獣人族の国・キャメルナ
第4章スタートです!
キャメルナ王国。セーナ大陸に存在する二つの大国のうちのもう一つ。ウォルテラ王国には兎人族が、キャメルナ王国には獣人族が住んでいると言われている。人族には基本友好的で排他的なイメージなどもない。そのお陰か、俺達も楽々と入国することが出来た。
「さて、とりあえず今回も宿を探すか」
「そうですね」
そう言って騎士様が手綱を引く。馬が「ヒヒーン!」と鳴きキャメルナ王国の城下町を歩いていく。
やはり珍しいのか、ここでも俺たちの馬車は目立っていた。それでも訝しげという訳ではなく単なる好奇心からの注目のようだった。こういう所は友好的なんだな。
そんなことを考えていると、急に馬車が止まった。
「失礼します。ローランス王国からの御一行ですか?」
「はい。そうですけど」
そうお辞儀をした初老くらいの人が馬車の前に立っていた。礼儀正しく、執事のような立ち振る舞いだった。
いや、実際執事なのか。
「それで、俺達に何か用ですか?」
「理由は後で説明致します。ともかく、私と一緒にこの国の王城に来てくださいませんか?」
「王城?また何で」
「簡潔に言いますと、エレナ様から届いた手紙です」
「ああ······なるほど」
要はあれか。推薦状的なやつか。······全く、本当にあの人には頭が上がらないな。今度お礼を言っておこう。
「わかりました。案内をお願いします」
「承りました。それではついてきてください」
俺達は執事に連れられ、キャメルナ王国の王城に向かうことになった。ラミア達も驚いていたが、それも含めて後で聞くことにしよう。そう考えながら俺達は案内された。
そして、俺達はこの国の王様と王妃様に対面していた。
「よく来たな、アルマ殿。私はこの国の王ヴァレンだ」
「王妃のリーゼです」
「······まさか王様と王妃様とは思いませんでした」
「ああ。楽にしてくれて構わん。呼んだのはこちらだからな」
「ありがとうございます」
そう言って俺達は楽な姿勢をとる。
「それで、そなた達をここに呼んだのは理由があってな」
「はい」
「······ウォルテラ王国のエレナ女王からの推薦状でな。ぜひ娘達をもてなしてやって欲しいとの事だ」
「······え?」
「······」
驚きのあまり変な声が出てしまった。ラミアに至っては羞恥で顔を真っ赤に染めていた。
「それと、蔑ろにした場合は鉄槌を下すとも言われた······」
「てっ······」
「······お母さん······」
「ねえラミア。あなたのお母さんって物騒なの?」
「······まあ、元冒険者だし。······ね?」
「それでフォロー効くわけないのよねぇ······」
後ろの二人も何処か呆れていた。というかエレナ様軽くないか?色々とヤバい気がする。
「あの、お二人はどんな関係で?」
「元パーティーメンバーだ。リーゼとは別の機会に出会った」
「なるほど······」
それならこの軽さにも納得はつく。物騒だけどね?
「話を戻すが、別にエレナに言われたからという訳ではなく、私たち自身の好意として受け取って貰えると嬉しい」
「······わかりました。お言葉に甘えさせて頂きます」
俺達としてもありがたかったし、結果的に寝る場所を確保出来たので結果オーライとしよう。
「それで、部屋割りはどうする?二部屋あるのだが」
「そうですね。男女で分けるということにしますか」
そこで二人が待ったをかける。
「アルマ様?私と相部屋ですよね?」
「ご主人様。私の事は抱き枕としてお使いください?」
二人がグイグイ迫ってくる。一応王様の前なんだけど?
「ははっ。アルマ殿は好かれているのだな」
「申しわけありません······」
「気にするな。減るものでもないしな」
横を見ると、リーゼ様も微笑んでいた。二人が優しい人で良かった。二人を宥めるのに結構時間がかかったが。
結局部屋割りは、俺とルゥとレオ、ラミアとソフィーナ、ということになった。流石に王城でそんなにイチャイチャする訳にもいけないからな。それに魔族のことを話すと、訓練場も貸してくれるということらしい。至れり尽くせりな王様達にお礼を言い、俺達は謁見の間を後にした。
その後は夕暮れまで特訓に勤しみ、城の人達と親睦を深めながら夕食を楽しんだ。豪勢でとても美味しかった。
今はあてがわれた個室で明日の事を話し合っていた。
「明日はこのキャメルナ王国の城下町を回ろう」
「良いのですか?」
「ああ。たまには息抜きも必要だからな」
「流石ご主人様ですね」
「ありがとう!お兄様!」
「いろんなもん食べたいなー!食べれるといいなー!」
「レオはそればっかだな」
「へへっ!ありがとうな!アルマ様!」
「多分褒めてないわよ。レオ」
ルゥが言うと、皆が笑い部屋が笑顔に包まれた。うん、嬉しそうで良かった。やっぱり休みは正解だったな。
その後少しの間談笑を交わし、俺達は明日の予定を決めた後、ふかふかのベッドで眠りについた。
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