアに、ロダンはグノに突進し攻撃を仕掛けた。しかし流石は魔眷属ヴァニタス、超人的な反応速度で攻撃を防ぎ、剣は奴らの体までは届かない。



 しかし俺達の狙いは別にあった。

 


 互いの武器による鍔迫り合いの瞬間、俺とロダンは薙ぎ払いを放ち相手を別方向に吹き飛ばす。


 

 突然の衝撃に少しの動揺を見せた魔眷属ヴァニタス達だったが、すぐに体制を立て直し即座に武器を構え直していた。



 そうして相当の距離を取りながら、俺達は一体一でノア、グノと相対していた。




「なるほどな〜。俺達を分断してタイマンでやろうってか」

「何か不都合でもあったか?」

「いいや?むしろ好都合だよ!」

「奇遇だな。こっちもさ!」



 そう言って俺とノアは疾駆し、互いの武器を振り下ろす。

 妖精剣フェアリーソード迅雷魔槍レザードが邂逅し、激震が大地を轟かせた。







「私の相手はあなたですか」

「ああ。アルマさんには劣るかもしれないけど、少なくともあんたには勝てるぜ」

「寝言は寝て言ってはどうですか?」

「こっちのセリフだよ!」



 ロダンとグノも疾走し、剣戟を交わし始める。

光細剣バリスタ轟風剣ラージェが高速で交錯し、風切り音が空気を無数に切り裂いた。










 戦場の真ん中で、二対の豪傑達による、死闘けっとうが始まった。

第6章は丸々全部、大戦編になると思います。

誤字脱字等あるかもしれませんが、

生温かい目で見ていただければ嬉しいです(笑)

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