表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由気ままな異世界冒険譚  作者: 鈴野 白
第五章 カウントダウン
52/75

親子の死闘

 次の日───。


 特訓を手短に済ませた俺達は、ある程度の休憩を取りながら模擬戦のを準備をしていた。真剣の手入れをしたり、観戦する皆に被害が及ばないように防御結界を張った。


 俺が妖精剣フェアリーソードの手入れをしていると、横で素振りをしているガルアが話しかけてきた。



「それが、お前の相棒か?」

「ああ。妖精族の女王様から貰ったんだよ」

「へぇ······相当な業物だな。こりゃ久々に本気が出せそうだ」


「そういう父さんの真剣は、それか?」

「ああ。双蒼剣クロスカリバーって言うんだ。カッコイイだろ?」

「名前だけな。というか二刀流だったんだな。父さん」 

「言ってなかったっけ?昔はこれで無双したもんよ」

「へえ······まあ、負けないけどな」

「こっちのセリフだ。師匠超えはまだ早いぜ?」

「さあ、どうだろうな」



 そう言って準備を終えた俺達は距離を取り向き合う。

 俺は妖精剣を、ガルアは双蒼剣を抜いて構える。



 剣を真正面で構え静止する俺に対し、ガルアは右手の剣を上に、左手の剣を下に据えて前傾姿勢で構える。



 風が吹き抜け、静けさが空間を支配する。ソフィーナ達も喋るのをやめ、俺達の一挙一動に集中しているようだった。




 そして風が止んだ瞬間、俺たちは動いた。



「うおおおおお!」

「かあああああ!」



 疾走の勢いを乗せたまま剣を振り下ろす。勿論ガルアも反応し、双剣を十字に構えて振り上げる。



キィン!



 一本と二本が衝突し、剣が甲高い音をあげる。

 その衝突による衝撃波が辺りに撒き散り、木々をなぎ倒しソフィーナ達の防御結界を震わせた。



 俺達は額がぶつかる程の距離で鍔迫り合いになっていた。双蒼剣が押し込んでくるが、負けじと妖精剣で押し返す。


 

 いつか戦った時とは違う。完全に互角の実力であった。



「ふんっ······少しは成長したみたいだな」

「おかげさまでな。けど、真価はここからだぜ!」

「なにっ?」



 そう言って俺は妖精剣を振り切り、一瞬のガルアの動揺の隙にバックステップで距離を取る。



 体勢を立て直した後、再度妖精剣を構える。

 ガルアも双蒼剣を構え直し、臨戦態勢に入る。



 そして俺は《詠唱》する。



獄炎インフェルノ!」

「上級魔法か······だが遅い!」



 ガルアが双剣を一振りし、十字の斬撃を放つ。

 俺はそれを避けることすらせず、そのまま受ける。



 瞬間。斬撃が激突し、爆発が巻き起こる。砂塵が舞い、ガルア自信も目を晦ます。



「やったか?」



 そう言って徐々に晴れたアルマの方を見ると、そこにはまるで微動だにしていない彼の姿があった。そして発現した獄炎インフェルノを、左手に纏っていく。



「······何をしている?」

「すぐにわかるさ」



 アルマの左手は炎に包まれ紅く燃えていた。それをガルアに向かって放つのではなく、剣に伝えていく。



 妖精剣が炎に染まり、その姿を紅く変える。そして俺はその新しい技の名を呟いた。



剣魔融合エンチャント



 剣魔融合エンチャント。その名の通り剣に魔法を伝え、二つを一つにする。いわゆる魔法剣というものを作り出す。俺の魔法創造クレアシオンがあって初めて発動することが出来る、オリジナルアビリティである。



 そして、俺の右手には、燃え盛るような紅を宿した剣が握られていた。名付けるとするならば───



魔炎剣レーヴァンティン



「······そうか。それが冒険の中で見つけた、力か」

「まあ、これはそのほんの一部にしか過ぎないんだけどな」

「ふっ······相変わらずとんでもない奴だ」



 そう言いながらも、ガルアは笑っていた。強敵との血湧き肉躍るような死闘に心踊らせているのだろう。



「いくぜっ!」



 俺が魔炎剣レーヴァンティンを振るうと、獄炎を纏った斬撃がガルアに飛来する。しかし避けることなく、俺と同じように真正面から受け止める。



 炎を含んだ爆発が起き、空気を振動させる。それだけでなく、辺り一帯を獄炎が焼き尽くす。そして見ると、直撃を受けた彼の体には無数の火傷のような跡が残っていた。しかし致命傷はなく、平然と立っているようだった。



「そっちも大概バケモンだな」

「お前にだけは言われたくないわ」

「ははっ。それもそうだな!」



 そう言って俺達はまた同時に疾駆し、剣戟を交わした。



 魔炎剣と双蒼剣が邂逅する度に、地を割り天を裂くような衝撃が轟く。防具は壊れ、皮膚が傷だらけになるのも気にせず、俺達は模擬戦しとうに身を委ねた───。







 一体どれほど打ち合ったのだろう。気がつくと俺もガルアも共に疲弊しており、息も切れ切れであった。



 そんなガルアと目が合う。次で終わりにしよう、という意思表示。それに俺は軽く頷いて応える。



 傍から見ていたソフィーナ達も何かを感じ取ったのか、一層静かに黙りこくる。



 そして数瞬後、互いに最強最後の必殺剣を放った。



絶命斬デスブレイザー!」

双撃斬クロスブレイド!」



 漆黒の斬撃と十字の斬撃が迸り衝突する。その瞬間、今までで一番の爆発が起こり、辺りに激震が轟いた。あまりの衝撃に防御結界に守られていたソフィーナ達も、思わず顔を背ける。そうしていると、だんだんと視界が晴れてきた。



 そして後に残ったのは、剣を振り切った二人の戦士の姿のみであった。



「へへっ······成長したな······アルマ」

「引き分け······だけど······な」








 そう言って二人同時にぶっ倒れる。直後、一瞬で意識が途切れ、俺は突然の微睡みに身を委ねた───。

色々とカタカナが出てきて考えるのも疲れました笑

けどやっぱり戦闘回は書いていて楽しいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ